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2年生
さっそく説得
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翌日の放課後、僕はエチカと共にテラスに来ていた。エチカには全て話してしまおうと思ったからだ。
席に着くとすぐに、僕はエチカにセオリアスのループの記憶のことと、僕の父がエチカを奴隷にしようとしていることを話した。
最初は笑っていたエチカも、僕の真剣な表情を読み取って、真面目に話を聞いてくれた。
「……だからエチカ。本当に申し訳ないんだけど、今年のパーティーにも出ないで欲しいんだ」
「悪いけど、それは無理かな。だって、今年はフィオーネに誘われてるから」
「フィオーネに!?」
一瞬、僕の心臓がズキリと痛んだ。
「うん」
「でも、」
「そもそも、ループしてるって話は本当なの? ぼくはそんな設定ゲームに入れてないけど。セオの夢だったんじゃないの」
「そんな、本当だよ!」
「じゃあ、証拠はあるの?」
エチカは冷たい口調で言った。
「証拠はないけど……でも、嘘をついているようには見えなかったし……それに、セオリアスの話はほとんどゲームの通りだった。僕が死ぬってことも思い出していたんだ」
「そんなの、たまたま言い当てただけかもしれないじゃん。証拠が無いなら話にならない……わかった、じゃあ来年のパーティーは欠席するよ。でも、今年はフィオーネにとって最後のパーティーなんだ。絶対出席するから」
エチカはツンとした態度で頑なだった。
僕は勝手に、エチカなら笑顔で「うん」と言ってくれると思い込んでいたから、エチカの態度に戸惑いを隠せない。
早々心が折れそうだ。
「どうしてそんな……フィオーネに誘われたからってだけで? エチカ、去年はパーティー面倒くさいって言ってたじゃんか」
「あのね、ぼくはっ……、……フィオーネが好きなの! マリスはセオが好きなんだから別にいいよね? ぼくの恋の邪魔をしないでよ」
「え、な、は!? ちょっと、初耳なんだけど!!」
僕は思わず椅子から立ち上がった。
「マリス一旦落ち着いて。目立つから」
「あ、ごめん……」
周囲からの視線を感じ、僕はそそくさと椅子に腰を下ろす。
「今まで隠したけど、ぼくはフィオーネのことが好きなの。だからマリスには早くフィオーネと婚約を解消してもらいたいし」
「それが……なかなか難しくて、無理かもって思い始めてきて……」
僕の曖昧な態度に、エチカは眉をひそめた。
「どういうこと? 婚約解消する気はないってこと?」
「ちょ、ちょっと、待って。僕としては今すぐにでも婚約破棄してもらいたいよ。でも、フィオーネが僕との婚約破棄を考えていないのも多分本当なんだ! 僕、嫌だよ……親友のエチカと竿兄弟になって王宮で囲われるなんて絶対に嫌!!」
「は、さお、って、はぁ!? マリス、エロ漫画の読み過ぎなんじゃないの!?」
エチカは顔を真っ赤にして叫んだ。
「とにかく、ぼくは来週の学園パーティーに出席するから。じゃあね、童貞のマリス!」
「お願い待ってよ! てか、エチカだって童貞だろー!?」
僕の心からの叫びも虚しく、エチカは去ってしまった。
(……最悪だ)
テラスに1人残された僕は、周囲の痛い視線から逃げるように自室へと帰った。
席に着くとすぐに、僕はエチカにセオリアスのループの記憶のことと、僕の父がエチカを奴隷にしようとしていることを話した。
最初は笑っていたエチカも、僕の真剣な表情を読み取って、真面目に話を聞いてくれた。
「……だからエチカ。本当に申し訳ないんだけど、今年のパーティーにも出ないで欲しいんだ」
「悪いけど、それは無理かな。だって、今年はフィオーネに誘われてるから」
「フィオーネに!?」
一瞬、僕の心臓がズキリと痛んだ。
「うん」
「でも、」
「そもそも、ループしてるって話は本当なの? ぼくはそんな設定ゲームに入れてないけど。セオの夢だったんじゃないの」
「そんな、本当だよ!」
「じゃあ、証拠はあるの?」
エチカは冷たい口調で言った。
「証拠はないけど……でも、嘘をついているようには見えなかったし……それに、セオリアスの話はほとんどゲームの通りだった。僕が死ぬってことも思い出していたんだ」
「そんなの、たまたま言い当てただけかもしれないじゃん。証拠が無いなら話にならない……わかった、じゃあ来年のパーティーは欠席するよ。でも、今年はフィオーネにとって最後のパーティーなんだ。絶対出席するから」
エチカはツンとした態度で頑なだった。
僕は勝手に、エチカなら笑顔で「うん」と言ってくれると思い込んでいたから、エチカの態度に戸惑いを隠せない。
早々心が折れそうだ。
「どうしてそんな……フィオーネに誘われたからってだけで? エチカ、去年はパーティー面倒くさいって言ってたじゃんか」
「あのね、ぼくはっ……、……フィオーネが好きなの! マリスはセオが好きなんだから別にいいよね? ぼくの恋の邪魔をしないでよ」
「え、な、は!? ちょっと、初耳なんだけど!!」
僕は思わず椅子から立ち上がった。
「マリス一旦落ち着いて。目立つから」
「あ、ごめん……」
周囲からの視線を感じ、僕はそそくさと椅子に腰を下ろす。
「今まで隠したけど、ぼくはフィオーネのことが好きなの。だからマリスには早くフィオーネと婚約を解消してもらいたいし」
「それが……なかなか難しくて、無理かもって思い始めてきて……」
僕の曖昧な態度に、エチカは眉をひそめた。
「どういうこと? 婚約解消する気はないってこと?」
「ちょ、ちょっと、待って。僕としては今すぐにでも婚約破棄してもらいたいよ。でも、フィオーネが僕との婚約破棄を考えていないのも多分本当なんだ! 僕、嫌だよ……親友のエチカと竿兄弟になって王宮で囲われるなんて絶対に嫌!!」
「は、さお、って、はぁ!? マリス、エロ漫画の読み過ぎなんじゃないの!?」
エチカは顔を真っ赤にして叫んだ。
「とにかく、ぼくは来週の学園パーティーに出席するから。じゃあね、童貞のマリス!」
「お願い待ってよ! てか、エチカだって童貞だろー!?」
僕の心からの叫びも虚しく、エチカは去ってしまった。
(……最悪だ)
テラスに1人残された僕は、周囲の痛い視線から逃げるように自室へと帰った。
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