感情表明

落合 優帆

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第二十三章   告白

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僕は、最近ずっと笹倉さんのことを考えているが今日はよく本当に仕事の最中なのに笹倉さんのことばかりを考えている。全然仕事に集中できない・・・。

多分それはあの現場を目撃してしまったからだろう。

なんでかというと、お昼休みに最近笹倉さんと前野と食べたり、前野が気を遣って僕と笹倉さんだけで食べることは増えたのだが今日だけは違った。

違う部署の方に笹倉さんが呼び出されたと言うか、だからお昼が一緒に食べられなかったのだ。

最近いつも一緒に食べていたから余計に気になってしょうがなかった。

お昼休憩は前野と一緒に食べていたがそのことが気になりすぎて前野と何を話していたのかさえも覚えていなかった。

笹倉さんはお昼休憩から戻ってくるとなんだかぼーっとしているようだった。

あの人と話したのが楽しかったのか、それとも好きになってしまったのだろうかと僕はいてもたってもいられなくなっていた。

なんだか僕の中で今までになかったよくわからない気持ちになっていた。

初めての気持ちだった。

こんなに誰かのことを考えることは今までなかったし、人とあまり接しないように生きていこうと思っていた僕にとってはもどかしいというかなんというか心臓がもやもやしていて気持ちが悪かった。

