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1年生
主人公エチカ
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先生のガイダンスを右から左に流し、僕は自分の状況を整理していた。
まず、この世界は『薔薇~イケメン貴族とハーレム学園~』という同人ゲームの本編だ。このゲームは人気BL同人ゲームで、僕はこのゲームの大ファンである。
ゲームのあらすじはこうだ。孤児として教会で育てられた主人公エチカは、10歳の誕生日になると聖なる力が覚醒する。その日からエチカは神子として聖なる力を使い人々を癒やしていく。
慈善活動に勤しむエチカの話が国王の耳に入り、この王立バーバリア学園という、本来なら貴族の中でも選りすぐりの子供しか入学出来ない学園に特待生として入学する。
バーバリア学園に入るのは16歳から18歳までの3年間である。
そして、この学園の中で5人の攻略対象とのラブ・ロマンスが始まる。攻略対象はそれぞれ、第一王子のフィオーネ、隣国の王子カミール・アリ、公爵令息のセオリアス・カンテミール、騎士の息子エルヴィ・クォート、神官の息子リュゼ・プリーストの5人である。
ちなにに僕が一番好きなのはセオリアスルートだ。セオリアスは、最初は意地悪だけど、主人公を好きになってからの溺愛具合が最高なのだ。
(素直になれないところが可愛いんだよな~)
フィオーネは現在2年生で、その他はみんな1年生だ。フィオーネは1年早く卒業してしまうが、毎年あるパーティーなどのイベントで好感度を上げる機会はたくさんある。
エンドは7つで、5人それぞれのルートに加えてハーレムエンド、友情エンドが存在する。ちなみに、どのエンドになってもマリスは破滅エンドを迎えることになる。
マリスの破滅エンドはエチカのエンドによって変わる。ハーレムエンドでは、終盤に賊に襲われるイベントで主人公の身代わりとなって帰って来なくなり、友情エンドでは、貴族の称号を剥奪されて強制労働させられる。そして、5人それぞれのルートでは、第一王子に婚約破棄され国外追放されるエンドとなる。
エチカに嫌がらせさえしなければ破滅エンドは免れるはずだ。念のため、この3年間エチカとはなるべく接触しないようにしようと心に決めた。
(本当は仲良くしてみたいんだけど)
僕がため息を吐くと、隣から「あの……」と声を掛けられた。隣を見ると、そこにはふわふわの茶髪に茶色い目をした小柄な少年がいた。少年は、不思議そうにくりくりした丸い目をこちらに向けている。
「もうガイダンスは終わったよ……?」
少年の声にハッと周りを見渡すと、そこには僕と彼しかいなかった。
「あ、本当だ。ぼーっとしてた……教えてくれてありがとう」
「気にしないで。ぼく、エチカ・プリースト。これから3年間よろしくね」
「えっ!? ……と、僕はマリス・アスムベルク。よろしく」
動揺を隠せず声が上ずってしまった。エチカの顔はゲームでは出てこないから、名前を聞くまで彼がエチカだとわからなかったのだ。
エチカは僕の様子をじっと見ていた気がするが、すぐにふわっとした表情に戻った。
「それじゃ、一緒に行こう」
「あの、エチカ……実は僕、先生の話何も聞いていなかったんだ。今からどこに行くのか教えてくれる?」
「あはは、マリスったら! けっこう抜けてるんだね」
エチカはくすくすといじらしく笑った。
(可愛いな、おい)
それから、ガイダンスの内容を簡潔に教えてくれた。
この学園生活の目的は、将来国を支える貴族の息子として協調性を学ぶことだ。僕たちは3年間、貴族の階級関係なしに学園生活を送る。といっても、上下関係を蔑ろにしてはいけないので、先輩や先生には敬語を使わなければならない。
簡潔に言えば、日本の学校と一緒だ。日本人の作ったゲームなので、学校のシステムは日本と似ているのだろう。
今日はもう授業は無く、割り当てられた寮に帰る。授業は明日から始まる。1年生のうちは皆で同じ科目を学び、2年生からは好きな科目を選べる。ここは日本の大学に似ている。
「寮は2人で一部屋なんだよ。これから3年間を共にするパートナーなんだ」
「パ、パートナー……」
BLゲームの世界なので、どうしても違う意味に聞こえてしまう。誰と同室なのかドキドキする。寮の部屋は事前に聞かされていたようで、僕の頭に部屋番号が浮かぶ。
