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1年生
サボり魔リュゼ
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入学式から2週間が経ち、ようやくこの学園での過ごし方がわかってきた。クラスという概念は無く、授業は大講堂で行われ、体育と実験の授業以外はほとんどこの講堂で過ごす。
大抵みんなは同室の人と2人1組で過ごしているので、僕達もそれに従って過ごしている。といっても気まぐれなリュゼは途中でふらりとどこかへ行ってしまうことがあった。
そういう時は決まってエチカと過ごすようにした。グランもよく授業をサボっているので、ぼっち同士連みやすい。それに、エチカも僕と同じ転生者だから一緒にいるととても安心する。
「……で、……だからして………なのである」
午後1番の授業は神学だった。神学教師であり一年の学年主任でもあるアンドレア先生の声は低くて耳触りが良く、どうしてもウトウトしてしまう。
「アスムベルク、随分眠たそうだな。目覚ましに教科書を読んでもらおう。12ページから14ページまで全文音読してくれ」
「へぇ……は、はいっ」
僕は驚いて勢いよく立ち上がった。ガタッと大きな音が鳴り、後ろからはくすくすと生徒たちの笑い声が聞こえる。
(最悪! 目立ちたくないのに!)
音読しながらちらりとエチカの方に視線をやる。エチカは、背筋を伸ばしたまま目を瞑って寝ていた。
「アスムベルク、少しいいか」
「はい」
授業が終わり、アンドレア先生に話しかけられた。僕は教卓まで向かう。さっき寝てしまったことを怒られるのかとどきどきしたが、それは杞憂だった。
「アスムベルクはリュゼと同室だろう。神学の授業に出るよう君からも注意してほしい。無理ならば力尽くでも連れてきてくれ」
「わかりました。注意しておきます」
「頼んだ」
それだけ言って、アンドレア先生は教室から出て行った。思い返してみれば、リュゼが授業をサボる日には必ず神学があった気がする。
(神官の息子なのに進学の授業はサボるし、何より見た目がチャラい。でもそのギャップに萌える人が続出して、前世でも人気だったんだよな~)
大抵みんなは同室の人と2人1組で過ごしているので、僕達もそれに従って過ごしている。といっても気まぐれなリュゼは途中でふらりとどこかへ行ってしまうことがあった。
そういう時は決まってエチカと過ごすようにした。グランもよく授業をサボっているので、ぼっち同士連みやすい。それに、エチカも僕と同じ転生者だから一緒にいるととても安心する。
「……で、……だからして………なのである」
午後1番の授業は神学だった。神学教師であり一年の学年主任でもあるアンドレア先生の声は低くて耳触りが良く、どうしてもウトウトしてしまう。
「アスムベルク、随分眠たそうだな。目覚ましに教科書を読んでもらおう。12ページから14ページまで全文音読してくれ」
「へぇ……は、はいっ」
僕は驚いて勢いよく立ち上がった。ガタッと大きな音が鳴り、後ろからはくすくすと生徒たちの笑い声が聞こえる。
(最悪! 目立ちたくないのに!)
音読しながらちらりとエチカの方に視線をやる。エチカは、背筋を伸ばしたまま目を瞑って寝ていた。
「アスムベルク、少しいいか」
「はい」
授業が終わり、アンドレア先生に話しかけられた。僕は教卓まで向かう。さっき寝てしまったことを怒られるのかとどきどきしたが、それは杞憂だった。
「アスムベルクはリュゼと同室だろう。神学の授業に出るよう君からも注意してほしい。無理ならば力尽くでも連れてきてくれ」
「わかりました。注意しておきます」
「頼んだ」
それだけ言って、アンドレア先生は教室から出て行った。思い返してみれば、リュゼが授業をサボる日には必ず神学があった気がする。
(神官の息子なのに進学の授業はサボるし、何より見た目がチャラい。でもそのギャップに萌える人が続出して、前世でも人気だったんだよな~)
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