ただ平和な過ごしたいだけなのに

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西南学園2年生はいつも通り登校していた。もうすぐ授業が始まるので全員が教室に入っていると、突如光に覆われて気がつくと見知らぬ建物にいた。

「勇者様方、突然の事で申し訳ありません。どうかこの世界を救っては頂けませんか?」

声がする方へ目を向けるとそこには本で見た事があるような、王様や王女様、兵士などの姿があった。
その後はよくある質問のように日本に帰れるのかなどの質問があったが当然帰れない。
ここ数年で異世界転生と言うのは漫画やラノベで有名になっており、大体の生徒は状況を理解できていたし、楽しみにしている生徒もいた。

柳原剣斗もその一人だ。学校では目立つ方ではなくオタク気質であり、このような状況は何度も夢に見てきた。

(異世界転生は本当にあったんだ。よし、落ち着けまずは状況を確認しないと、この場合だと何か凄い能力がある筈だ。
セオリー通りだとクラスのリア充勢が聞いてくれるだろう。)

そんな事を考えていると、学級委員である赤﨑聖が「どうやって戦えばいいのか」と言う質問をした。
返答は1人につき1つオリジナルのスキルがあるらしくそれらを使って戦うようだ。

そしてスキルの判定が行われた。
協力なスキルを手にしたものは強気になり、逆に弱いスキルのものは怯えて行った。
そうしている間に自然とグループが分かれて行った。

赤﨑聖率いる陽キャグループ

Aグループ
赤﨑 聖 スキル「剣聖」
翠川龍二 スキル「竜覇拳」
百瀬 華 スキル「魔導」
大黒眞子 スキル「黒魔法」

大当たりのスキルだらけのグループだ。

「剣聖」攻守揃っている万能なスキルの上、回復魔法を使う事も出来る

「竜覇拳」攻撃力に全振りした能力だが、その一撃は「剣聖」の力を上回るらしい。

「魔導」魔法を高水準で使いこなせるスキルだ。攻撃だけでなく、バフ、デバフ、回復、索敵などなんでも出来る。

「黒魔法」攻撃魔法を使いこなせるスキルだ。遠距離攻撃に置いて協力な武器である事に間違いない。

次に俺たちのグループだ。

Bグループ
柳原剣斗 スキル「暗殺者」
峰 隼人 スキル「爆撃」
藤田 光 スキル「白魔法」
山岸慶次 スキル「豪拳」

「暗殺者」スピードや気配を断つ事に置いては最強のスキルだ。攻撃力はないが武器などで補えるので当たりだ。

「爆撃」手で触れた相手や箇所を爆破する事が出来る。遠くの相手にはあまり使えないのが欠点だ。

「白魔法」回復やサポート専門の魔法を使いこなせるスキルだ。

「豪拳」拳で攻撃する際の威力が上昇するらしい。山岸慶次は空手部の為、相性が良さそうだ。

俺たちのグループはAグループよりスキルでは見劣りするが何よりも知識で勝っている。
スキルは理解していく程に出来る事が増えていくらしいので、見劣りするスキルでも能力を使いこなせる方が強い。
それに他にも隠されて能力があるかもしれない。

最後のグループはクラスでもよく1人でいる奴らだ。

Cグループ
遠藤圭介 スキル「転移」
森内 明 スキル「増殖」
堺 京香 スキル「聖女」
橘 蓮香 スキル「狙撃」

「転移」移動には使えるが正直戦闘には向いていない。その上、目に見える範囲しか移動できない。一応物質の移動も出来るみたいだ。

「増殖」持ちものを増やす事が出来るスキルだ。片手で触れている物をもう片方のてから増やす事が出来るらしいが、生き物は増やせず、回復薬なども複製した方は効果はなくなる。

「聖女」これは大当たりのスキルだ。本当はAグループに誘われていたが人数のバランスでCに入る事になった。
回復は能力が凄く、鍛えたら欠損した部位なんかも一瞬で治せるらしい。

「狙撃」これだけだとそこそこ使えそうだと思えるが、この世界では遠距離攻撃は魔法が主流の為、扱い難い。
一応弓矢を使う事になっているが威力は魔法に遠く及ばないのでやはり不便だ。

