彼の考えがわからない

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桃華は七美とカフェで会話をしていた。
昨日湊と太樹とご飯を食べに行った事、湊の内面や高校生時代の事について話した。

「湊くんが裏表あるにはちょっとわかる気がする。優しいんだけど壁があるっていうか、そんな感じだった気がする。桃華は1年の時私から見たら仲良さそうだったけど知らなかったの?」

七美から言われ、桃華は高校生の頃を思い出していた。確かにクラスでも湊とは会話を交わす方であったと自分でも思っている。しかし

「私もそう思ってたんだけどね。2年でクラスが別になってから1回も話した事ないんだ。そこからなんとなく話しかけにくくて…。しかも昨日あんな話聞いたらやっぱり私とは仲良くなかったんだなって思っちゃった。」

「でもさ、そんなに気にする事ないと思うけど。別に裏があるって言っても誰だってそんな感じだと思うよ。イメージが良かった分ちょっと驚くけど私は安心したかな。なんか人間らしいっていうか、接しやすくなった気がする。」

七美からそう言われ桃華は考えた。
確かに接しやすくは感じるし、別に人の悪口くらい誰でも言うだろうとは思っている。逆にそこまで完璧だとその人物を疑ってしまうだろう。だが、なぜかモヤモヤする。
そんな事を七美に告げると

「桃華ってさ。もしかして湊くんの事まだ好きなの?」

七美からそう言われ反論しようとしたが気になる言葉があった。

「まだって何?別にいいなって思った事はあっても好きだった事なんてないけど。」

「いやいや、そうは言っててもあの時の桃華絶対好きだったと思ってるよ。だってあの後から明らかに湊くんに話しかけてたし、あの文化祭の日の話。」

桃華は七美に言われ思い出した。

高校1年生の文化祭の日、桃華達のクラスは焼きそばの売店を出していた。
店番は男女混合でグループを組み、グループ毎に交代で行われていた。
湊と桃華は同じクラスではあったがグループは別で桃華達の後に湊達のグループが担当する役割となっていた。

桃華達のグループが担当する時間となったので売店に向かうと男子がまだ来ていなかった。後で来るだろうと思い交代したが何分経っても男子は来なかった。
次第に店は回らなくなり、焼きそばのストックもなくなり、桃華が担当していたレジもお金が切れてしまいパニックになっていた時、誰かに後ろから肩を叩かれた。

「お釣りいくら?」

湊であった。湊はそういうと桃華から代金を聞き出し、自身の財布からお金を立て替えた。

「男子来てないの?ごめんね。男子が迷惑かけちゃって。」

湊は一緒に来ていた男子数名に声を掛け、売店を手伝うように言ってくれた。
多少落ち着きを取り戻したが、やはり自分達の時間でストックがなくなったのでまだ交代できないななどと考えていたが

「そろそろ交代の時間だね。清水さん達先に抜けていいよ。迷惑かけてほんとごめんね。文化祭楽しんできて。」

湊にそう言われ、同じグループの女子は喜んでいたが、桃華は助けて貰ったのにここで帰れないななんて考えていたので、湊に手伝う旨を伝えたが湊からは

「大丈夫だよ。来てなかった男子に手伝わせるから。今こっちに呼び出してるから気にしないで。」

そう言われ桃華達のグループは交代する事になった。その後、文化祭を回っていたが桃華はどうしても気になり湊にせめてちゃんとお礼を言いたいなと思い探していた。
外は大雨だったので片付けに人達は大変そうだなと思い見ていると、そこには雨に濡れながら片付けをしている湊達グループの姿があった。

片付けは基本的に最後のグループが担当する役割だったので湊達ではなかったはずだと思っていたら話し声が聞こえた。

「何で俺たちが片付けやってんだろうな。湊がいいって言うからだぞ。」

「いちいち文句言ってる暇があったら片付けろよ。先生も見てるから評価上がるぞ。」

そんな話をしながら友人と笑い合う湊の姿を見て、桃華は湊の事が気になるようになっていた。
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