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2年生
冷たい客室
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「……わかった。とりあえず、エチカは大丈夫なんだな」
「うん!」
セオリアスのサラサラな髪の感触を楽しんでいると、セオリアスが急に立ち上がった。
その拍子に僕の手が頭から離れる。
「しかし、油断は禁物だ。今回のパーティーは父が信頼している奴ら……実際に奴隷を取引したことのある人間だけを呼んでいるんだ」
「え、そ、そんな……」
たしかに今年のパーティーの参加数は昨年に比べて少ないが、それでも数で言えば50人以上はいる。
中には優しそうなマダムや真面目そうな紳士もいた。しかし、裏では人間を売買しているだなんて、信じたくない。
「父はエチカを商品にしようとしているんだ。安易に不特定多数の貴族の前には出さねえよ。将来、エチカを表舞台から消すつもりなんだからな」
「そうか……だから厳選したって……」
「あぁ」
今もホールでエチカと話している貴族たちは、エチカが奴隷になっても気にしない人たちなんだ。
(もしかしたら、エチカを買おうと考えている人も……)
考えが止まらず、背筋がゾッとする。
「絶対、そんなことさせない……」
「あぁ。そして俺たちの最終目標は、今捕らえられている奴隷たちの解放だ」
セオリアスが僕の方を見てうなずく。僕も返事のようにうなずき返した。
僕たち2人しかいない広い空間に、ドアの隙間から入ってくる冷気が纏わりつく。
セオリアスは身体が冷えてきたからなのか、少しだけ身体を震わせた。
「それで、マリス。妃教育の方は順調か?」
「え、うん……?」
突然の問いかけに戸惑い、曖昧な返事をしてしまう。
「そうか……。なあ、俺たち、こうして2人きりで会うのはもうやめようぜ。マリスは、殿下と結婚しなければならないんだろ?」
セオリアスの言葉に、後ろから鈍器で殴られたような衝撃が走った。
「な、なんで……どうして……? セオリアスは、僕が今までフィオーネにされた仕打ちを知っていたよね……?」
僕の目からは涙が溢れて止まらなかった。セオリアスは一瞬だけ瞳を揺らしたが、ただ黙って俯いた。
「セオにだけは……言われたくなかった」
「マリ……っ、……フィオーネ殿下は今回パーティーに来ていない。きっと王族は白だ。大丈夫、殿下はマリスの味方になってくれる。殿下は、お前が思っているよりも、お前を大切に思っている」
そう言い残し、セオリアスが客室から出て行く。
しばらく僕は、肩を揺らして涙を流した。
揺れた反動で、頭から銀色の髪飾りがズレ落ちる。地面には冷たい音だけが響いた。
「うん!」
セオリアスのサラサラな髪の感触を楽しんでいると、セオリアスが急に立ち上がった。
その拍子に僕の手が頭から離れる。
「しかし、油断は禁物だ。今回のパーティーは父が信頼している奴ら……実際に奴隷を取引したことのある人間だけを呼んでいるんだ」
「え、そ、そんな……」
たしかに今年のパーティーの参加数は昨年に比べて少ないが、それでも数で言えば50人以上はいる。
中には優しそうなマダムや真面目そうな紳士もいた。しかし、裏では人間を売買しているだなんて、信じたくない。
「父はエチカを商品にしようとしているんだ。安易に不特定多数の貴族の前には出さねえよ。将来、エチカを表舞台から消すつもりなんだからな」
「そうか……だから厳選したって……」
「あぁ」
今もホールでエチカと話している貴族たちは、エチカが奴隷になっても気にしない人たちなんだ。
(もしかしたら、エチカを買おうと考えている人も……)
考えが止まらず、背筋がゾッとする。
「絶対、そんなことさせない……」
「あぁ。そして俺たちの最終目標は、今捕らえられている奴隷たちの解放だ」
セオリアスが僕の方を見てうなずく。僕も返事のようにうなずき返した。
僕たち2人しかいない広い空間に、ドアの隙間から入ってくる冷気が纏わりつく。
セオリアスは身体が冷えてきたからなのか、少しだけ身体を震わせた。
「それで、マリス。妃教育の方は順調か?」
「え、うん……?」
突然の問いかけに戸惑い、曖昧な返事をしてしまう。
「そうか……。なあ、俺たち、こうして2人きりで会うのはもうやめようぜ。マリスは、殿下と結婚しなければならないんだろ?」
セオリアスの言葉に、後ろから鈍器で殴られたような衝撃が走った。
「な、なんで……どうして……? セオリアスは、僕が今までフィオーネにされた仕打ちを知っていたよね……?」
僕の目からは涙が溢れて止まらなかった。セオリアスは一瞬だけ瞳を揺らしたが、ただ黙って俯いた。
「セオにだけは……言われたくなかった」
「マリ……っ、……フィオーネ殿下は今回パーティーに来ていない。きっと王族は白だ。大丈夫、殿下はマリスの味方になってくれる。殿下は、お前が思っているよりも、お前を大切に思っている」
そう言い残し、セオリアスが客室から出て行く。
しばらく僕は、肩を揺らして涙を流した。
揺れた反動で、頭から銀色の髪飾りがズレ落ちる。地面には冷たい音だけが響いた。
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