ただ平和な過ごしたいだけなのに

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王様に牛型の魔物を退治する様に言い付けられた西南学園一行は、兵士達の案内で魔物がいるという洞窟まだ辿り着いた。

(これから冒険が始まるんだ!)

柳原は期待に胸を膨らませ、洞窟に入って行った。


中に入るとそこには漫画やアニメで見た様な魔物、ミノタウロスがいた。

「先ずはグループ毎に一体ずつ慎重に倒して行きましょう。私達もサポートしますのでご安心ください。」

兵士達はそういうと、各グループのサポートに回った。



「大丈夫だ。訓練通りにやろう。」

山岸がBグループに声を掛けた。

(そうだ。訓練通りにやれば大丈夫だ。気持ちを落ちつかせろ。)

柳原は深呼吸をすると状況を分析する事にした。
ミノタウロスは斧を持っている。山岸の「豪拳」で拳を硬化すれば受け止めれるだろうが、相手の攻撃力がわからない以上危険だ。
武器を持っている俺が一旦相手をしよう。隙をみて峰の「爆撃」で斧を破壊して山岸の「豪拳」で攻撃していこう。

「俺が相手を引きつけるから、峰が隙をみて斧を破壊してくれ。山岸は武器が無くなった後に攻撃を、藤田は最初に俺にバフをかけてくれ。その後はいつでも回復できる様に準備を。」

「「「おう!!!」」」

3人が返事をし、戦闘が始まった。

ミノタウロスが斧を振りかぶり、柳原が受け流す。

(一撃は中々思いが動作が大きい分、隙があるな。)

考えて事をしていると斧が目の前まで迫っていた。
(しまった!)柳原が不意に一撃を貰いBグループの顔に焦りが見える。
だが柳原に痛みはいつまで経っても襲って来ない。

「防御力UPの魔法をかけたので大丈夫です!皆さん攻撃に専念して下さい。」

藤田が叫ぶ。
柳原は初めて藤田の魔法の効力を実感した。
(これは凄いな。痛みが全くないどころか傷一つ付いていない。体が鎧になったみたいだ。)
そして柳原はミノタウロスを睨み付け
「お返しだ!」と言い、右腕に剣を刺した。

「峰!今だ!」

「もう来てるよ。」

柳原が叫ぶと同時に峰は近くに来ており、ミノタウロスの斧に触れた。
峰が

「みんな離れて!」

そういうとミノタウロスの斧が爆発した。

煙がはれて見えた景色に柳原は息を呑んだ。正直想像以上の威力だった。
斧を壊すだけの予定だったが、ミノタウロスは右腕がなくなり、全身血塗れだった。

「はは…やりすぎたかな。」

峰自身も驚いた表情をしていると

「上出来すぎんだろ。俺にも活躍の場残しとけよ。」

声がする方を見ると山岸がミノタウロスの前に立っていた。
空手の正拳突きを行うとミノタウロスは飛んでいき壁に激突した。

「「「よっしゃー!」」」

(凄いぞ!想像以上の力だ。このチームなら魔王にだって勝てる。)
柳原がそう思っていると“ガラッ”という音がした。音がする方を振り返るとミノタウロスが左手に斧を持っていてこちらに向かって投げようとしていた。

(しまった!油断した)

皆んながそう思い目を閉じたが、何も襲ってこない。恐る恐る目を開けるとミノタウロスの首に背後から剣が刺さっていた。ミノタウロスの息が絶えると人影が見えた。柳原であった。

「ふぅ、ギリギリ間に合ったな」

暗殺者の能力の1つ影移動
自身の影から相手の影へ移動出来る能力が背後限定とはなるが瞬間移動が出来る。

「お見事です。ミノタウロスは攻撃力が高く強力な魔物なのですが倒してしまわれるなんて…正直な話をすると、勝てない様でしたら我々兵士が守りながら撤退する流れになっていました。私達では逃げ切る事は出来ますが倒す事は出来ないので…」

「そうなんですね。他のグループは大丈夫だったんですか?」

藤田がそう聞くと状況を教えてくれた。


Aグループはなんとか倒せたそうだが、赤崎が単独で倒した様だ。

百瀬、大黒の女子達は魔物を見て発狂し、無闇矢鱈と周囲に魔法を連発したらしい。なまじ高位のスキルである為威力が強く洞窟が崩壊する恐れがあったので、兵士が気絶させたそうだ。
翠川はもっと酷かった。
相手を舐めてかかり、ミノタウロスの目の前に立ち、攻撃を使用として右腕を切り落とされた。
翠川の「竜覇拳」は強力な一撃を放つ為に、溜めが存在する。本来なら溜めの間は誰かのサポートが必要となるのだが、訓練をせずに1ヶ月間スキルを使っていなかった翠川が知っている訳もなくミノタウロスの攻撃をくらった。
Aグループは撤退する事になったが3人を庇いながら逃げるのが厳しいと兵士が考えている中足止めを買って出たのが赤崎だ。
赤崎は3人が安全な場所へ運ばれるまでの間、一人でミノタウロスと戦い、そのまま倒してしまったそうだ。
赤崎の「剣聖」は間違いなく現状で最強のスキルだろう。

Cグループ
こちらは以外な事に誰もやられる事なく撃破したそうだ。

兵士の話によると、橘の「狙撃」で遠距離から弓矢で攻撃して徐々に弱らせたらしい。
その後は堺の「聖女」でバフがかかった状態の遠藤が「転移」でミノタウロスに一気に近づき斧を奪った。
遠藤もミノタウロスに攻撃をくらったそうだが平気だったそうなので「聖女」のバフのお陰だろう。

(俺たちがかけて貰ったものより上位スキルのバフなのでその効果はかなり凄いだろうな)

武器を奪った遠藤はまたミノタウロスと距離をおき、森内の「増殖」で斧を増やし遠藤の「転移」で複製した斧を投下し続け倒したらしい。

(Aは思った通りの結果だったが、Cグループは意外だったな。多分誰かが作戦を考えている筈だ。遠藤・堺のどちらかだろう。あの二人は元々頭がよかったからな)

「負傷者もいるので一旦外に出て休憩します。その後は洞窟の奥に行き複数体の討伐を得た帰還する流れとなります。」

兵士からそう言われたので柳原達は着いていく事にした。




「やっぱり変だよなぁ、どうしよっかな」

「やっぱり。■■■は気付いてそうだって思った。」

「■■■。まあ流石にね。どうする?みんなにも伝えたほうがいいかな。」

「うーん。でも今言っても信じてくれないと思うよ。しかも下手したら自分が危なくなっちゃうし」

「やっぱりそうだよね。そもそも誰が敵かもわかんなかったし。まあ自分達優先って事で行こうかな。」

「そうしようね。あー、でもいざって時は助けてくれる?」

「■■■だけならいいよ。」

「ありがとう。流石■■■。頼りにしてるね。」



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