転生した悪役令息は破滅エンドをなかなか回避できない

ハバーシャム

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3年生

3人

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 フィオーネは、僕たちに客間でしばらく待機するよう伝え、どこかへ行ってしまった。

 フィオーネと入れ違いでルシスが僕たちの前に現れ、客間まで案内する。
 僕たちは備え付けられているソファに座るよう指示され、横に並んで座った。

「……」

 ただ黙ってフィオーネを待つ。考える時間が与えられれば与えられるほど、自分の行動が正しかったのか、自問自答したくなった。

 僕のやったことは間違ってなかっただろうか。それに、僕は……僕たちはこれからどうなってしまうのだろうか。

 客間の重厚な扉から音が聞こえてくるほど、相変わらず王宮内はバタバタしていた。
 しばらく待つと、客間のドアからフィオーネとグランが入ってきた。

 グランはセオリアスの隣に座り、フィオーネは机を挟んで僕たち3人の向かいにあるソファに腰を下ろした。

 フィオーネは、僕とセオリアスに視線をやりながら重い口を開いた。

「……まずはマリスとセオ。君たちのやった事は、明日にでも新聞に載るだろう。ものすごく大きなニュースになる。しばらくは満足に街も歩けないだろう。学園生活もどうなるか予想ができない」

 フィオーネは小さくため息を吐いた後、今度はグランの方に視線をやる。

「次にグラン。グランのやったことは王宮内の一部の人間しか知らないだろうけど、罪は罪。処罰されることは間違いないから覚悟しておいてくれ」
「あぁ」

 グランは小さく頷いた。フィオーネは手のひらを額に当てて、また小さなため息を吐いた。

「これから話し合いをして君たちの今後を決める。それまでは……本当なら身柄を拘束しておくべきなんだけど、君たちのやったことは前例が無くて、どう対処していいのかこちらも模索状態なんだ。
 それで、できれば自宅に居て欲しいんだけど、もし帰りたくないなら一時的なシェルターを用意しようと思ってる。どうする?」
「僕は家に帰ります。父と兄に、きちんと話をしてきます」
「そうか、わかった。セオは?」
「俺も帰って、ちゃんと話してきます」
「わかった。馬車を手配するから、それまではこの部屋から出ないでくれ」


「マリスに個人的な話があるから、俺の部屋で待っていてくれ」
「……はい」

 僕とフィオーネは、客間にセオリアスとグランを残して部屋から出た。

 一旦フィオーネと別れ、部屋の外で待機していたルシスと共にフィオーネの部屋に向かう。

 フィオーネの部屋には良い思い出がないからあまり入りたくないが、今はそんなわがままを言える状況でもない。
 僕は大人しく、ソファに座ってフィオーネを待った。
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