仕事中もそんなことばかり考えていたので、普段しないようなミスばかりを連発するようになってしまってもうどうしようもなかった。

周りの方たちもそんな僕をみて大丈夫?と声をかけてきてくれるほどであった。

でも、僕的には笹倉さんのことを考えているだけなのでなんとも言えなかったが、そんな周りの方たちの声が素直に嬉しかった。

なんとかミスをしながらも今日の仕事を終えた僕は、前野に今日呑みにいかないか?と誘ってみた。

相談したいことがあったからだ。

前野は迷うそぶりもなく、一言で「いいよー。」と普段通りに答えた。



僕たちはそのまま居酒屋に足を運んだ。

僕は、今日のあったことをそのまま話して自分の気持ちやもやもやがはっきりしないので相談した。

前野は、
「それは、恋ってやつだな。そして、その今日の話を聞く限りでは弘樹は嫉妬してるんだな。」

「嫉妬・・・・」

「笹倉さんに話しかけてきたやつと笹倉さんが今日お昼休憩行ったことに関してもやもやしてるのと、その後の笹倉さんの様子をみてもやもやしたんだろ?」

「うん・・・。」

「それは、完全なる嫉妬だよ。」

「嫉妬か・・・・。言葉の意味ではわかるんだけど、今までそういう感情がなかったからなんなのかわからなかった。教えてくれてありがとう。」

「おうよ!まあ、弘樹も恋をするようになって俺は嬉しいよ!」

「まあ、確かに笹倉さんに対する気持ちは前とどんどん変わってきてるし、最近きになってしょうがないっていうのもわかってたけど、これが恋・・・なんだな。」

「そうだよ。弘樹が恋をしてくれるのは嬉しいことだ!」

と前野は嬉しそうに残りのビールを一気にのみほし、大将!おかわり!!となんだかドラマにでてきそうな台詞を発した。

そんな前野をみて微笑ましい気持ちになった。

でも、今日のことが気になってしょうがなかった僕はもやもやが解決してもぼーっとしていた。

そんな僕の様子をみてか前野が、

「いっそのこと、笹倉さんに愛の告白をしてみたらどうだ!」

と提案してきた。

僕はなんだか恥ずかしくなってきて、僕も一気に残りのビールを飲み干した。

ふーっと息を一気に吐き出した僕は決意した。

「そうだなっ、笹倉さんに告白してみる。」と前野に勢いよく言った。

「おうっその意気だーっ」

と前野もノリノリになっていた。





僕は家に帰ってからも笹倉さんのことを考えていた。

勢いよく言ったものはいいものの本当にしていいのか・・・・。

告白したら笹倉さんが困らないだろうかと思っていた。

そのことも前野に相談したけど、前野はニヤニヤしながら絶対大丈夫だと思うと言っていた。

よくわからないけど、変な自信があるようだ。

でも、僕も僕でもう一度決めたことなんだから絶対に告白しようと意気込んだ。

告白の計画をたてながらいろいろ考えていた。

どうせならデートに誘おうと僕は思った。

明日は金曜日だし、次の日は休みだから一応ダメでも誘ってみようと決断した僕だった。



次の日、いつもと変わらない朝なのに僕はとても緊張していた。

なぜなら笹倉さんにデートに誘おうと思っていたからだった。

でもまず先にお昼休憩に誘わないとと思っていた。

もしかしたら先に昨日の人が誘ってしまうかもと思ったからだ。



仕事場に着くと、笹倉さんはもう席についていた。

早いなあと思いながら先にお昼を誘ってみることにした。

「おはようございます。」

「おはようございます。」

挨拶はいつもこんな感じだった。

その時にたまに笹倉さんが話しかけてくるかこないかと言う感じだが今日は挨拶でおわりな感じだった。

僕は勇気をだして、言葉に出した。


「今日のお昼一緒に食べませんか??」

僕は緊張しながら言ったが、笹倉さんはいつも通りに、

「いいよ~。またお弁当のおかず食べさせてくれる??」

と笑いながら言ってきた。

ああ~よかった~と思いながら仕事を進めていった。

お昼休憩になると、僕と笹倉さんはいつものようにベンチに腰掛けた。

お弁当も笹倉さんが興味が湧くと思っていつもよりも多く豪華にした。

それにいち早く気づいた笹倉さんが目を輝かせて、いっぱいもらっていいですか?美味しそう!と言っていた。

そんな笹倉さんの反応が嬉しく、微笑んでしまった。

そんな僕の表情に気づいた笹倉さんの顔がなんだか赤くなっていた。



僕は笹倉さんとお昼ご飯を食べながら本題にいつ入ろうかと悩んでいた。

笹倉さんがなぜか普段よりもとても喋るからだ。

一体どうしたんだろうと思っていると笹倉さんが突然、
「佐藤くんは、彼女とかいるの?」
と聞いてきた。

いきなりすぎたので、むせてしまった。

そんな反応を見て笹倉さんはやっぱり、いるのか・・・。となんだか下を向いていた。

いきなりのことだったのでびっくりしただけですと慌てて言うと、そうなんだっと今度は笑顔になった。

いろいろよくわからないがとりあえず、この流れでデートに誘おうと思った。


「あの、今度というか突然なんですけど明日映画でも見に行きませんか?見たい映画があって・・・。」

となるべく緊張を隠しながら伝えた。

笹倉さんはいきなりのことで少し驚いていたが、全然いいよ~何みる?と答えてくれた。

ああ~緊張した。でも誘いが断られなくってよかったと思った。


その日のお昼休憩はそのまま笹倉さんとぺちゃくちゃおしゃべりを楽しんで終わりになった。

