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第一章 始まり

リーダー格

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「勇者の皆さま、どうか落ち着いて下さい。
音宮奏様は我が国が責任を持って捜索させて頂きますので、今後についての説明をさせて頂いてもよろしいでしょうか?」

騎士団長のセルジールの発言を聞き、生徒たちは王の話を聞くことにした。

「先程も説明したと思うが、我が国は今魔王軍の侵攻を受けている。そしてそれは他の国でも同様だ。各国の王同士の会合により、勇者の召喚権はこのリスランダ王国が勝ち取ったが、全員をこの国で雇う訳にはいかない…
そこで皆にはグループに分かれて貰い、各々別の国に行って貰うことになる。
選定の基準として、ある程度戦力が均衡になるようにこの場で皆のスキルを確認させて頂きたい。ここまでで、何か質問があるものはいるか?」

皆がザワザワと騒いでいる中、1人の生徒が手を挙げる。天野光輝だ。

「あの…すみません。
僕達は国に行って、何をしたら良いのでしょうか?」

「基本的には冒険者として魔王軍と戦うか、王国騎士団の一員として国の防衛を勤める事になるが、そこは国によって様々だ。
だが、悪い様に扱われる事はないので安心してくれ。」

王の言葉に皆ホッとする。

「それでは能力の確認をさせて貰う。
各々、『ステータス』と唱える事で自身の能力値を確認する事が出来る。
詳細を周りにいる兵士に伝えてくれ。
一応伝えておくが、ステータスを見る術をこちらは持っているので偽装はしない様に。
こちらとしても疑うような真似はしたくないので、あくまでも自主宣告して頂きたく思う。」

各々ステータスを確認し兵士へと申告する。

「ほう…なかなか優秀な者が揃っているみたいだな。ではリーダー格のみ発表させて貰うので、国はグループ毎で話し合って決めてくれ。」

王の口からリーダーが発表される。


天野光輝《あまのこうき》 攻撃力 S
     防御力 S
      魔力 S
     敏捷力 S
       運 SS
専用スキル『勇者《ブレイバー》』

鬼頭龍一《おにがしらりゅういち》 攻撃力 SS
     防御力 S+
      魔力 C
     敏捷力 D-
       運 S
専用スキル『鬼人化《きじんか》』

聖星矢《ひじりせいや》 攻撃力 A-
    防御力 B
     魔力 S
    敏捷力 SS
      運 B
専用スキル『星光《スターライト》』

多田哲也《ただてつや》 攻撃力 A
     防御力 A
      魔力 A
     敏捷力 A
       運 A
専用スキル『生存《サバイブ》』

黒海彰《くろうみあきら》 攻撃力 A
    防御力 D-
     魔力 S
    敏捷力 S+
      運 B
専用スキル『夜《よる》』

蛇河純平《へびかわじゅんぺい》 攻撃力 F
     防御力 F
      魔力 S+
     敏捷力 B+
       運 S+
専用スキル『調教師《テイマー》』

福島由依《ふくしまゆい》 攻撃力 F
     防御力 SS
      魔力 S+
     敏捷力 D-
       運 S-
専用スキル『絶対防御《パーフェクトシールド》』

久野彩芽《ひさのあやめ》 攻撃力 F
     防御力 F
      魔力 SS
     敏捷力 E+
       運 A-
専用スキル『賢者《けんじゃ》』

8人がリーダーに選ばれる事となり、5人1組で各国に渡る事となった。
兵士のステータスの平均がDであり、Aもあれば高水準と判断されるのだが、リーダー格の生徒はSをも超えるSSの生徒ばかりだった。
それ以外の生徒も皆、平均値を超える能力値であり、落ちこぼれなどいなかった。
ただ1人を除いては…

安藤桜《あんどうさくら》 攻撃力 F
    防御力 F
     魔力 F
    敏捷力 F
      運 E
専用スキル『視点変更《してんへんこう》』

安藤桜…クラスでも特に目立つ事のなく、読書が好きな女の子。人見知りのため、クラスに友達もいない内気な生徒だ。
彼女がこの世界に来てから、何もわからないままあたふたしている間に勝手に話が進んでいた。
そして、言われるがままにステータスを確認し、絶望した。
与えられたスキルは見える方向を変えるだけだった。なにか使い道がないか考えてみたが、そもそものステータスが低すぎる。

本日は解散となり、明日グループ分けを行われるため、各自王宮の部屋で休む事になった。あいにく、安藤自身の影が薄かったので申告していないのもバレなかったが、明日のグループ分けではそういうわけにもいかないだろう。

これからどうなっちゃうんだろう…

安藤が部屋の窓から城下を眺める。

嫌だなぁ、私戦いたくないよ。
お家に帰りたい…

考え事をしながら、なんとなく外を眺めていた。そして、その人物を見つけたのは本当にたまたまだったのだ。折角できる様になったスキルを試していると、見覚えのある人物が目に入った。

あれは…音宮くん?どうしよう。
兵士の人に教えた方が良いかな。
でも、音宮くん別に困ってない様に見えるし…
ああ…どこか行っちゃう。

結局、安藤は兵士に言うことも出来ず、なんとなく音宮の跡をつける事になってしまった。

王宮を出る時も兵士に気付かれなかったのは地味に心が傷付いた。






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