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なすりつけ合いは、もう終わり
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ルイーズからしこたま叱られたジェラールだが、何故あのようなことをした、と問われれば『交流を絶っていたシオンと、また普通に会話をしたかった』ということらしい。どうりでここ最近やたらと登城要請があるはずだ、と思ったものの、シオンの気持ちを一切考えていないあたりはさすが、王太后譲り、ともいえるべき性格である。
「ろくなもんじゃないわ……!」
「ルイーズ様、落ち着いてくださいませ。結果として自業自得の嵐なのですから、良しとしましょう?」
「フローリア、でもね」
「姉上、いいんじゃない? これで、いかにあのババアがクソなのかはやっと理解出来た、ってところだから」
「遅いのよ!」
ずだん!!と物凄く大きな音を立てて机を叩いたルイーズだが、シオンから『まぁまぁ』と宥められ、気持ちを落ち着けるためなのか大きく息を吐いた。
「……本当にあの母親もジェラールも、ミハエルも生き写し並に性格がそっくりだこと」
「否定はしないわ」
げんなりしたシオンが、座っているソファーに深く腰掛け直し、ぼんやりと天井を見上げた。
「ほんと、自分たちの都合……いいえ、己の都合しか考えない人だわ」
はは、と乾いた笑いをこぼすシオンの目はどこか虚ろでもある。
「……シオン様……」
「あら、ごめんねフローリア。心配させた?」
「……はい」
頷くフローリアは、シオンの隣に寄り添うように座っている。
みっともないところを見せてしまった、と苦笑いを浮かべるシオンだが、今更フローリアに弱いところを見せても、きっと彼女なら受け入れてくれる、というそんな確証があった。
「これで少しはあの人たちも懲りれば良いけど」
「どうでしょうねぇ……」
ルアネも、ルイーズも、あそこまで王太后の性格とジェラールの性格が酷似しているだなんて思わなかったからこその、とんでもない疲労感に襲われている。
だいたい、どれほどの思いでかつてのシオンが王位継承権を永久放棄したのか、更には、どんな思いで母親から『死ね』と言われているような任務にあたっていたのか、それらを丸無視して『やっぱまた仲良くなりたい』などというのは、無神経にも程がある。
あの後、早々に王宮から立ち去った一行だが、ルイーズも『こんなところ気分が悪すぎる!』と激怒したままシェリアスルーツ家へとやってきている。
なお、例の魔法からどうやって解放されたのか、とシオンやレイラから問われたルイーズは一言。
「気合いで破ろうとしたら何か出られた」
ということらしい。
閉じ込められたあと、『まぁどうせあの人の魔法なんて大したことはない』と、空間内で普通にしていたが、気が付いたらぐにゃぐにゃと空間がねじ曲がり始め、『ヤバい』と思っていたら普通に出られたそうだ。
あぁ、それ魔法の暴発のせいだ、とシオンたちがちょっとだけバツの悪そうな顔をしていることに目ざとく気付いたルイーズは、笑いながらこう言った。
「どうせお母様のことだから、使えもしない、よく分からない魔法なのに『あたくしにかかれば!』とか言って発動させたんでしょう。馬鹿な人よねー」
実際馬鹿ではあるが、あまりにケロッとしているからさすがのシオンもちょっとだけ焦る。
「あ、姉上、体調には」
「何もないわよ」
「け、けど!」
「そうねぇ……魔法が得意なあなたやレイラちゃんに説明するのもあれだけど……。多分、一定の広さの空間があって、空気なんかも普通にあったんでしょうね。そのあたりの魔法の効果っていうのは多分その指輪についてた効果がある程度補ってくれていたから、わたくしも無事だったんだと思うの。そうじゃなかったら自力で無理矢理出てきてるわよ」
ぐっ、と拳を握るルイーズに、レイラはうんうんと頷いている。
「ルイーズ様が無事で良かったですけど、ろくにその魔法を知らないまま魔法発動させた王太后さまも大概やばい人ですけどね。どうしてそんな効果の指輪が」
「ごめん、それアタシの魔石の管理不足」
「あらー…」
「魔石の収集もしてたから、面白い効果だな、と思ってべつに保管してたのよ。そしたら、あのババア『綺麗だからもらっていくわー!』って、何の予告もなく人んちに来て強盗していくんだもの。使用人が『警備兵につき出そうとしたら、わたくしはシオンの母よ!』って無駄に威張られちゃったみたいで、うっかり何も言えないまま見送った、って」
