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第一章 始まり
最初の目的地
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「これから何処に行くとか決めてるの?」
「安藤さんが行きたい場所とかがあればそこに向かうけど…どう?」
「ううん。私は特にないかな。
音宮くんに任せるよ。」
音宮は悩んでいた。
正直、一人で行動するのであれば人里は極力避けて、自給自足で生き抜けそうな森林か拠点にし易い洞窟辺りに行こうと思っていた。
目ぼしい場所はチェックしてある。
先ずは最も王都から近い位置にあるカルチア森林。王都での聴き込みによると、この場所にはモンスターは生息しているが、比較的低いレベルのモンスターが多いらしく、ゴブリンやスライム、オオカミが良く見られるそうだ。駆け出し冒険者が此処で日銭を稼いだり、対モンスター戦の経験値を積んでいる場所らしい。
次に少し難易度が上がりユーダティア洞窟。
中級冒険者が訪れず場所で、モンスターのレベルも跳ね上がり、オーガやミノタウロスなどパワーファイターのモンスターが数多く生息している洞窟。
国を渡る際の通り道になっている為、使われる事はあるがあまり人は寄り付かない場所。
洞窟内には綺麗な湖も存在しているらしい。
そして、拠点としての最有力候補であるオルゲネスト山脈。こちらは人が寄り付く事はほぼなく、周囲に高価な木の実や透き通った湖もあるらしい。だが、人が寄り付かないのには理由があり、この山のモンスターは非常に強力で噂ではドラゴンが生息しているとの事だ。生きて帰って来たものはいるが重傷を負い、冒険者家業を辞める羽目になったらしい。
正直、戦う術を知らなかった時点での音宮は、どの場所に行こうとモンスターはいるので強さはどうでもいいと考えていた。
どの道見つかれば死ぬ、そう思っていたからだ。しかし、今はスキルの存在がある。
音宮のスキルを活かすにはやはりオルゲネスト山脈が一番理想だが、問題は安藤桜だ。
足を引っ張る未来しか見えないし、護るつもりはないが、目の前で死なれるのは嫌なのでどうにかしたい。死ぬなら俺の見てないところで勝手に死んでくれ。
そうなると、安藤を置いて行くために村を探さなければ…よし、此処にするか。
「じゃあ、最初の目標はこのドニー村にしよう。カルチア森林を抜けた先にあるみたいだから森に入るけど準備はいい?
引き返すなら今だけど…」
もう塀の外には出れた。こいつは用済みだ。
別にバラされても俺のスキルなら逃げ切れる。王宮に戻ってくれる方が楽なんだが…
「ううん、大丈夫だよ。
足引っ張らない様に頑張るね。」
くそっ!帰れよ。
絶対こいつ足引っ張るだろ。スライムでビビりそうな顔しやがって。
「じゃあ行こうか。」
2人は目の前に広がる森林へと足を進める。
この時、安藤にはふと疑問に思う事があった。
あれ?音宮くん、スキル使わないのかなぁ。
その方が早く着くと思うのに…
そんな事を考えながら音宮の半歩後ろを歩き続ける。
そしてその視線がわからない音宮ではない。
どうせなんでスキル使わないんだとか考えてんだろ。
こんなとこで使ってられるかっての。
まだスキルに関して詳しく調べる事が出来ていないのに乱発して、いざって時に使えませんでしたじゃ話にならないからな。
可能な限り自分の力で生き抜くに越した事はない。スキルはあくまでオマケなのだから。そもそも何処の誰ともわからないヤツに勝手につけられたスキルなど出来れば使いたくもない。体の中に異物を埋め込まれたようで気味が悪い。
この時から音宮はクラスメイトの異常さに気が付いていた。なぜ異世界に来たらスキルを持っている事を当たり前に考えているのか、理解出来ない。人間である以上、不可能な事は存在する筈だ。少なくとも、寝て起きたら特殊な能力が使えましたなんて事はあり得ないのだから。
音宮奏は考えていた。
俺たちは本当に人間なのか…
そもそも俺は音宮奏なのだろうか?
