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カルチア森林
本性
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「この道はどっちかわかる?」
「ちょっと待ってね……こっちかな」
2人はカルチア森林を抜けた先にあるドニー村を目指していた。
カルチア森林はそこまで大きくもなくが、特に特徴のない森のため、迷う人は少なくない。そこで安藤の出番だ。
安藤のスキル「視点変更」と瞬間記憶能力があれば道に迷うことはない。
モンスターに襲われても、音宮のスキル「空間転移」があれば大抵の相手からは逃げられる。2人は順調に進んでいたのだがーー
なんだこの音は?
何かが此方に向かって走って来る
人の声も聞こえる…王国兵か
音宮は安藤を手を握る
「ーーーーえっ///」
「ちょっとだけ飛ぶよ」
2人は上空へと転移した。
あまり高い所に転移しては駄目だ。
万が一兵士にバレた場合、自分の意思で逃亡している事がバレてしまう。
どうせ捕まるなら何者かに連れされた、もしくは洗脳されているパターンを使った方がマシだが、今のところは逃げ切れそうだな…
音宮は、転移を数回繰り返し崖の上まで辿り着いた。
ここなら兵士を視界に捉える事が出来る
そのまま何処かへ去ってくれたらいいが…
音宮の願いとは裏腹に、兵士たちは一度立ち止まり、方向を変えて来た。音宮のいる方へと。
奴らには俺の居場所がわかっているのか?
くそっ!どういう理屈だ。
これじゃ逃げられないじゃないか
此処は異世界、なんでもありはお互い様って事かよ。どうする…
「音宮様、安藤様。そちらにおられる事はわかっています。私はリスランダ王国第5部隊・隊長のフェルト・グローリーと申します。
貴方方に害を加えるつもりはありません。
どうか大人しく投降して下さい。」
「音宮くん……」
安藤が不安そうな目で服の袖を引っ張ってくる。服が伸びるからやめて欲しい。
「この場所がどうしてわかった」
「リスランダ王国の城壁には、目には見えない魔力障壁が張ってあります。無断で王国を出入りした者を捉えられる様、その魔力を浴びた者を追跡する魔導具を使って追ってきたのです。勇者様がその重圧に耐えかねて逃亡するケースは過去にもありました。お2人もそうなのでしょうが、一度王国へと戻られた上で、今一度考え直しては頂けませんか?」
なるほどな…中世的な見た目をしていたせいで油断していた。仮にも王国、セキュリティがそんなに甘い訳がないか…
それよりも今あいつ…聞きづてならない事を言いやがったな。
「フェルトさんでしたっけ。
今なんとおっしゃいましたか?
何やら重圧に耐えかねてなんて言葉が聞こえた気がしたのですが…聞き間違いですよね。
まさかこの私がそんな臆病者だとでも?」
「……はぁ。確かにそう言いましたが…
ですが、そうでなければなぜ王国から逃げ出したのですか?」
「面倒だからに決まってんだろうが。
そもそもお前らは人に物を頼む態度じゃねえんだよ。無理矢理連れてきて置いて何が「勇者になってくれ」だ。断ったら帰してくれる訳でもあるまいし。あんなものはな、唯の脅迫って言うんだよ。誰がてめえらなんかについて行くかよ。」
「音宮…くん?」
突如として豹変した音宮の代わり様に驚く安藤。
「それは!…申し訳ないとは思っています。
…ですが、我々にも事情があってこうするしかないのです。
お2人が投降して下さらないと言われるのであれば仕方ありません。
実力行使です。無理矢理にでも連れて帰ります。」
「そういうところもムカつくポイントだぞ。
なぜ自分達が負ける事を想像していない?
お前らはそこまで強いのか?
お前ら程度、俺一人にも敵わないんだよ。
人の事を下に見やがって、低脳どもが。」
音宮は自分がマイナスに見られる事が大嫌いだ。彼はそこそこ自分の事が好きで、なんでも卒なくこなせる自分に誇りを持っている。
それ故に、出来ないや逃げてると思われる事が嫌いでその様な事を言ってきた奴は、徹底的に潰してきた。足に誇りを持っている奴は足で、喧嘩なら喧嘩で、目には目を歯には歯をというスタンスの元、相手のプライドをズタズタにし、二度立ち直れない様に。
キレた音宮は口が悪い。
というかこの状態の音宮が本当に彼だ。
冷静沈着ではあるが、他人への興味が薄く、何かをされたら倍返し以上の報復を行い、二度と立ち直れない程のトラウマを与える。
本当の自分が好かれない事がわかっているから彼は普段から演じている。
しかし、隠していた本性が現れてしまった。
「音宮様。我々とて騎士団。こちらに来たばかりの勇者様に遅れを取るほど未熟ではありません。それに、なにもスキルは勇者様だけのものではないのですよ」
戦いの幕が開ける。
フェルト・グローリー
攻撃力A-
防御力B+
魔力C
敏捷力D-
運D
専用スキル『連撃《コンボ》』
兵士スキル『剣術《けんじゅつ》』
兵士スキル『盾術《たてじゅつ》』
兵士スキル『騎術《きじゅつ》』
兵士スキル『気配察知《けはいさっち》』「」
「ちょっと待ってね……こっちかな」
2人はカルチア森林を抜けた先にあるドニー村を目指していた。
カルチア森林はそこまで大きくもなくが、特に特徴のない森のため、迷う人は少なくない。そこで安藤の出番だ。
安藤のスキル「視点変更」と瞬間記憶能力があれば道に迷うことはない。
モンスターに襲われても、音宮のスキル「空間転移」があれば大抵の相手からは逃げられる。2人は順調に進んでいたのだがーー
なんだこの音は?