でもその後の僕はまた明日のデートに関して映画を見た後に何をしよういつ告白をしようかで悩んでいた。

また前野に相談しようか・・・・。

いや、でもここはしっかり自分で決めないと意味がないと思いその日は自分でメモや調べ物をしながらデートの計画を練っていた。

次の日、いつも通りに僕は目を覚まし心を落ち着かせていた。

初めてのデートだし、好きな人とデートなんて緊張する。そう思った。

こう言う時前野はどうするんだろうとついつい前野のことを考えてしまう。

なんだかんだいろいろな経験を前野は絶対にもっているんだろうなと思っていたからだった。


朝ご飯はまたフレンチトーストにして、その上にバニラアイスをのっけて糖分をなるべくとっておいた。

絶対に頭を回す機会が今日たくさんでてくるからだ。

映画のあとはお昼や他に行くところも決めてある!これでデートの計画は一応完璧だろうと僕は思っていた。



笹倉さんとの待ち合わせの時間になった。

もちろん僕はうきうきしていたので早めに待っていた。公園の時計広場で待ち合わせだった。

その後に映画館にいくところだった。

笹倉さんがくるまであと、十五分くらいだろう。待ち合わせまで時間が余っている。

僕はいつも持ち歩いている本を読んでいた。

この本はいつ読んでも面白い。仕事中の暇な時間でも読んでいたいぐらいだった。

というか暇な時間くらい音楽や本を見ていても、問題はないのではないかと思うが多分ダメなのだろう。

なんだか悲しい。早くそういうホワイト企業的な感じで好きなことを自由にやらせてもらえる社会になってほしいと願っている。

そんなこんなしていたら待ち合わせの時間になり笹倉さんがきた。

いつもの格好ではなく、とても女性らしい可愛らしい雰囲気のワンピースを着ていた。

笹倉さんは走ってきたのか顔をほてらせながら僕に近づいてきた。

「おはよう・・・。はあはあ・・・・。」

「おはようございます。大丈夫ですか?何かありましたか??」

「いや、いろいろ悩んでいたらあっという間に時間になりそうで走ってきた。」

「いや、遅れるのだったら全然連絡してもらえば待ってましたよ。事故にでもあったらそっちのほうが危ないです。」

と僕がいうと、

「佐藤くん、優しいのね。ありがとう。でも、どうしても間に合わせたかったし早く佐藤くんに会いたかったし・・・・。」

と笹倉さんはとんでもない一言を何気なくいった。

心の中の僕は嬉しすぎて飛び跳ねていた。そんなことを思ってくれていたのか・・・・。嬉しい。ありがとうございます。と心の中で唱えた。

僕は素直に、笹倉さんに

「ありがとうございます。僕も笹倉さんに早く会いたかったので早く着きすぎました。」

と素直に心からそう伝えた。

そしたら。笹倉さんも嬉しそうに顔を赤らめていた。

どれだけ急いだんろう。今度から連絡して確かめたほうがいいのかな・・・そう思った。


「とりあえず少し休んでから行きましょう。」

「ごめん。」

「いえいえ。」

休日は大体本屋さんに行くか前野がどっかに連れ出すかだったので笹倉さんと出かけるのは新鮮だ。

なんだかうきうきする。楽しみだなというか既に楽しいのだが・・・・。


僕たちはそのまま映画館に行った。

映画は昨日笹倉さんと何が見たいか話し合っていたのでもう決まっていた。

箒と魔法の物語だ。このシリーズは僕が小さい頃からやっていて、最近また新作がでたのだ。

ずっと見たいと思っていたけど、いろいろバタバタしていたからやっと見れる。

ポップコーンやドリンクを購入して、僕たちは席へ移動した。

もう映画館はCMがやっていた。いろんな映画の紹介やなんやかんや・・・・。

もうあとちょっとで映画は始まろうとしていたのでちょうどいいタイミングだったと思う。


映画はもう最高だった。

感動だし、次回作もあるような予告があったので次回まで楽しみにしておこう。

笹倉さんも興奮状態だった。

「もう!最高だったね!!次回作が早く見たすぎてどうしようもない!また、佐藤くん、見に行こ!」

と興奮気味に言ってきた。笹倉さんから次のデートのお誘いが来るとは思ってなかったので嬉しかった。

「またぜひ行きましょう!楽しみですね。」

と答えた。笹倉さんは、はいっと元気よく答えた。


映画館の後は、お昼ご飯を食べてそれから遊園地に誘った。

すごく喜んでくれたのでよかった。下手かもしれないけど、僕の告白のパターンは観覧車に乗って天辺に行ったら告白するつもりだ。


お昼も食べたりアトラクションも乗ったりとすっかりと日は暮れて、暗い夜の雰囲気になった。

僕は緊張していたが、笹倉さんは普通に観覧車を楽しんでいた。

楽しんでくれたほうが嬉しいので僕は今日のデートは成功だったと思った。

まだ、告白もしていないがもし断られても今日のデートが笹倉さんにとっていい思い出になったのであればそれでいいなと僕は思った。

もう少しで頂上に来る。



よし言うぞって思った瞬間、笹倉さんが話しかけてきた。


「今日、映画に誘ってくれてありがとう。とっても楽しかった!

最初、誘ってくれた時は心の中ではびっくりしたけど本当に嬉しかった。

ありがとう。

映画のあともお昼もハンバーグとか美味しくって遊園地まで連れてきてもらって今日の一日は絶対に忘れない!

