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7,好青年を発見致しました。

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 その日は天気が良かったので、散歩でもしようと歩いていたときだった。

「あそこは…」
「訓練所ですね。王様の近衛の者達が訓練していると思いますが」

 ローレン、わざわざ説明いらない。

 とはいえ好意で言ってくれているのに、そんなこと言えるわけもなく。

「そう」

 と返すしかない。

「見て行かれますか?」

 一瞬そうしたい、と考えたけれどやめた。まず迷惑だろうし、それ以前に俺のことだ。
 Ωの男を側妃として迎え入れられたのはレイが初めてなのだ。異様な光景なのだ。少なくとも、良くは思われていないだろう。

 レイも昔は武芸が好きで、街でも学校でもαを越えて成績はトップだった。まぁ、その分嫌がらせが凄かったけれど。

「…帰ろう。…少しだけ覗きたいけれど…」
「少しだけならなにも言われないでしょう。私の知り合いに頼んでみます」

 そう言って、ローレンが訓練所の方へ向かう。
 しばらくして出てきたのは、目を奪われるような青年だった。

「…お初にお目にかかります、近衛隊の副隊長であるグラン・ユーシリアと申します。御挨拶がです遅れまして申し訳ありません。ローレンとは学生時代の友人でした。中を見学されたいとか」

 つまり、ローレンと同い年の二十六だろう。

「…初め…まして…」
「よければ、中へお入りください。皆、訓練中ですのでお気になさらず」

 まさか本当に入ろうとは思わなかったけれど、気が付いたら頷いていた。

 胸がどくりと高鳴った。



 元から身体を動かすのが好きだったレイは、学生時代の休み時間でさえ、先生にせがんで教えてもらった。
 Ωという立場に生まれたのだから、自分の身は自分で守りたかった。

「レイ様?どうかなさいましたか?」
 心配そうに尋ねてくるグランに、慌てて笑う。
「いえ、少し羨ましいなと」
「え?」
 もしも自分がΩに生まれなければ、ここに来なければ、リヴィウスと出会わなければ、今頃は誰と何処で何をしていたのだろう。そんなことを考えるときがある。
「…よければ、いつでもお越しください」
「え?でも…」
「レイ様に危険がないように致します」
 そういう心配じゃなくて、単純に。
「迷惑でしょう」
「そんなことはありません」
 断言してくれた声に、またドキリとした。

 自分でもバカだと思う、いい加減。
 昔から言われてたこと。『心変わりが早すぎる』と生まれてこの方、何千回言われただろう。
 それは普段の生活においても、恋愛に関してもそうだったのだ。自覚している。

「レイ様、グランの言葉に甘えてはどうでしょうか。もうそろそろ部屋へ戻らないと…」
「え、あ、もうそんな時間?」

 夢中になりすぎて気が付かなかった。

「またいつでもお待ちしております」

 (グラン・ユーシリア…)

 逞しい身体に、端正な顔立ち。まるで物語の中から出てきたような、そんな男。

 久々にご機嫌になり、部屋に戻ろうとした時だ。


「…レイ?」

 …げっ!?

「へ、陛下…?」

 なぜここにいる!政務はどうした!

「…なぜレイがここに?」

 なんだろう、デジャヴ感満載。

 ーーあぁ、そうだ。確か、エルヴィスの部屋にいたときの感じ。その時と同じ視線を、ーーグランに送らないで!!

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