残りのクラスメイトは戦う事を放棄した。
王様もその辺りは考慮していた様で、最低限の生活は保障してくれるそうだった。

その後は各グループ毎に基礎訓練などを受けたり、今度の方針について話し合う事にした。


Bグループside

「正直に言って他の2グループはあんまり当てにならないと思う。訓練を見ていて、Aはスキルは強いけど、使い方がまるでなっていなかった。Cはそもそもスキルも微妙でパーティバランスもなっていない。特に遠藤くんと堺さんは訓練に参加せず町に向かって行ったし。俺たちが魔王を倒すしかないと思う。」

剣斗がそう言うと、グループのメンバーは全員が納得した。それ程今日の訓練は酷かったのだ。

Aは赤崎は「剣聖」のスキルを使いこなす為に、剣を覚えたりしていたが、その他のメンバーは強力なスキルを得た事で天狗になっており、談笑をして過ごしていた。赤崎が訓練するように言っても「こんなに強いから大丈夫だ」と言った感じで聞く耳を持たなかった。

Cはメンバー全員兵士からスキルについての話を聞いたり、武器の使い方などの訓練をしていたが、途中で遠藤と堺が町に行くといい訓練に参加しなくなった。

Bグループは真面目訓練した。夢にまで見た異世界で元の世界では不可能な能力を使う事が出来ると言う環境が彼らにとっては楽園の様な物であったからだ。

そんな訓練を終えて今に至る。

「とりあえず、今日聞いた情報と現状の僕らの戦略を考えよう。」

まずはスキルについてだが、これは現在持っているオリジナルスキル以外にも訓練によって覚える事が出来るものがあるらしい。
例えば「索敵」を覚えると数キロ先の気配がわかる様になったり、「剣術」を覚えたら剣技の威力が上昇すると言ったものだ。

「これは結構大事だと思う。ゲームでもスキルは多い方が強いし。訓練は継続して行っていこう。」

「そうだね。スキルが多くて困る事はないし。じゃあ次に戦略だけど、どうする?」

全員のスキルを踏まえた上で考えた結果、峰と山岸は一撃の威力が高い為、前衛で敵を引きつけつつチャンスを窺う。その隙に、スピードのある柳原が相手を攻撃し弱らせたりスキを作る。その隙を見逃さず峰と山岸がトドメを指すと言った寸法だ。藤田は補助系の魔法でサポートしつつ、怪我の際の回復が役割となっている。



訓練が始まって3週間が経ったが、状況は余り良くないと思う。

Aグループは慢心が続いており、戦う事を放棄したクラスメイト達をこき使ったり、虐めたりしていた。
相変わらず、赤崎だけは真面目に訓練していたが、他のメンバーが問題を起こす度に誤りに行ったり、止めに入ったりしていたので集中して訓練する事は出来ていなかった様に思う。

Bグループはスキルの研磨やパーティの行動などを確認していた。しっかり訓練していたので、その分成果も表れていた。全員がスキルを複数身に付ける事が出来た上に、オリジナルスキルで出来る事が増えたメンバーもいた。
山岸の「豪拳」が拳が鋼の様に硬化出来る様になり、さらに拳から気の様なものが出せるようになった。これで遠距離攻撃も可能だ。
柳原の「暗殺者」も進化し、影に潜れる様になった。これは戦闘でもかなり使える便利な能力だ。

Cグループは訓練はしっかりしているが特にこれといった変化はない。
特にメンバー同士が仲良いわけでもないので会話もない。スキルは一応身についているみたいであるが、あの調子だと連携は取れないだろう。そして極め付けは、遠藤と堺の2人だ。2人とも訓練を一定時間終えると何処かに消える。
後を追った頃もあるが2人一緒にどこかに行っている訳でもなく、町を見回ったり、丘から遠くを眺めているだけだった。何がしたいのかも理解出来ないのでどうしようのなかった。


そんな状況のなか1ヶ月が経った頃、王様から呼び出された。訓練の成果を見せて欲しいとの事だ。
内容としては近くの洞窟内に牛型の魔物がいるので退治して欲しいという依頼だった。

柳原は遂に戦う時が来たと思い興奮していた。この後、何が起こるかも知らずに…


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