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現在
二人で
しおりを挟むそもそも、どういう経緯で零とあの男がああなったのか、恭平には全く理解出来なかった。
「パパ?どうしたの?」
「…いや…」
今日も慎也と二人の夕飯。今まで全部零に放り投げだったので、恭平は料理が出来なかった。だから夕飯はここのところ、弁当やピザの宅配だ。
「…なぁ、慎也」
この子供は、俺が本当の父親ではないと知ったらどんな顔をするのだろう。
慎也はもう五歳。あと数年もすれば、オメガバース性が出るだろう。
「ん?なぁに、パパ」
「…零、さぁ」
「うん?」
「……慎也、ミサちゃんのお父さん覚えてるか?」
「覚えてるよー」
「ママと仲良かった?」
「……どうしてー?」
「いや…別に、大したことじゃないけど…」
「…?」
こんなこと考えるの、最低だって分かってる。それでも、考えずにはいられない。
(…本当に、俺の子なのか…?)
「零」
修也が病室を訪ねてきたのは、恭平が帰ってからだった。
零は顔面蒼白で震えて、泣いていた。
「零!?」
「修、也…」
「どうした!?何かあったのか!?」
「っ…おねがい、修也から恭平に言って!俺たち何もないし、お腹の子はちゃんと恭平の子供だって…!」
「…どういうことだ?」
「恭平、絶対この子のこと、修也との子供だって思ってる…!お願いだから、何もしてないって、修也から言って…!」
泣きながらしがみついてくる零に、修也は頷くことが出来なかった。
「修也っ…!」
「…俺に、それを言えって?」
そこでようやく、零は自分の言ったことが修也を傷付けたということに気が付いた。
「…酷いヤツだな、お前も……俺も、あの男も」
「修也、俺っ…」
「なぁ、二人でやり直そう」
「…え…?」
「俺が全部悪かったんだ。けれど、やっぱりお前を諦めるなんて出来ない。…二人で、どこか遠くで、…やり直そう?」
「俺は恭平がっ…!」
「俺のことが嫌いなら、あのとき手を回したりしなかった。あの男から俺を庇うこともなかった。…俺はお前が好きだ」
「……無理だよ」
遅すぎた、全部。
「…恭平も、慎也も、大切だから」
「俺よりも?」
「…俺は、」
もう、認めよう。どうせ隠すことなんて端から諦めている。
「修也が、ずっと好きだったよ。けど、もう遅いの」
「遅くない!」
「これ以上、恭平を傷付けられないよ…」
例えそれが恋愛感情ではなかったとしても。俺は彼から離れられない。
「…俺がいても、他のものを捨てられない?」
「……じゃあ、修也はさ」
「ん?」
「俺と一緒に、死ねる?」
「死ねるよ」
即答だった。
「…じゃあ、さらってよ。俺のこと、恭平から奪い去って」
「…お望みのままに」
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