「じゃあ、ぼくはここだから。また明日ね」
「うん、また明日」
まず、この世界は『薔薇~イケメン貴族とハーレム学園~』という同人ゲームの本編だ。このゲームは人気BL同人ゲームで、僕はこのゲームの大ファンである。
ゲームのあらすじはこうだ。孤児として教会で育てられた主人公エチカは、10歳の誕生日になると聖なる力が覚醒する。その日からエチカは神子として聖なる力を使い人々を癒やしていく。
慈善活動に勤しむエチカの話が国王の耳に入り、この王立バーバリア学園という、本来なら貴族の中でも選りすぐりの子供しか入学出来ない学園に特待生として入学する。
バーバリア学園に入るのは16歳から18歳までの3年間である。
そして、この学園の中で5人の攻略対象とのラブ・ロマンスが始まる。攻略対象はそれぞれ、第一王子のフィオーネ、隣国の王子カミール・アリ、公爵令息のセオリアス・カンテミール、騎士の息子エルヴィ・クォート、神官の息子リュゼ・プリーストの5人である。
ちなにに僕が一番好きなのはセオリアスルートだ。セオリアスは、最初は意地悪だけど、主人公を好きになってからの溺愛具合が最高なのだ。
(素直になれないところが可愛いんだよな~)
フィオーネは現在2年生で、その他はみんな1年生だ。フィオーネは1年早く卒業してしまうが、毎年あるパーティーなどのイベントで好感度を上げる機会はたくさんある。
エンドは7つで、5人それぞれのルートに加えてハーレムエンド、友情エンドが存在する。ちなみに、どのエンドになってもマリスは破滅エンドを迎えることになる。
マリスの破滅エンドはエチカのエンドによって変わる。ハーレムエンドでは、終盤に賊に襲われるイベントで主人公の身代わりとなって帰って来なくなり、友情エンドでは、貴族の称号を剥奪されて強制労働させられる。そして、5人それぞれのルートでは、第一王子に婚約破棄され国外追放されるエンドとなる。
エチカに嫌がらせさえしなければ破滅エンドは免れるはずだ。念のため、この3年間エチカとはなるべく接触しないようにしようと心に決めた。
(本当は仲良くしてみたいんだけど)
僕がため息を吐くと、隣から「あの……」と声を掛けられた。隣を見ると、そこにはふわふわの茶髪に茶色い目をした小柄な少年がいた。少年は、不思議そうにくりくりした丸い目をこちらに向けている。
「もうガイダンスは終わったよ……?」
少年の声にハッと周りを見渡すと、そこには僕と彼しかいなかった。
「あ、本当だ。ぼーっとしてた……教えてくれてありがとう」
「気にしないで。ぼく、エチカ・プリースト。これから3年間よろしくね」
「えっ!? ……と、僕はマリス・アスムベルク。よろしく」
動揺を隠せず声が上ずってしまった。エチカの顔はゲームでは出てこないから、名前を聞くまで彼がエチカだとわからなかったのだ。
エチカは僕の様子をじっと見ていた気がするが、すぐにふわっとした表情に戻った。
「それじゃ、一緒に行こう」
「あの、エチカ……実は僕、先生の話何も聞いていなかったんだ。今からどこに行くのか教えてくれる?」
「あはは、マリスったら! けっこう抜けてるんだね」
エチカはくすくすといじらしく笑った。
(可愛いな、おい)
それから、ガイダンスの内容を簡潔に教えてくれた。
この学園生活の目的は、将来国を支える貴族の息子として協調性を学ぶことだ。僕たちは3年間、貴族の階級関係なしに学園生活を送る。といっても、上下関係を蔑ろにしてはいけないので、先輩や先生には敬語を使わなければならない。
簡潔に言えば、日本の学校と一緒だ。日本人の作ったゲームなので、学校のシステムは日本と似ているのだろう。
今日はもう授業は無く、割り当てられた寮に帰る。授業は明日から始まる。1年生のうちは皆で同じ科目を学び、2年生からは好きな科目を選べる。ここは日本の大学に似ている。
「寮は2人で一部屋なんだよ。これから3年間を共にするパートナーなんだ」
「パ、パートナー……」
BLゲームの世界なので、どうしても違う意味に聞こえてしまう。誰と同室なのかドキドキする。寮の部屋は事前に聞かされていたようで、僕の頭に部屋番号が浮かぶ。
「じゃあ、ぼくはここだから。また明日ね」
「うん、また明日」
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