彼の考えがわからない

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桃華は現在待ち合わせ場所に来ていた。

(久しぶりだからちょっと緊張するな)

「お待たせ。」

「太樹くん久しぶり、湊くんは?」

「先に店の中で待ってるって」

「そっか。じゃあ私達も行こうか」

桃華と太樹は道中他愛もない話をしていた

「太樹くんは今何してるの?」

「今はバンドやってる。まあ全然お客さんも来なくてほぼフリーターみたいなもんだけど。だから今日は湊に奢って貰おうと思ってるんだ。」

「良いなぁ。」

「清水さんも奢って貰いなよ。」

「私は良いよ。そんな仲じゃないし迷惑だと思うから。」

そんな事を話している内に店の前に着いた2人は店内に入る事にした。
店員に案内して貰った部屋には既に湊の姿があった。


軽く挨拶を済ませて食事をし雑談に華を咲かせていた。そして

「そういえば湊の職業ってなんなの?清水さんも聞きたがってたし」

「あぁ、そういえばその話で会う事にしたんだっけ。飲食店の店長やってるよ。雇われだけど。っていうかこの店が俺の店ね。」

桃華は驚いた。自身が何も考えずダラダラ過ごしている内に湊は店長となっていたのだ。

「凄いね。どうやってなったの?私就職活動で何したいのか分からなくて悩んじゃってて。」

湊は高校卒業後の経緯を話してくれた。
卒業後は2年間専門学校に通いながらアルバイトをし、卒業後に飲食業界に入りそのまま昇格し、店長を任されたのだという。

「結局どんな仕事でもやってたら慣れるし、普通に暮らす分は稼げるからそんなに悩み必要ないと思うよ。」

桃華はそんなものなのかと納得した。
その後も適当に雑談をしていると従業員が湊に近づき耳打ちをした。

「ちょっと機械のトラブルみたいだから席外すね。」

そういうと湊は席を離れた。
すると太樹が急に湊に話しかけて来た従業員に声をかけた。よく見るとまだ若く大学生1年生くらいの女の子だった。

「湊ってお店ではどんな感じなの?」

「速水さんすごく優しいって女子学生に人気です。年も近いしお兄ちゃんみたいだって思ってる人いっぱいいます。」

「そうなんだ。でもここだけの話さ湊って人の悪口とか普通に言うし性格悪いと思うよ」

太樹がそんな事を口走り湊の好感度を下げようとした。モテてるのが気に入らなかったからである。
しかし何も知らない桃華は(そんな事ないけどなぁ)と思っていたが後藤から返って来た言葉は違った。

「ありますよね。店長よくお客さんの悪口言ってるし、私前に店長にバイトに怒らないですよねって言ったら、別に興味ない人に怒んないよ面倒だしって言ってました。」

桃華は驚いた。桃華の知っている湊は誰に対しても愛想が良く困っているときには助けてくれるイメージだったからだ。
桃華も何回か助けて貰った事がある。

「湊くんって仲の良い人の前ではそんな感じなの?」

「うーん。まあ多分長い時間一緒にいたら分かると思うけど。本人も隠してるつもりないっぽいし。」

「私も聞いたことあるんですけど、隠してるんじゃなくて相手が勝手に勘違いしているだけって言ってましたよ。」

そんな事を話していると湊が戻って来た。

「直ったよ。っていうか後藤さんサボってないで仕事戻ってよ。もう少しで終わるでしょ。」

後藤は返事をし仕事に戻った。

「あいつ変な事言ってなかった?仲良い方なんだけど、ちょっとこの頃なめられてるなって思って」

そんな話をしながら湊から彼女の事を聞いた。
名前は齋藤雪菜といい、近くに大学に通っている。大学1年生で保育士を目指しているそうだ。

そうしている間に解散の時間となり店を出た。
外は寒く別れの挨拶をしていると見覚えのある人物が湊に近寄って来た。
齋藤雪菜だった。

「自転車が壊れちゃってて。店長どうしたらいいですか?」

「時間的にお店も開いてないだろうし明日修理に持っていったら?店に置いて帰っていいよ。」

湊がそういうと雪菜は少し不貞腐れた表情で

「明日来るの面倒だし家まで持ってきて下さい。私も女の子なんで夜道も怖いし。」

そんな事を言い出した。
桃華と太樹は驚いていたが湊は慣れた感じで対応していた。
結局湊と雪菜は一緒帰り、太樹と桃華で帰路に着いていた。

「湊くんと齋藤さんって付き合ってるのかな?」

太樹「どうだろう。でも齋藤さん明らかに湊の事好きだよね。いいなぁ、俺も彼女欲しいな。女子から見たら湊ってよく見えるの?」

「私が知ってる話だと、いい人には必ず名前が出てた感じかな。色々出来るし優しいし。」

太樹「そうなんだ。清水さんもなんか湊との思い出とかあるの?」

桃華「あるよ。私高校生の時ちょっと湊くんの事いいなって思ってた時期あったし。」

太樹「どんな話?」

桃華「内緒、教えるのちょっと恥ずかしいし」

そんな話をしながら家に帰り、桃華は高校生の頃の湊との思い出を蘇らせていたがよく思い出せない。
誰かに話した事ないかなと思い親友の大木七美に連絡を取った。


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