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オーダーメイドは高すぎる
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虎徹について行き店の奥に向かうとそこは工房になっており、一般的な武具店では見た事ない装備が置いてあった。
「これは…」
「こいつらは俺が魔獣の素材で一から作ったものだ。俺は昔、探索者をしててよ。そこで鍛治スキルを獲得しこうやって工房を立ち上げたんだ。昔から武器作るのが好きでなぁ。探索者になったのもスキルを得るためだ。」
歳老いた探索者がセカンドライフとして鍛治職人になるのは珍しくない。だが、店主はパッと見30代。引退するにしては若い。
鍛治職人になりたくて探索者になる人間には初めて会った。こういう人もいるんだなぁ。
工場にある装備品を見渡すが、名前も性能も記載されていないのでよくわからない。こういう時に鑑定のスキルがあれば便利なのになぁ。よし、決めた。レベルアップしたらスキルポイント使って【鑑定】覚えよ。
工房にある装備には名前、性能、料金が記載されていない。まあ、工房にあるって事はまだ完成品じゃないんだろうな。オーダーメイドの装備は金がかかる。俺には手が出せない領域だ。
「工房まで見せて頂いてありがとうございます。ですがオーダーメイド装備はまだ早すぎるんでさっきの装備で大丈夫です。後ナイフとか野営に必要な物が一式あれば有難いのですが。」
「まあ話を聞け。俺はお前に惚れ込んだんだ。お前が俺の武具を使ってくれる事で宣伝にもなるから俺も得する。それに金の心配なら要らねえ。ギルド職員からたんまり貰ってるからよ。これでお前に装備作ってくれって頼まれてんだ。あいつらの気持ちを無下にしてやるな。」
オーダーメイドは最低でも100万円くらいかかると聞く。そんな大金を準備してくれてたなんて…
ギルド職員の優しさに少し泣きそうになる。
これを受け取らないのは男じゃないよな。
「ありがとうございます。有り難く頂きます。」
「おう。じゃあ早速、どんな武器がいいかだが何か好みはあるか?どのステータスを重視しているとか、武器はどんな形がいいとか。」
う~ん。あんまり重いのは嫌だからなぁ。ある程度の耐久力は欲しいが動きやすい装備がいい。武器はやっぱり使い慣れてる剣かなぁ。遠距離攻撃は【毒撃《ポイズンショット》】があるし、少なくとも遠距離武器は無しだな。
俺は武具の要望を虎徹に伝え、二人で話し合いながら最適の装備を選んでいく。
「…よし!これで大まかな形は決まったな。明日までに出来上がるから受け取りに来い。」
「ありがとう。助かったよ。」
すっかり意気投合した俺たちはいつの間にかタメ口で喋るようになっていた。
新しい装備にも目処が立ち、意気揚々と自宅へ帰ろうとし、ふと思い出す。
「そうだ。そういえば惑わしの森で異常種を倒したんだがこれを使う事は出来るか?」
デモンラビットから剥ぎ取った角を虎徹に渡す。
「そいつは…っておい!!今すぐそいつを手放せ!!」
急に声を荒げた虎徹にビックリして角を落としてしまう。
「なんなんだよ。一体どうしたんだ?」
「どうしたじゃねえ。その角、猛毒を宿してるぞ。人が触って良いもんじゃねえよ。お前大丈夫なのか?」
「ああ、毒耐性持ってるから平気だよ。」
そんな騒ぐ事じゃないだろうに。いくら俺が弱いからって毒耐性くらい殆どの冒険者が持ってるものだろう。まあ、俺は最近まで持ってなかったけど…
「耐性なんかでどうにかなるレベルじゃねえよ!俺も【毒耐性Ⅲ】を持ってるがそれでもこんなん素手で触ったら溶けちまうっての。」
「ああ、俺【毒耐性Ⅹ】だから。」
そう告げると虎徹は驚いた顔で俺の事を見ている。
「何か変な事を言ったか?草食うだけでカンスト出来るんだから普通に冒険してる奴らは全員持ってるもんだろ。」
