彼の考えがわからない

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番外編

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湊と雪菜が付き合い始めて暫く経ったある日のことだ。

2人とも1人暮らしで湊が店長を務めていた時は毎日送り迎えをしていたのだが、付き合い始めて、それが会社にばれ、なんとなく居辛くなった湊は会社を辞めていた。
そして雪菜も湊がいないところで働き続ける気にもなれずにバイトを辞めていた。
元々2人は職場で会う事がほとんどだったので辞めてしまうと会う機会がめっきり減ってしまっていたのだ。
それに加え雪菜はバイトを辞めてしまったせいでお金がなくデートも出来ない。
湊は仕事を探していたこともあり、雪菜に連絡する時間が取れずにいた。
雪菜は自分が放っておかれたと思い不満が溜まりきって湊の家まで押しかけてきていた。

「もう暗いから帰ったら。送ってあげるから。」
「嫌です。そんなに私に帰ってほしいんですか。」

雪菜は拗ねている。
それは湊にもわかっていたが、大切に思っているからこそ帰って欲しいと思っていた。
けれども雪菜は全然話を聞いてくれずにずっとそっぽ向いている。

「本当に帰らないの?」
「はい。」
「じゃあ泊まるって事でいいの?」

湊が尋ねると雪菜は返事をしなかった。
聞こえてないのかと思い顔を覗き込んでみると頬が赤く染まっている。
照れてる。おそらくなにも考えずに駄々をこねていただけなんだろうな。
実際その通りだった。
雪菜は寂しくてただ構って欲しくて帰らないと言っていた。
しかし、いざ泊まるのかと聞かれると恥ずかしくなっていたのだ。

「ほら、駄々こねてないで帰るよ。また明日会えるから。」

湊に飄々とした態度で言われた雪菜は、イラっとした。
なんでこんなに余裕でいるんだ。私は少しでも会えないのが嫌なのに。
こうなったらとことん行ってやる!雪菜はそう決意した。

「泊まります。今日は絶対に帰りません。」

湊が慌てている姿を見て雪菜はざまあみろ。もっと困らせてやるっと思った。

時は過ぎ、もう寝る時間だ。やばい、帰るタイミング逃した。
ドキドキして全く寝れなかった。すると湊が話しかけてきた。

「泊まるのは今日だけにしなよ。」
「私のこと嫌いなんですか?私は一緒にいたいだけなのに…
バイトも辞めて会える機会減っちゃったのに、湊さん寂しくないんですか?」
「寂しくない訳じゃないよ。確かに会える日は減ったかもだけど会おうと思えばいつでも会えるでしょ。」
「会えないですよ。だって私バイト辞めてお金ないし。湊さんが仕事始めたらもっと会えなくなるじゃないですか。だから今だけでも一緒にいたいです。」
「大丈夫だよ。こっちからだって会いに行けるし。仕事もいいの探してるからさ。ずっと一緒だよ。」

湊は雪菜の頭を撫でながら言った。
緊張して眠れなかった雪菜だが頭を撫でられている間は気持ちが落ち着いた。
「寝るまで撫でて下さい。」雪菜はそういうと目を閉じた。
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