佐藤くん、ずっと多分私の気持ちに気づいてなかったかもだけど、私・・・

わたし・・・!」

「好きです!僕と付き合ってください!!」

と僕は笹倉さんが何を言おうと思ったのかだんだんとわかってきて、でも僕が言いたくて無理やり割り込んだ。

だから、好きですじゃなくて好き!となってしまったが伝わればいい。

そう思うことにした。笹倉さんはびっくりしたけど、そのあとに、笑って、

「はい!よろしくお願いします!」と満面の笑みで答えてくれた。

でもその後、
「私が言おうと思ったのにー。」

とぷくっと頬を膨らませていた。

そんな表情をする笹倉さんが愛おしくて僕はそのまま笹倉さんにキスをした。

頂上ではなかったけれど、最高の一日になったのは間違いなかった。

僕と笹倉さんは両思いだったのだ。そして、今日から付き合うことになった。




僕は心があったかかった。笹倉さんに思いを伝えられたし、付き合うことになった。

本当はもっと一緒にいたかったけど、最初のデートなのにいきなりホテルになったらなんだか嫌な気持ちにさせてしまう気がして今日は名残惜しくもそれぞれの家に帰った。

けど、僕の気持ちも伝えられたのでよかった。

笹倉さんの気持ちも直接聞くことができたのでとてもよい一日だった。

家に帰ると前野が仁王立ちしていて、どうだった?と嬉しそうにしつこく聞いてきた。

きっとこの顔は最初からわかっていたのだろう。

付き合うことになったとボソッと言ったら、

「だろうなあー」とニヤニヤしながらこちらをずっと見てきた。

むかつくが前野にも相談していたし、しょうがない。

「前野、相談に乗ってくれてありがとう。」と正直に思う気持ちを伝えた。

前野はおうっと言って、グッと親指をたててきた。



僕はいい親友をもったと改めて思った。

デートは成功したし、告白も成功したけど、僕の過去のことや家族の事情に関してはまだ笹倉さんには言えていない。

いつ言おう。そのことについてとても悩んだ。どうしよう。


でもいつかは言わなくてはいけない。隠していてもしょうがないことだ。

けれど、すぐに言おう。そう思った。




前野にも相談したが、笹倉さんならわかってくれるよって笑顔で答えてくれた。

次の日も普通に仕事をして、笹倉さんと一緒にお昼を食べながら過ごした。

笹倉さんも楽しそうだし、僕も楽しかった。

「あの、笹倉さん・・・。話しておかないといけないことがあるんだけど・・・。」

と僕は恐る恐る笹倉さんに話しかけた。

笹倉さんはそんな僕の様子を見て何かを感じ取ったのか、ご飯を食べる箸を止めた。

「うん。何・・・?」

僕は一息吐いて、決心すると今までにあったこと、過去のこと、全てを包み隠さず笹倉さんに話した。




数分後・・・。


笹倉さんは大号泣していた。

最初は普通に話を聞いていたが、途中からずるずると鼻水をたらし、涙を流しながら聞いてくれていた。

僕は続けて話していいのかどうかを途中で聞きながら、笹倉さんに話した。



全て話し終えると、笹倉さんは、


「そ、そうだったんだね・・・。

なんか初めて会った時から何かはあるかと思っていたけど、そんなこととは知らず・・。

なんにも力を貸せなかった・・・。

ごめん。ごめんね。佐藤くん。

あの時、佐藤くんは何か悩みを絶対に抱えてるって思っていたのに、思っていたのに話しかけすらしなかった。

私は最低だよ・・。

本当にごめん。もっと早く、気づいて気づいたら佐藤くんに話しかけて何か力になれることを探せば良かったの
に・・・・。」

と言いながらずっと泣いていた。

僕はどうしていいかわからないけど、とりあえず自分の持っていたハンカチを笹倉さんに差し出した。

すると、笹倉さんはまた泣き出した。

「ごめんねー。本当は私じゃなくて、佐藤くんが泣きたいはずなのに・・・・。」

うわーんと子供のように泣く笹倉さん。

僕はおどおどしながらも、僕の話を受け止めてくれて泣いてくれた笹倉さんに対してより愛しいと思った。

前野が言っていた通り、笹倉さんなら大丈夫だったのだ。

僕は、笹倉さんに出会えたこと、笹倉さんと付き合えたことに感謝した。



笹倉さんがいつになっても、泣き止まないのでなんとか泣き止むように頭を撫でた。

すると、だんだん落ち着いてきたのか、すみませんとハンカチを何度も折りたたんでいた。


「僕の方こそいきなりごめんね。

