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一度の会議じゃ纏まらない
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会議は主に俺が魔人の情報を話すだけで質問があれば随時回答していくスタイルで進んだ。
知っている情報を全て伝え終え、解散の時間が近付いていたのだが……
『まあ、現状出来る対策は単独でダンジョンに潜らない様にする事くらいかのう。』
『そうですね。後は何か緊急時に連絡出来る手段を準備しておきましょう。携帯なんかは高額ですし、戦闘の影響で壊れやすいですからね…防犯ブザーみたいな物でどうでしょうか?』
『デカい音だと魔獣が寄って来ますよ…まあ、魔人の相手をするよりマシかも知れませんが…あ…でも囲まれたらそれこそ終わりか…でも魔人単体でもヤバいし…もう諦めるしかないんじゃ…』
『宵越君は相変わらず弱気だね~。
探索者に協力を仰いで、各階層に警備をして貰うってのはどうかな?報酬を用意したら誰かしらはやってくれると思うんだけど。』
「ダンジョン内に入れば職員の目は届かない。適当に時間潰して報酬だけ貰う輩も出てくるぞ。」
『結局のところ、今まで通り自分たちで対応するしかないんじゃないかい?
元々僕たち探索者は危険な仕事だ。皆、それをわかった上で探索者になってるんだ。
自分の命は自分で守るしかない!』
こんな感じで話が一向に進まない。
魔人と出会った場合どうするかという話だが、大きな音で周囲に知らせれば魔獣に狙え破れる。携帯などの電子機器は戦闘の影響で壊れかねない。
結局、話しが纏まる事はなく解散の時間が訪れた。
『時間となりましたので会議を終わります。
皆さん、お忙しい中時間を割いて頂きありがとうございました。
本日この場に来れなかった方々には私共、ギルド職員から伝えておきます。』
トップランカーの探索者はそれなりに仕事を抱えている。
今回この場へ来れなかった探索者も数多く居て、その殆どが未だにスタンピードの残党を相手にしていたからだ。
会議を終え、皆がモニターの電源を切断していく。
俺も会議室を離れ、隆二と共にギルド1階へと降りて行った。
「どうだった?トップランカー達と話してみた感想は?」
「いや、会話しただけだから何とも…それに氷華とは半年間一緒に行動してたからな。特に何も感じなかったよ。」
「そんなもんかねぇ。普通もう少し萎縮するとかあるだろうに…」
「悪かったな。」
他愛のない会話をしながら階段を降りていたその時、携帯の着信音は鳴り響く。
相手を確認するが、知らない番号からだった。
「はい。榊ですけど…」
『榊くんかい?僕だよ、鳳凰院聖也だ!
個人的にちょっと話したい事があってね。小郡さんから番号を聞いたんだ!彼女と君は仲が良いみたいだからね!』
電話越しでも伝わる暑苦しさにこの大声。間違いなく鳳凰院聖也その人だ。
「個人的な話って一体どんな話ですか?」
『君も知ってるだろうけど、東京は未だにスタンピードを鎮める事が出来ていないんだ。
原因は単純でダンジョンの数が多過ぎるから。東京は23区全てにダンジョンがある。
蝶野さんの協力もあって数カ所は取り戻したけど別の区から次々と魔獣が溢れ出る所為で奪還が進んでいない状況だ。
僕たちは準備が整い次第、残りの地区を一斉に解放しようと考えている。魔人の件でどこも大変だと思うが、時が来たら協力してくれないかい?』
なるほど…確かに他の県に比べ、東京の被害は深刻だと聞く。1カ所ずつ地道に解放しても、他の地区から魔獣が溢れて来たら意味がない。それを防ぐ為に一斉解放しようという訳か。
「協力は構いませんが、こんな事があったばかりなので暫くの間は動けません。
タイミングが合えばいいのですが…」
流石に今すぐこの場を離れる訳にはいかない。
あの魔人がいつ現れるかわからないのだ。
スタンピードみたいに地上に現れる可能性だって拭いきれない。
『勿論それで構わないよ。準備に最低でも半年はかかりそうだしね。その時は来たら連絡させて貰うよ。それじゃあ!』
電話が切れる。
半年か…魔人の件もあり、探索者も拠点から動かなくなっている。
一体何人集まるのだろうか…
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知っている情報を全て伝え終え、解散の時間が近付いていたのだが……
『まあ、現状出来る対策は単独でダンジョンに潜らない様にする事くらいかのう。』
『そうですね。後は何か緊急時に連絡出来る手段を準備しておきましょう。携帯なんかは高額ですし、戦闘の影響で壊れやすいですからね…防犯ブザーみたいな物でどうでしょうか?』
『デカい音だと魔獣が寄って来ますよ…まあ、魔人の相手をするよりマシかも知れませんが…あ…でも囲まれたらそれこそ終わりか…でも魔人単体でもヤバいし…もう諦めるしかないんじゃ…』
『宵越君は相変わらず弱気だね~。
探索者に協力を仰いで、各階層に警備をして貰うってのはどうかな?報酬を用意したら誰かしらはやってくれると思うんだけど。』
「ダンジョン内に入れば職員の目は届かない。適当に時間潰して報酬だけ貰う輩も出てくるぞ。」
『結局のところ、今まで通り自分たちで対応するしかないんじゃないかい?