「光景が目に浮かぶ、というか……ねぇ、フローリア」
「えぇ……本物の強盗もある意味真っ青な手口ですわ……」
双子がしみじみ呟いているが、アルウィンはそれをさっさとメモに書き記している。
そして、それをダドリーに渡してから小さな声で『騎士団に届けさせろ』と言っているのをシオンは聞き逃さなかった。だが、あえてこの場では何も言わず、アルウィンに任せることにした。
王太后は、他国の王妃を傷つけようとした罪、ならびに身内とはいえ窃盗事件を起こした人として、公式な裁判にかけられることになるだろう。
いくら身内だからとて、容赦なんかされては困る。
ルイーズの場合、身内とはいえ他国の王妃なのだ。そのような人を魔法を使って閉じ込めた、だなんてどのような神経をしているのだ、と今頃王宮の役人たちは真っ青になっていることだろうな、とアルウィンは冷静に分析する。
実際、真っ青どころかルイーズの嫁ぎ先から宣戦布告をされて国家同士の戦争が起こってもおかしくない、と役人たちは慌てふためいていた。
無論、母親を止められなかったジェラールも相当な勢いで責め立てられているのだが、シオンはきっと助けない。
「これで、この国の人たちはようやくあのババアと、兄上のヤバさに気付いたかしらね」
「気付きはしたと思います。ただ、気付いて、どうするのか……がとても大切なんですけど……そこまできちんとやるかしら」
フローリアは思わず溜息混じりにそう呟くが、アルウィンがにっ、と笑って言う。
「心配するな。さすがに、なぁなぁで済ませることはしないだろう。……ねぇ、ルイーズ様」
「無論、なぁなぁで済ませたら戦争起こしてこの国を滅ぼしてやりますわ」
「……目が本気」
「あらぁ、レイラちゃん。わたくしいつだって本気よぉ?」
目が、すわっている。
これ以上うっかりした発言は何か自分もヤバい、と判断したレイラはえへへ、と可愛らしく笑う。
「もうこれ以上何も言いませーん……」
そう言うと、ぎこちなく視線を逸らす。
あらまぁ、とルイーズは笑っているが、恐らくルイーズが帰国してからが別の意味でこの国は本番を迎えるだろう。
「(フローリア)」
「(レイラ、なぁに?)」
「(この国、大丈夫かなぁ……?)」
レイラが小さな声で問いかけた内容は、その部屋の全員がばっちり聞いている。
アルウィン、ルアネ、ルイーズたち大人は顔を見合せ、うん、と頷いてからルイーズが代表して言葉を紡いだ。
「駄目ならうちにいらっしゃいな」
「聞こえてました!?」
「ばっちり」
「うわぁ……恥ずかしい……」
「でも、本当よ。わたくし、ルアネをどうにかしてうちの国に呼び寄せようとしていたんだから。ねぇ、ルアネ?」
「お断りし続けておりましたが……考えてみるのも良いかもしれませんわね。ね、旦那さま?」
「今回のはさすがになぁ……」
自分が何か言う前に何だか色々片付いてしまった、とフローリアは目を丸くしていたが、ほんの少しの不安を滲ませて隣にいるシオンを見上げた。
視線に気付いたシオンは、ぱちん、と小さくウインクをしてからフローリアの頭をよしよし撫でる。
「大丈夫よ、どうにかなるから。いいえ、どうにかするから」
「……はい」
シオンの力の籠った言葉に、フローリアは微笑んで頷く。
シオンが言うなら、大丈夫だと思える安心があって、フローリアはそっともたれかかる。
こうして、一旦はこの事件は収束に向かったのであった。
王宮内は大荒れだが、シェリアスルーツ家の問題ではない。ここまで王太后を放置してきた王家、役人たちがあとはどうにかしなければならない問題なのである。
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「ルイーズ様、落ち着いてくださいませ。結果として自業自得の嵐なのですから、良しとしましょう?」
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はは、と乾いた笑いをこぼすシオンの目はどこか虚ろでもある。
「……シオン様……」
「あら、ごめんねフローリア。心配させた?」
「……はい」
頷くフローリアは、シオンの隣に寄り添うように座っている。