「お前…どんな探索してるんだよ…」
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「これは…」
「こいつらは俺が魔獣の素材で一から作ったものだ。俺は昔、探索者をしててよ。そこで鍛治スキルを獲得しこうやって工房を立ち上げたんだ。昔から武器作るのが好きでなぁ。探索者になったのもスキルを得るためだ。」
歳老いた探索者がセカンドライフとして鍛治職人になるのは珍しくない。だが、店主はパッと見30代。引退するにしては若い。
鍛治職人になりたくて探索者になる人間には初めて会った。こういう人もいるんだなぁ。
工場にある装備品を見渡すが、名前も性能も記載されていないのでよくわからない。こういう時に鑑定のスキルがあれば便利なのになぁ。よし、決めた。レベルアップしたらスキルポイント使って【鑑定】覚えよ。
工房にある装備には名前、性能、料金が記載されていない。まあ、工房にあるって事はまだ完成品じゃないんだろうな。オーダーメイドの装備は金がかかる。俺には手が出せない領域だ。
「工房まで見せて頂いてありがとうございます。ですがオーダーメイド装備はまだ早すぎるんでさっきの装備で大丈夫です。後ナイフとか野営に必要な物が一式あれば有難いのですが。」
「まあ話を聞け。俺はお前に惚れ込んだんだ。お前が俺の武具を使ってくれる事で宣伝にもなるから俺も得する。それに金の心配なら要らねえ。ギルド職員からたんまり貰ってるからよ。これでお前に装備作ってくれって頼まれてんだ。あいつらの気持ちを無下にしてやるな。」
オーダーメイドは最低でも100万円くらいかかると聞く。そんな大金を準備してくれてたなんて…
ギルド職員の優しさに少し泣きそうになる。
これを受け取らないのは男じゃないよな。
「ありがとうございます。有り難く頂きます。」
「おう。じゃあ早速、どんな武器がいいかだが何か好みはあるか?どのステータスを重視しているとか、武器はどんな形がいいとか。」
う~ん。あんまり重いのは嫌だからなぁ。ある程度の耐久力は欲しいが動きやすい装備がいい。武器はやっぱり使い慣れてる剣かなぁ。遠距離攻撃は【毒撃《ポイズンショット》】があるし、少なくとも遠距離武器は無しだな。
俺は武具の要望を虎徹に伝え、二人で話し合いながら最適の装備を選んでいく。
「…よし!これで大まかな形は決まったな。明日までに出来上がるから受け取りに来い。」
「ありがとう。助かったよ。」
すっかり意気投合した俺たちはいつの間にかタメ口で喋るようになっていた。
新しい装備にも目処が立ち、意気揚々と自宅へ帰ろうとし、ふと思い出す。
「そうだ。そういえば惑わしの森で異常種を倒したんだがこれを使う事は出来るか?」
デモンラビットから剥ぎ取った角を虎徹に渡す。
「そいつは…っておい!!今すぐそいつを手放せ!!」
急に声を荒げた虎徹にビックリして角を落としてしまう。
「なんなんだよ。一体どうしたんだ?」
「どうしたじゃねえ。その角、猛毒を宿してるぞ。人が触って良いもんじゃねえよ。お前大丈夫なのか?」
「ああ、毒耐性持ってるから平気だよ。」
そんな騒ぐ事じゃないだろうに。いくら俺が弱いからって毒耐性くらい殆どの冒険者が持ってるものだろう。まあ、俺は最近まで持ってなかったけど…
「耐性なんかでどうにかなるレベルじゃねえよ!俺も【毒耐性Ⅲ】を持ってるがそれでもこんなん素手で触ったら溶けちまうっての。」
「ああ、俺【毒耐性Ⅹ】だから。」
そう告げると虎徹は驚いた顔で俺の事を見ている。
「何か変な事を言ったか?草食うだけでカンスト出来るんだから普通に冒険してる奴らは全員持ってるもんだろ。」
「お前…どんな探索してるんだよ…」
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