何かが此方に向かって走って来る
人の声も聞こえる…王国兵か
音宮は安藤を手を握る
「ーーーーえっ///」
「ちょっとだけ飛ぶよ」
2人は上空へと転移した。
あまり高い所に転移しては駄目だ。
万が一兵士にバレた場合、自分の意思で逃亡している事がバレてしまう。
どうせ捕まるなら何者かに連れされた、もしくは洗脳されているパターンを使った方がマシだが、今のところは逃げ切れそうだな…
音宮は、転移を数回繰り返し崖の上まで辿り着いた。
ここなら兵士を視界に捉える事が出来る
そのまま何処かへ去ってくれたらいいが…
音宮の願いとは裏腹に、兵士たちは一度立ち止まり、方向を変えて来た。音宮のいる方へと。
奴らには俺の居場所がわかっているのか?
くそっ!どういう理屈だ。
これじゃ逃げられないじゃないか
此処は異世界、なんでもありはお互い様って事かよ。どうする…
「音宮様、安藤様。そちらにおられる事はわかっています。私はリスランダ王国第5部隊・隊長のフェルト・グローリーと申します。
貴方方に害を加えるつもりはありません。
どうか大人しく投降して下さい。」
「音宮くん……」
安藤が不安そうな目で服の袖を引っ張ってくる。服が伸びるからやめて欲しい。
「この場所がどうしてわかった」
「リスランダ王国の城壁には、目には見えない魔力障壁が張ってあります。無断で王国を出入りした者を捉えられる様、その魔力を浴びた者を追跡する魔導具を使って追ってきたのです。勇者様がその重圧に耐えかねて逃亡するケースは過去にもありました。お2人もそうなのでしょうが、一度王国へと戻られた上で、今一度考え直しては頂けませんか?」
なるほどな…中世的な見た目をしていたせいで油断していた。仮にも王国、セキュリティがそんなに甘い訳がないか…
それよりも今あいつ…聞きづてならない事を言いやがったな。
「フェルトさんでしたっけ。
今なんとおっしゃいましたか?
何やら重圧に耐えかねてなんて言葉が聞こえた気がしたのですが…聞き間違いですよね。
まさかこの私がそんな臆病者だとでも?」
「……はぁ。確かにそう言いましたが…
ですが、そうでなければなぜ王国から逃げ出したのですか?」
「面倒だからに決まってんだろうが。
そもそもお前らは人に物を頼む態度じゃねえんだよ。無理矢理連れてきて置いて何が「勇者になってくれ」だ。断ったら帰してくれる訳でもあるまいし。あんなものはな、唯の脅迫って言うんだよ。誰がてめえらなんかについて行くかよ。」
「音宮…くん?」
突如として豹変した音宮の代わり様に驚く安藤。
「それは!…申し訳ないとは思っています。
…ですが、我々にも事情があってこうするしかないのです。
お2人が投降して下さらないと言われるのであれば仕方ありません。
実力行使です。無理矢理にでも連れて帰ります。」
「そういうところもムカつくポイントだぞ。
なぜ自分達が負ける事を想像していない?
お前らはそこまで強いのか?
お前ら程度、俺一人にも敵わないんだよ。
人の事を下に見やがって、低脳どもが。」
音宮は自分がマイナスに見られる事が大嫌いだ。彼はそこそこ自分の事が好きで、なんでも卒なくこなせる自分に誇りを持っている。
それ故に、出来ないや逃げてると思われる事が嫌いでその様な事を言ってきた奴は、徹底的に潰してきた。足に誇りを持っている奴は足で、喧嘩なら喧嘩で、目には目を歯には歯をというスタンスの元、相手のプライドをズタズタにし、二度立ち直れない様に。
キレた音宮は口が悪い。
というかこの状態の音宮が本当に彼だ。
冷静沈着ではあるが、他人への興味が薄く、何かをされたら倍返し以上の報復を行い、二度と立ち直れない程のトラウマを与える。
本当の自分が好かれない事がわかっているから彼は普段から演じている。
しかし、隠していた本性が現れてしまった。
「音宮様。我々とて騎士団。こちらに来たばかりの勇者様に遅れを取るほど未熟ではありません。それに、なにもスキルは勇者様だけのものではないのですよ」
戦いの幕が開ける。
フェルト・グローリー
攻撃力A-
防御力B+
魔力C
敏捷力D-
運D
専用スキル『連撃《コンボ》』
兵士スキル『剣術《けんじゅつ》』
兵士スキル『盾術《たてじゅつ》』
兵士スキル『騎術《きじゅつ》』
兵士スキル『気配察知《けはいさっち》』「」
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