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2年生
手遅れの始まり
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「そろそろ友人との待ち合わせ時間になる。俺はもう行くが、マリスはもう少し安静にしていなさい。では、またパーティーで会おう」
「はい」
そう言って、兄は保健室を後にした。兄と入れ違うように保健委員の生徒が保健室に入ってくる。
僕もベッドから起き上がった。
「あらマリス君。寝てなきゃダメでじゃない」
「いえ、もう元気になったので大丈夫です。先生、ありがとうございました。それでは失礼します!」
僕はドアの前で一礼すると、勢いのまま保健室を飛び出した。
(セオリアスを探さなきゃ……!)
セオリアスはたしか風紀委員会だ。風紀委員会は、学園祭中に変な人やはしゃぎすぎた生徒を取り締まるために、学園祭中は学園内を巡回している。
つまり、セオリアスを見つけるにはまた学園中を回らなければならない。
(どうしよう、もうお昼時だ……パーティーまであと5時間……)
お昼時には食堂に人が集まる。もしかしたら風紀委員もいるかもしれないと思い、僕は食堂へ向かうことにした。
食堂はいつもより混雑しているが、とても広く、席が足りないなんてことにはなっていない。
風紀委員は、皆がご飯を食べている間も怖そうな顔して警備をしている。
食堂を見渡せば、すぐに目を惹く銀髪を見つけることができた。
「セオリアス!!」
セオリアスの方へと駆け寄る。
僕に気が付いたセオリアスはとても驚いた顔をしていた。
「マリス? こっちに来い」
セオリアスは僕の腕をつかむと、食堂の隅の方に向かっていった。
「仕事中なのにごめん、あの、エチカについてなんだけど……」
「いや……マリス、もう……遅い……」
「え?」
セオリアスの顔がどんどん険しくなる。
「さっき、食堂で父とアスムベルク伯爵がエチカに挨拶をしていた」
「そ、んな……じゃあ……」
食堂は盲点だった。昼時に皆が、エチカとフィオーネが、食堂に現れるのは考えればすぐにわかることだ。
父たちがエチカに接触できる機会は、何もパーティーだけではないのだ。
「ご、ごめ、僕、何にもできなくて……」
「お前は悪くない。悪いのは大人だ。じゃあ俺、戻るから」
「うん……」
セオリアスの背中を見送り、僕は一人、昼食を取ることにした。
夕方になり、大きなダンスホールに人が集まっていく。
あらかた人が集まると、学年委員長のフィオーネが壇上で挨拶をし、ダンスパーティーが始まった。
壇上からホールに降りてくるフィオーネに、ホール内の視線が集まる。フィオーネの視線の先にはエチカがいた。
フィオーネがエチカの手を取ると、ホール内から黄色い悲鳴が上がった。
音楽が始まり、皆が踊り出す。フィオーネとエチカのダンスは完成されていて、誰もが目を惹かれる美しさがあった。
僕は踊ったり音楽を楽しんだりする余裕がなく、ホールを後にする。
夕方になり薄暗くなった静かな廊下を歩く。
「あれ、マリス?」
寮に戻ろうと廊下を歩いていると、後ろから声をかけられた。
振り返ると、そこにはグランが居た。
「どうした? パーティーは?」
「いや、なんか気分が悪くて……グランこそパーティー出ないの?」
「あー……いや、俺はこういう身分だからさ」
グランは気まずそうに頭をかいた。
「あ、そうなんだね……ごめん」
「いや、気にしなくていいさ。それより、マリスはもう寮に戻るのか?」
「うん。そうするつもり」
「そうか、ならついでに一緒に夕食でもどうだ?」
「うん!」
僕たちは寮に向かう廊下から踵を返し、食堂へと向かった。
「はい」
そう言って、兄は保健室を後にした。兄と入れ違うように保健委員の生徒が保健室に入ってくる。
僕もベッドから起き上がった。
「あらマリス君。寝てなきゃダメでじゃない」
「いえ、もう元気になったので大丈夫です。先生、ありがとうございました。それでは失礼します!」
僕はドアの前で一礼すると、勢いのまま保健室を飛び出した。
(セオリアスを探さなきゃ……!)
セオリアスはたしか風紀委員会だ。風紀委員会は、学園祭中に変な人やはしゃぎすぎた生徒を取り締まるために、学園祭中は学園内を巡回している。
つまり、セオリアスを見つけるにはまた学園中を回らなければならない。
(どうしよう、もうお昼時だ……パーティーまであと5時間……)
お昼時には食堂に人が集まる。もしかしたら風紀委員もいるかもしれないと思い、僕は食堂へ向かうことにした。
食堂はいつもより混雑しているが、とても広く、席が足りないなんてことにはなっていない。
風紀委員は、皆がご飯を食べている間も怖そうな顔して警備をしている。
食堂を見渡せば、すぐに目を惹く銀髪を見つけることができた。
「セオリアス!!」
セオリアスの方へと駆け寄る。
僕に気が付いたセオリアスはとても驚いた顔をしていた。
「マリス? こっちに来い」
セオリアスは僕の腕をつかむと、食堂の隅の方に向かっていった。
「仕事中なのにごめん、あの、エチカについてなんだけど……」
「いや……マリス、もう……遅い……」
「え?」
セオリアスの顔がどんどん険しくなる。
「さっき、食堂で父とアスムベルク伯爵がエチカに挨拶をしていた」
「そ、んな……じゃあ……」
食堂は盲点だった。昼時に皆が、エチカとフィオーネが、食堂に現れるのは考えればすぐにわかることだ。
父たちがエチカに接触できる機会は、何もパーティーだけではないのだ。
「ご、ごめ、僕、何にもできなくて……」
「お前は悪くない。悪いのは大人だ。じゃあ俺、戻るから」
「うん……」
セオリアスの背中を見送り、僕は一人、昼食を取ることにした。
夕方になり、大きなダンスホールに人が集まっていく。
あらかた人が集まると、学年委員長のフィオーネが壇上で挨拶をし、ダンスパーティーが始まった。
壇上からホールに降りてくるフィオーネに、ホール内の視線が集まる。フィオーネの視線の先にはエチカがいた。
フィオーネがエチカの手を取ると、ホール内から黄色い悲鳴が上がった。
音楽が始まり、皆が踊り出す。フィオーネとエチカのダンスは完成されていて、誰もが目を惹かれる美しさがあった。
僕は踊ったり音楽を楽しんだりする余裕がなく、ホールを後にする。
夕方になり薄暗くなった静かな廊下を歩く。
「あれ、マリス?」
寮に戻ろうと廊下を歩いていると、後ろから声をかけられた。
振り返ると、そこにはグランが居た。
「どうした? パーティーは?」
「いや、なんか気分が悪くて……グランこそパーティー出ないの?」
「あー……いや、俺はこういう身分だからさ」
グランは気まずそうに頭をかいた。
「あ、そうなんだね……ごめん」
「いや、気にしなくていいさ。それより、マリスはもう寮に戻るのか?」
「うん。そうするつもり」
「そうか、ならついでに一緒に夕食でもどうだ?」
「うん!」
僕たちは寮に向かう廊下から踵を返し、食堂へと向かった。
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