付き合いだしたばかりなのに、こんなに重い話をして・・・。

でも、いつかは話さなきゃいけないことだし、笹倉さんにずっと隠していたくなかったんだ。

話すのは勇気がいることだけど、笹倉さんだからきっと受け止めてくれるだろうって信じてた。

最後まで話を聞いてくれてありがとう。」


と僕は心の奥底から思ったことを口にした。

笹倉さんは、首を横にブンブンふった。まるで、小さな女の子のようだ。


「これから、迷惑かけることもあるだろうけど、どうぞよろしくお願いします。」

と僕は笹倉さんに深々と頭を下げた。

「こちらこそ、今までの辛い話なのに一生懸命話してくれてありがとう。嬉しかったよ。

こちらこそこれからどうぞよろしくお願いします!」

と笹倉さんは満天の笑顔で答えてくれた。



話は終わってほっとした僕だったが、付き合ってすぐにこの話はなかっただろうか・・・。と少し後悔もした。

今更遅いのだが・・・。

まあ、とにかくよかった。ありがとう。笹倉さん。僕はずっと笹倉さんに対しての感謝を忘れない。そう心にちかった。




その日の一日も早かった。

笹倉さんに今までのことを話していたら、笹倉さんが僕の母親に会いたいと言っていた。

まだ笹倉さんが会うには早い段階なので、もうしばらく様子を見てからということになった。

でも、笹倉さんが僕や僕の母親のことを敬遠して見ていなく、接してくれることに関して本当に嬉しかった。

たった数時間を過ごしているだけなのに、笹倉さんという人柄がとてもよく伝わってくる。

今まで、親に大事に育ててきてもらったんだな。愛されたんだなととても感じる。

もっともっと笹倉さんと話したい。笹倉さんのことを知りたい。

いろいろな感情が溢れてきて止まらなくなった。

心の中での僕はもう、嬉し泣きをしている状態だった。

笹倉さんのことが愛おしくて付き合ったばかりなのにもう結婚したいこの人とずっと一緒に過ごしていたい、心からそう思った。



僕は笹倉さんを大切に大切にしようと思った。

笹倉さんはまだ僕の母親には会えないが、今までのことを少しずつ詳しく話したり、

笹倉さんが質問してきたことを少しずつこうだったかな、ああだったかなと回答したりとそういう過去の話も増えてきた。



僕だけの話ではなくて、笹倉さんの過去の話とかどうやってイメチェンしたのかなどいろんな話を面白おかしく話してくれた。

そういうふうに笹倉さんと接していくたびに、僕の一つ一つの心は解きほぐされていき、

前野と話している時も少しずつ素直な反応に慣れていたのが、今では誰とでも普通に素直に話せるようになるまできていた。


これは、笹倉さんのおかげだなと前野は僕のことをこづいてきた。




前までは、前野と一緒に暮らしていたが今では笹倉さんと一緒に暮らすようになった。

前野は僕と笹倉さんがいい雰囲気になってからだんだんと今までよりも更にきづかうようになり、いいタイミングでいきなり、一人暮らし始めるから引っ越し手伝ってくれよーと言ってきた。

僕はもちろん、ええーと言い、いいよと答えた。

そんな僕の様子に前野はどこかほっとしたように、
「もう、俺がいなくても大丈夫だな。」

とどこかのかっこいい台詞を僕に言ってきた。

僕はなんだそれと思いながらも、うんとうなづき、

「今までありがとう。前野がいてくれたおかげで今の僕がいる。これからもよろしく。」

と素直にそう答えた。そんな僕の言葉に前野は嬉しそうに、

「そんなことまで言えるようになったんだなー。全部、笹倉さんのおかげだなー。」
とわざとらしく泣くふりまでしてきた。



僕の母親にはまだ会えていないが、少しずつは母親の状態がよくなってきたので、彼女を紹介するのも時間の問題だ。



驚いてくれるといいな。

過去にいろいろあったけど、結局は母親なのだ。

そう思うことができたのは、僕と一緒に通ってくれていた前野や日暮、また愛というなのはじめての恋愛を笹倉さんとすることができたからだ。


僕は今までいろんなことに対してあきらめてきた。

けど、誰かがそばにいてくれたり信頼してくれるだけでこんなにも違う。

それを僕は学んだ。友情、恋愛、家族愛・・・・。




いろんなことがあるが、僕は僕の人生でよかったと心から思った。





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