音宮奏という記憶を植え付けられた、別の肉体に宿っているのではないか…
考えてもキリがない…
無事に元の生活に戻れるならいいが、もし無理ならその時は…
「安藤さんが行きたい場所とかがあればそこに向かうけど…どう?」
「ううん。私は特にないかな。
音宮くんに任せるよ。」
音宮は悩んでいた。
正直、一人で行動するのであれば人里は極力避けて、自給自足で生き抜けそうな森林か拠点にし易い洞窟辺りに行こうと思っていた。
目ぼしい場所はチェックしてある。
先ずは最も王都から近い位置にあるカルチア森林。王都での聴き込みによると、この場所にはモンスターは生息しているが、比較的低いレベルのモンスターが多いらしく、ゴブリンやスライム、オオカミが良く見られるそうだ。駆け出し冒険者が此処で日銭を稼いだり、対モンスター戦の経験値を積んでいる場所らしい。
次に少し難易度が上がりユーダティア洞窟。
中級冒険者が訪れず場所で、モンスターのレベルも跳ね上がり、オーガやミノタウロスなどパワーファイターのモンスターが数多く生息している洞窟。
国を渡る際の通り道になっている為、使われる事はあるがあまり人は寄り付かない場所。
洞窟内には綺麗な湖も存在しているらしい。
そして、拠点としての最有力候補であるオルゲネスト山脈。こちらは人が寄り付く事はほぼなく、周囲に高価な木の実や透き通った湖もあるらしい。だが、人が寄り付かないのには理由があり、この山のモンスターは非常に強力で噂ではドラゴンが生息しているとの事だ。生きて帰って来たものはいるが重傷を負い、冒険者家業を辞める羽目になったらしい。
正直、戦う術を知らなかった時点での音宮は、どの場所に行こうとモンスターはいるので強さはどうでもいいと考えていた。
どの道見つかれば死ぬ、そう思っていたからだ。しかし、今はスキルの存在がある。
音宮のスキルを活かすにはやはりオルゲネスト山脈が一番理想だが、問題は安藤桜だ。
足を引っ張る未来しか見えないし、護るつもりはないが、目の前で死なれるのは嫌なのでどうにかしたい。死ぬなら俺の見てないところで勝手に死んでくれ。
そうなると、安藤を置いて行くために村を探さなければ…よし、此処にするか。
「じゃあ、最初の目標はこのドニー村にしよう。カルチア森林を抜けた先にあるみたいだから森に入るけど準備はいい?
引き返すなら今だけど…」
もう塀の外には出れた。こいつは用済みだ。
別にバラされても俺のスキルなら逃げ切れる。王宮に戻ってくれる方が楽なんだが…
「ううん、大丈夫だよ。
足引っ張らない様に頑張るね。」
くそっ!帰れよ。
絶対こいつ足引っ張るだろ。スライムでビビりそうな顔しやがって。
「じゃあ行こうか。」
2人は目の前に広がる森林へと足を進める。
この時、安藤にはふと疑問に思う事があった。
あれ?音宮くん、スキル使わないのかなぁ。
その方が早く着くと思うのに…
そんな事を考えながら音宮の半歩後ろを歩き続ける。
そしてその視線がわからない音宮ではない。
どうせなんでスキル使わないんだとか考えてんだろ。
こんなとこで使ってられるかっての。
まだスキルに関して詳しく調べる事が出来ていないのに乱発して、いざって時に使えませんでしたじゃ話にならないからな。
可能な限り自分の力で生き抜くに越した事はない。スキルはあくまでオマケなのだから。そもそも何処の誰ともわからないヤツに勝手につけられたスキルなど出来れば使いたくもない。体の中に異物を埋め込まれたようで気味が悪い。
この時から音宮はクラスメイトの異常さに気が付いていた。なぜ異世界に来たらスキルを持っている事を当たり前に考えているのか、理解出来ない。人間である以上、不可能な事は存在する筈だ。少なくとも、寝て起きたら特殊な能力が使えましたなんて事はあり得ないのだから。
音宮奏は考えていた。
俺たちは本当に人間なのか…
そもそも俺は音宮奏なのだろうか?
音宮奏という記憶を植え付けられた、別の肉体に宿っているのではないか…
考えてもキリがない…
無事に元の生活に戻れるならいいが、もし無理ならその時は…
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