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魔人戦4
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草介が透吾の前に降り立った後、彼に続く様に1人の魔人が何やら歪な姿をした化け物を抱え、透吾の横に降りて来た。
「悪い、透吾。あの男、思ってたより強くて…太雅の野郎、あっという間にやられちまった。」
「別にいいよ♪太雅はアジトに送ろう。コイツはいい実験体だからね♪」
ゆっくりと吸い込まれる様に地面の中へと消えて行く。
その隙に、同じように吸い込まれていた茉央達を救出する。
「気をつけて下さい。あの男、ダンジョンの地形を操ります。生半可な攻撃は通用しません。」
「なるほどね。だとしたら破壊力のある攻撃がいいって事か。一旦、この洞窟から出よう。こんな狭い場所じゃ戦い辛い。」
ここまで壊れても、ダンジョンは必ず元の形に修復する。時間はかかるだろうが、いずれ元通りの洞窟に戻るのだ。
地形を操る相手と一面が壁で覆われている洞窟内で戦うのは不利。そう判断した草介はいち早く洞窟からの脱出を試みた。
「毒邪龍《ヒュドラ》」
毒邪龍《ヒュドラ》の巨体を利用し、上空に開いた穴から脱出を試みる。
「させねえよ!」
神代が【巨大化《ギガント》】を発動し、毒邪龍《ヒュドラ》より一回り大きな体になる。
「それの弱点はさっき教えただろ。もう忘れたのか?」
超加速で足元まで接近していた草介が、その巨体の膝を蹴り倒す。
「レベル差がある相手の前で巨大化するなんて…ただ的を広げてるだけだぞ。お前、馬鹿なのか?」
「何だと!この程度の攻撃、痛くも痒くもねえんだよ!」
起き上がろうとするも、顔面を蹴られ、またしても倒れてしまう。
「クソが…テメエの何処にこんな力が…」
「君、さっき何かを口にしてたよね。ドーピングかな♪」
あいつ…強いな。あの3人の中でも別格だ。
「ほら、ただの種だよ。」
そう言うと、バッグから種を取り出し透吾へ投げつける。
「これは…剛力の種か。増力剤なんかの素材に使われる種だね。だけどこれ一つじゃ大した効果は得られない筈だ。何でこれを食べてるんだい?」
剛力の種とは増力剤と呼ばれる探索者が使う一種のドーピングアイテムの材料となっている種だ。1分間攻撃力を増加する効果があるが、持続時間の短さから戦闘中に飲まなければいけないという欠点がある為、そこまで使われる事はない。
そして、増力剤は剛力の種+薬草+良水を錬成する事で完成し、初めて効力を十分発揮する。剛力の種単体では数秒で効力がなくなる為、まるで意味がない。
因みに剛力の種はダンジョン内のそこら中に生えているので幾らでも採取できる。
だが、草介に限っては例外だ。
「さあ?小腹が空いたからじゃないか?」
「まともに答える気はない…か。……死ね。」
壁が槍のように変形し、草介を串刺しにしようとする。
しかし、槍が体に触れる直前草介の姿が消えた。
「【超加速】か。それはさっき見たよ。」
一度見たスキルは既に対策済み。
超加速での移動速度を把握していた透吾は、動きを先読みし、草介が移動する筈の場所へ無数の棘を作り出す。
「これで串刺しだね。さて…まだ息はあるかな?」
様子を見ようと振り返る。
すると、とぐろを巻いた蛇が草介を守る様に彼の体を覆っていた。
「ほう…それは?」
「五毒大帝《ごどくたいてい》:大蛇《オロチ》」
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「悪い、透吾。あの男、思ってたより強くて…太雅の野郎、あっという間にやられちまった。」
「別にいいよ♪太雅はアジトに送ろう。コイツはいい実験体だからね♪」
ゆっくりと吸い込まれる様に地面の中へと消えて行く。
その隙に、同じように吸い込まれていた茉央達を救出する。
「気をつけて下さい。あの男、ダンジョンの地形を操ります。生半可な攻撃は通用しません。」
「なるほどね。だとしたら破壊力のある攻撃がいいって事か。一旦、この洞窟から出よう。こんな狭い場所じゃ戦い辛い。」
ここまで壊れても、ダンジョンは必ず元の形に修復する。時間はかかるだろうが、いずれ元通りの洞窟に戻るのだ。
地形を操る相手と一面が壁で覆われている洞窟内で戦うのは不利。そう判断した草介はいち早く洞窟からの脱出を試みた。
「毒邪龍《ヒュドラ》」
毒邪龍《ヒュドラ》の巨体を利用し、上空に開いた穴から脱出を試みる。
「させねえよ!」
神代が【巨大化《ギガント》】を発動し、毒邪龍《ヒュドラ》より一回り大きな体になる。
「それの弱点はさっき教えただろ。もう忘れたのか?」
超加速で足元まで接近していた草介が、その巨体の膝を蹴り倒す。
「レベル差がある相手の前で巨大化するなんて…ただ的を広げてるだけだぞ。お前、馬鹿なのか?」
「何だと!この程度の攻撃、痛くも痒くもねえんだよ!」
起き上がろうとするも、顔面を蹴られ、またしても倒れてしまう。
「クソが…テメエの何処にこんな力が…」
「君、さっき何かを口にしてたよね。ドーピングかな♪」
あいつ…強いな。あの3人の中でも別格だ。
「ほら、ただの種だよ。」
そう言うと、バッグから種を取り出し透吾へ投げつける。
「これは…剛力の種か。増力剤なんかの素材に使われる種だね。だけどこれ一つじゃ大した効果は得られない筈だ。何でこれを食べてるんだい?」
剛力の種とは増力剤と呼ばれる探索者が使う一種のドーピングアイテムの材料となっている種だ。1分間攻撃力を増加する効果があるが、持続時間の短さから戦闘中に飲まなければいけないという欠点がある為、そこまで使われる事はない。
そして、増力剤は剛力の種+薬草+良水を錬成する事で完成し、初めて効力を十分発揮する。剛力の種単体では数秒で効力がなくなる為、まるで意味がない。
因みに剛力の種はダンジョン内のそこら中に生えているので幾らでも採取できる。
だが、草介に限っては例外だ。
「さあ?小腹が空いたからじゃないか?」
「まともに答える気はない…か。……死ね。」
壁が槍のように変形し、草介を串刺しにしようとする。
しかし、槍が体に触れる直前草介の姿が消えた。
「【超加速】か。それはさっき見たよ。」
一度見たスキルは既に対策済み。
超加速での移動速度を把握していた透吾は、動きを先読みし、草介が移動する筈の場所へ無数の棘を作り出す。
「これで串刺しだね。さて…まだ息はあるかな?」
様子を見ようと振り返る。
すると、とぐろを巻いた蛇が草介を守る様に彼の体を覆っていた。
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「五毒大帝《ごどくたいてい》:大蛇《オロチ》」
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