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39,次はもう少し先でいい
しおりを挟む二度目である出産にレイはある程度の心積もりが出来ていたせいか、アルバートの時のように痛みで気絶することもなく、想像以上に簡単な出産だった。
第二子も王子であり、リヴィウスがウィリスと名付けた。次こそは王女だなと言われた瞬間、目眩を覚えてしまう。出産してすぐに次の出産の話ですか?
二人目の王子だというのに、リヴィウスは本当に喜んでくれた。それこそ不吉だ、骨肉の争いがどうだと囁いた者を王を侮辱したと流刑にするほどには喜んでいた。
だが一つ、気が付いてしまったことがあるのだ。それはウィリスの目元というか、顔の造形というか。
(最後に見た父に似ている気がするのは、思い過ごしかな…?)
レイは母親に似たのか、父の要素というものは全くなかった。けれどウィリスを見ると遺伝子というものを感じるときがある。
「レ……王妃様!」
周りに人がいることに気が付いたのか、ロイスが頭を下げて挨拶した。
「王子様のご誕生、心からお祝い申し上げます」
「あ…ありがとう」
ロイスに上からの物言いになってしまうのは気が引けるけれど、絶対権力制のこの国では当たり前のことだからと、それにそれだけの地位に上り詰めたんだから当たり前だと、ロイスは気にしないと言ってくれた。
「そうだ、美味しいお茶があるの…だけど、よかったらこの後どうですか?」
「お茶ですか」
パッとロイスの顔が輝くけれど、すぐに顔が反らされた。多分、後ろにいるローレンと目が合ったのだろう。
「いえ、その……今日はまだ仕事がありますので、遠慮させて頂きます。申し訳ございません」
「あ、いや……お仕事頑張って下さい」
「ありがとうございます。…では」
また、と呟いてそそくさと去っていくロイスを見て、いい加減にどうにかならないものかとローレンの方を振り返る。
「俺の想像と逆だった」
「なにがです」
「ローレンが逃げる側になると思ってたんだけど、どっちかって言うと逃げてるのはロイスーーじゃない、アグシェルト様だよね」
「…あの方もまだまだ子供だったということでは?まぁ、私にとっては貴方も陛下も子供ですが」
そうか。ローレンは次男とは云えど、御三家に続く名家と言われる五家の侯爵家の出身だ。けれど身分関係なく彼は実力でここまで上り詰めた訳だし、それなりの年数も経ったわけだ。
(人生経験が違うんだなー…)
けれど、好きでもない男に抱かれることを本当に彼はするのだろうか。
まぁ、それを自分が知っても仕方がない。結局はロイスの問題なのだから、自分でどうにかしてもらうしかないのだ。
まぁ、なにはともあれ。しばらく妊娠はしたくないのだけれど、その願いくらいは聞き留めて貰えるかな。
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※作者の近況状況欄は要チェックです!
西条ネア
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