元々僕たち探索者は危険な仕事だ。皆、それをわかった上で探索者になってるんだ。
自分の命は自分で守るしかない!』
こんな感じで話が一向に進まない。
魔人と出会った場合どうするかという話だが、大きな音で周囲に知らせれば魔獣に狙え破れる。携帯などの電子機器は戦闘の影響で壊れかねない。
結局、話しが纏まる事はなく解散の時間が訪れた。
『時間となりましたので会議を終わります。
皆さん、お忙しい中時間を割いて頂きありがとうございました。
本日この場に来れなかった方々には私共、ギルド職員から伝えておきます。』
トップランカーの探索者はそれなりに仕事を抱えている。
今回この場へ来れなかった探索者も数多く居て、その殆どが未だにスタンピードの残党を相手にしていたからだ。
会議を終え、皆がモニターの電源を切断していく。
俺も会議室を離れ、隆二と共にギルド1階へと降りて行った。
「どうだった?トップランカー達と話してみた感想は?」
「いや、会話しただけだから何とも…それに氷華とは半年間一緒に行動してたからな。特に何も感じなかったよ。」
「そんなもんかねぇ。普通もう少し萎縮するとかあるだろうに…」
「悪かったな。」
他愛のない会話をしながら階段を降りていたその時、携帯の着信音は鳴り響く。
相手を確認するが、知らない番号からだった。
「はい。榊ですけど…」
『榊くんかい?僕だよ、鳳凰院聖也だ!
個人的にちょっと話したい事があってね。小郡さんから番号を聞いたんだ!彼女と君は仲が良いみたいだからね!』
電話越しでも伝わる暑苦しさにこの大声。間違いなく鳳凰院聖也その人だ。
「個人的な話って一体どんな話ですか?」
『君も知ってるだろうけど、東京は未だにスタンピードを鎮める事が出来ていないんだ。
原因は単純でダンジョンの数が多過ぎるから。東京は23区全てにダンジョンがある。
蝶野さんの協力もあって数カ所は取り戻したけど別の区から次々と魔獣が溢れ出る所為で奪還が進んでいない状況だ。
僕たちは準備が整い次第、残りの地区を一斉に解放しようと考えている。魔人の件でどこも大変だと思うが、時が来たら協力してくれないかい?』
なるほど…確かに他の県に比べ、東京の被害は深刻だと聞く。1カ所ずつ地道に解放しても、他の地区から魔獣が溢れて来たら意味がない。それを防ぐ為に一斉解放しようという訳か。
「協力は構いませんが、こんな事があったばかりなので暫くの間は動けません。
タイミングが合えばいいのですが…」
流石に今すぐこの場を離れる訳にはいかない。
あの魔人がいつ現れるかわからないのだ。
スタンピードみたいに地上に現れる可能性だって拭いきれない。
『勿論それで構わないよ。準備に最低でも半年はかかりそうだしね。その時は来たら連絡させて貰うよ。それじゃあ!』
電話が切れる。
半年か…魔人の件もあり、探索者も拠点から動かなくなっている。
一体何人集まるのだろうか…
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