みっともないところを見せてしまった、と苦笑いを浮かべるシオンだが、今更フローリアに弱いところを見せても、きっと彼女なら受け入れてくれる、というそんな確証があった。
「これで少しはあの人たちも懲りれば良いけど」
「どうでしょうねぇ……」
ルアネも、ルイーズも、あそこまで王太后の性格とジェラールの性格が酷似しているだなんて思わなかったからこその、とんでもない疲労感に襲われている。
だいたい、どれほどの思いでかつてのシオンが王位継承権を永久放棄したのか、更には、どんな思いで母親から『死ね』と言われているような任務にあたっていたのか、それらを丸無視して『やっぱまた仲良くなりたい』などというのは、無神経にも程がある。
あの後、早々に王宮から立ち去った一行だが、ルイーズも『こんなところ気分が悪すぎる!』と激怒したままシェリアスルーツ家へとやってきている。
なお、例の魔法からどうやって解放されたのか、とシオンやレイラから問われたルイーズは一言。
「気合いで破ろうとしたら何か出られた」
ということらしい。
閉じ込められたあと、『まぁどうせあの人の魔法なんて大したことはない』と、空間内で普通にしていたが、気が付いたらぐにゃぐにゃと空間がねじ曲がり始め、『ヤバい』と思っていたら普通に出られたそうだ。
あぁ、それ魔法の暴発のせいだ、とシオンたちがちょっとだけバツの悪そうな顔をしていることに目ざとく気付いたルイーズは、笑いながらこう言った。
「どうせお母様のことだから、使えもしない、よく分からない魔法なのに『あたくしにかかれば!』とか言って発動させたんでしょう。馬鹿な人よねー」
実際馬鹿ではあるが、あまりにケロッとしているからさすがのシオンもちょっとだけ焦る。
「あ、姉上、体調には」
「何もないわよ」
「け、けど!」
「そうねぇ……魔法が得意なあなたやレイラちゃんに説明するのもあれだけど……。多分、一定の広さの空間があって、空気なんかも普通にあったんでしょうね。そのあたりの魔法の効果っていうのは多分その指輪についてた効果がある程度補ってくれていたから、わたくしも無事だったんだと思うの。そうじゃなかったら自力で無理矢理出てきてるわよ」
ぐっ、と拳を握るルイーズに、レイラはうんうんと頷いている。
「ルイーズ様が無事で良かったですけど、ろくにその魔法を知らないまま魔法発動させた王太后さまも大概やばい人ですけどね。どうしてそんな効果の指輪が」
「ごめん、それアタシの魔石の管理不足」
「あらー…」
「魔石の収集もしてたから、面白い効果だな、と思ってべつに保管してたのよ。そしたら、あのババア『綺麗だからもらっていくわー!』って、何の予告もなく人んちに来て強盗していくんだもの。使用人が『警備兵につき出そうとしたら、わたくしはシオンの母よ!』って無駄に威張られちゃったみたいで、うっかり何も言えないまま見送った、って」
「光景が目に浮かぶ、というか……ねぇ、フローリア」
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双子がしみじみ呟いているが、アルウィンはそれをさっさとメモに書き記している。
そして、それをダドリーに渡してから小さな声で『騎士団に届けさせろ』と言っているのをシオンは聞き逃さなかった。だが、あえてこの場では何も言わず、アルウィンに任せることにした。
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いくら身内だからとて、容赦なんかされては困る。
ルイーズの場合、身内とはいえ他国の王妃なのだ。そのような人を魔法を使って閉じ込めた、だなんてどのような神経をしているのだ、と今頃王宮の役人たちは真っ青になっていることだろうな、とアルウィンは冷静に分析する。
実際、真っ青どころかルイーズの嫁ぎ先から宣戦布告をされて国家同士の戦争が起こってもおかしくない、と役人たちは慌てふためいていた。
無論、母親を止められなかったジェラールも相当な勢いで責め立てられているのだが、シオンはきっと助けない。
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「大丈夫よ、どうにかなるから。いいえ、どうにかするから」
「……はい」
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