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14,逃げ出せず、囚われました。

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※少しだけヤンデレ…というか、暴力やグロテスクシーンがあるかもしれません。苦手な方はご注意下さい。








「…ここ…」

 暗い部屋、少し固いベッド。レイは自分の状況が分からず周りを見渡したが、分かったのはこの部屋にはベッドしかないこと、そのベッドに自分は寝かされていたこと、足枷がついていることだった。
 何とも言えない不安に押し寄せられながら、レイは冷静に考えた。ここはどこか、あの男…何故護衛隊長がいたのか。
 本当は考えなくても答えは分かっていた。それでも考えたくなかった。目の前に、その人が来るまで。

「へい、か…?」
「起きたのか。気分はどうだ?」
「…ここは…」
「心配するな。俺以外、誰も来ないから」
「あの、陛下」
「あぁ、そうだ」

 ぽつりと思い出したように、リヴィウスは呟く。

「宰相がな、…不慮の事故で亡くなったらしい。…天罰でも下ったか」

 平然と言ってのけるリヴィウス。その意味が、レイにはわかってしまった。

「…何を…したんですか…?」
「ーー仮にも国王の妃を、しかも未来の王妃を、俺の許可なく連れ出そうとした……とても許されることではないな」
「陛下!!」
「まさか本当に逃げようとするなんてな。油断しなくて良かった」
「…え?」
「お前の部屋にはいつも人を忍ばせていた。仕方ないだろう?こういうことになる。…俺は気付いた、お前に足があるのがいけないんだと」
「ひっ…!」

 怖いほどの、歪んだ愛情。

「勘違いするなよ、これはお前が悪いんだ」

 リヴィウスの持った来た、木製の道具。

「そ、れ…」

 絶句した。以前、近隣国の大使と話す機会があった。その時に歴史を学んだが、それは外国で、女が夫から逃げられないように足の腱を切る道具だった。

「…仕方ない、だろ?こうでもしないと、お前は逃げる。いつまで経っても、俺から逃げようとする…!」

 ーー忘れていた。誰よりも嫉妬深く、執着心が強く、一度逃げ出そうとしたものならばーーどうなるか。忘れていたのだ。

「い、いやだ、やだっ…!!!」

 足にヒヤリと、金属の刃が当たる。

「ごめんなさい、ごめんなさい!!もう逃げたりしません、だからっ…!」
「…王という立場に着けば分かることだが……一度裏切ったものを信用しては、同じ過ちを繰り返す。…初めからこうすれば良かった」
「いや、リヴィウスっ、」
「一生、死ぬまで繋ぎ止めてやる。…安心しろ、な?」

 にこりと笑って、刃を下ろす。

 そこに響いたのは、リヴィウスの乾いた笑いと、レイの痛々しい悲鳴だけだった。
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