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1年生
中間テスト
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異世界転生を自覚してから早2ヵ月、僕は順調に悪役令息への道を歩んでいる。エチカは今でも仲良くしてくれているが、結局僕の悪い噂を拭うことはできなかった。
というのも、僕が一人でいるとセオリアスが絡んでくるのだ。おかげで僕は、表では仲良くしつつも裏ではエチカのことを嫌っている腹黒伯爵令息となってしまった。
早速僕のキラキラ学園生活が終わりを迎えそうとなっている今、僕は新たなピンチに陥っていた。
静寂の広がる教室に、カリカリとペンが机を叩く音だけが響く。
(あああ……どうしよう……)
2ヵ月に一度、この学園にはテストがある。たしかゲームでもテストイベントはあったはずだ。ゲームでは、簡単なクイズが出され、正解率によって知力パラメーターが上がる。知力が上がると、リュゼ、フィオーネ、セオリアスの好感度が上がりやすくなる。
(ああもう……すっかり忘れていた)
学生たちの授業理解度を確認しつつ成績を付けるには、テストが一番効率良い。これはどの世界でも共通のことである。今日は今学期一番初めのテストの日だった。
(ぜんっぜんわかんないよーーーーー!!)
僕はほとんど半泣きで目の前にある真っ白な紙を眺めていた。いくらマリスの記憶を辿っても、テストの問題を解くことができない。つまり、マリスは前世を思い出す前から勉強をサボっていたということだ。
(この顔でおバカキャラなんて、嘘だろマリス!?)
貴族の子供は通常、幼少期に家庭教師を雇い教養を勉強する。学園一年次は教養科目を皆で受けるカリキュラムとなっているため、このテストは実質幼少期の復習テストなのだ。
マリスの記憶にも家庭教師はいた。初老の優しそうなおじいさんだった。一緒にティータイムを楽しんだり、豆知識を教えてもらったりして楽しかったのを思い出した。が、しかし肝心の勉強内容はいつまでたっても思い出せない。
テストは全て記述式で、勘が使えない。
(ええい、ままよ!)
僕は思いついたものを解答用紙に書き込んだ。おそらくいくつか新しい単語が生成されている。
「テスト、辞め!」
先生の号令が静かな教室に響く。後ろから前へと解答用紙を回し、一番前の生徒がまとめて先生に用紙を渡す。
今日はテストだけで早めの解散だった。それなのに、いつもの授業の数倍は疲れている。教室で帰る支度をしていると、エチカに話しかけられた。
「マリスお疲れ! 初めてのテストはどうだった?」
「やばい、本当に終わったかもしれない」
「そんなこと言って、全部満点だったりして!」
エチカはくすくすと可愛らしく笑った。僕は全く笑えない。
「エチカ……この学園は、赤点って存在する?」
「えっ、もしかしてガチな感じ? 赤点の人は見たことないけど、絶対無いとは言えないなぁ」
「そ、そうなんだ」
「ま、さすがに赤点はないと思うよ! 今日はお疲れ様会でもしようよ。リュゼも呼んでぼくの部屋でお菓子パーティーしよう!」
「やったぁ!」
僕たち4人はすっかり“いつメン”となっていた。エチカのお菓子パーティーという言葉に、赤点の恐怖は消え去っていった。
それから僕はリュゼを誘い、エチカの部屋でお菓子パーティーをした。前世でも数えるほどしかした事の無いお菓子パーティーは、新しい僕の人生の、青春の1ページとして刻まれるのだろう。
というのも、僕が一人でいるとセオリアスが絡んでくるのだ。おかげで僕は、表では仲良くしつつも裏ではエチカのことを嫌っている腹黒伯爵令息となってしまった。
早速僕のキラキラ学園生活が終わりを迎えそうとなっている今、僕は新たなピンチに陥っていた。
静寂の広がる教室に、カリカリとペンが机を叩く音だけが響く。
(あああ……どうしよう……)
2ヵ月に一度、この学園にはテストがある。たしかゲームでもテストイベントはあったはずだ。ゲームでは、簡単なクイズが出され、正解率によって知力パラメーターが上がる。知力が上がると、リュゼ、フィオーネ、セオリアスの好感度が上がりやすくなる。
(ああもう……すっかり忘れていた)
学生たちの授業理解度を確認しつつ成績を付けるには、テストが一番効率良い。これはどの世界でも共通のことである。今日は今学期一番初めのテストの日だった。
(ぜんっぜんわかんないよーーーーー!!)
僕はほとんど半泣きで目の前にある真っ白な紙を眺めていた。いくらマリスの記憶を辿っても、テストの問題を解くことができない。つまり、マリスは前世を思い出す前から勉強をサボっていたということだ。
(この顔でおバカキャラなんて、嘘だろマリス!?)
貴族の子供は通常、幼少期に家庭教師を雇い教養を勉強する。学園一年次は教養科目を皆で受けるカリキュラムとなっているため、このテストは実質幼少期の復習テストなのだ。
マリスの記憶にも家庭教師はいた。初老の優しそうなおじいさんだった。一緒にティータイムを楽しんだり、豆知識を教えてもらったりして楽しかったのを思い出した。が、しかし肝心の勉強内容はいつまでたっても思い出せない。
テストは全て記述式で、勘が使えない。
(ええい、ままよ!)
僕は思いついたものを解答用紙に書き込んだ。おそらくいくつか新しい単語が生成されている。
「テスト、辞め!」
先生の号令が静かな教室に響く。後ろから前へと解答用紙を回し、一番前の生徒がまとめて先生に用紙を渡す。
今日はテストだけで早めの解散だった。それなのに、いつもの授業の数倍は疲れている。教室で帰る支度をしていると、エチカに話しかけられた。
「マリスお疲れ! 初めてのテストはどうだった?」
「やばい、本当に終わったかもしれない」
「そんなこと言って、全部満点だったりして!」
エチカはくすくすと可愛らしく笑った。僕は全く笑えない。
「エチカ……この学園は、赤点って存在する?」
「えっ、もしかしてガチな感じ? 赤点の人は見たことないけど、絶対無いとは言えないなぁ」
「そ、そうなんだ」
「ま、さすがに赤点はないと思うよ! 今日はお疲れ様会でもしようよ。リュゼも呼んでぼくの部屋でお菓子パーティーしよう!」
「やったぁ!」
僕たち4人はすっかり“いつメン”となっていた。エチカのお菓子パーティーという言葉に、赤点の恐怖は消え去っていった。
それから僕はリュゼを誘い、エチカの部屋でお菓子パーティーをした。前世でも数えるほどしかした事の無いお菓子パーティーは、新しい僕の人生の、青春の1ページとして刻まれるのだろう。
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