39 / 65
さぁ、帰りましょう
しおりを挟む
オネェ言葉がバレてしまったシオンは、何というか開き直っていた。
てへ、と可愛らしく言うものの、イケメンだから何となく似合っているのがどことなく悔しかったりする。だが、普通のオッサンがこれをやったとして、恐らく気持ち悪い、という感想しかないだろう。
「……で、さっきの爪無事?」
「あぁ、そういえばあの魔獣の爪、魔水晶のような不思議な材質でしたわね。破壊した時ガラスが割れたような音がしておりましたし」
ひとしきり新人をビビらせて『口外しません』と制約魔術でしっかり口止めをして、魔物のところへと歩いていくシオン。
余程魔獣の素材が嬉しいんだろうなぁ、とフローリアはのほほんとしているのだが、あの素材にどれだけの価値があるのだろう?とくびをかしげている。
「閣下、あの爪も素材として収集対象なのですか?」
「そう、あれって結構面白い素材だと思わない?」
「……面白い、ですか……。なるほど」
シオンの言葉にふむふむ、と何か納得したように頷いているフローリアを見て、ラケルはそっとアルウィンに近寄っていく。
あの二人の相性の良さは半端ないから、これは是非ともシオンの嫁にフローリアが欲しい。シオンだって満更ではないだろうし、フローリアも嫌そうな雰囲気はない。
必要なのはアルウィンの許可だし、婿が欲しいと言われればラケルやらほかの使用人たちが総動員で、シオンの尻を思いきり叩いて促すだけだ、と考えて『そうだ、婿入りという手があるか!』とラケルは改めて思い直す。
「ねぇ団長~」
満面の笑顔が胡散臭すぎるラケルを、アルウィンはぎろりと睨んだ。そして、一言告げる。
「殺すぞ」
「物騒ですね!?」
「どうせうちの子くれとか言うんだろうが!やらんわ!」
ちなみにこれは小声の会話。
本人たちは知らないが、聞こえる位置に新人たちがいる。ニックは『あの二人確かにお似合いだよなぁ』と考えているのだが、どこからバレたのかアルウィンに睨まれて妙な悲鳴が漏れた。
娘に関しては容赦ない、というか本物の娘馬鹿であるアルウィンなのだから、そんなこと考えようもんならどこからともなく思考回路は筒抜けなのだ。
大体は、考えている人の顔に書いているからモロバレなのだが。
「でも、あの二人って色んな意味で最強夫婦になりそう、っていいますか……」
「いややらん、駄目だ」
「団長、結果的に王太后さまの思い通りになるのは癪だとは思いますが、フローリア様の幸せのために」
「その結果的に、があるから余計に嫌なんだよアホ!あと、うちの可愛い娘をそう簡単にやるとかやらないとか、今ここで判断できるか!」
ぎゃんぎゃんと騒いでいるアルウィンの様子に、さすがにフローリアも何があったのかとそちらを見る。フローリアの視線を追いかけて、シオンもそちらを向いた。
自分とシオン以外は何やら固まって会話をしているから、フローリアは少しだけそわそわしてしまう。
「何を話しているんでしょう……」
「アルウィンったら、何かやかましいわね。何言ってんのかしら」
ひょいひょいと魔獣の爪を拾い、手元に収納魔法をぱっと出現させて、亜空間に投げ込んでいく。
それを見たフローリアは、ぱっと顔を輝かせた。収納魔法自体をあまり見たことがなかったこともあり、これにはとんでもなくフローリアは興味津々だったようだ。
「公爵閣下、その魔法は?」
「え?」
「わたくし、その魔法を見たことがないんですの!」
「あれ、フローリア嬢これ使えない?収納魔法なんだけど」
「収納魔法……」
そんな魔法が……!と、顔を輝かせるフローリアに、シオンの方が思わず驚いてしまった。
まさか、こんな魔法で感激されるだなんて思っていなかったのだ。
収納魔法自体、使うことは難易度は高くない。しかし使うための術式を組み上げることが、とてつもなく難しいのだ。
「……これくらいなら、教えてあげるけど」
「まぁ……っ、閣下、よろしいのですか!?」
更に目をキラキラ輝かせながらフローリアは問いかけるが、迷うことなくシオンは首を縦に振る。こんなにも好奇心旺盛なら、それはもう可愛くて仕方ないというもの。勉強熱心な子は勿論シオンは大好きだし、それが魔法なら尚更。
おまけに、魔獣に対しても恐怖心がなく……いや、恐怖心がフローリアに全く無いわけではないのだろうが、自分から打開策を提案・発見して、思いきり突っ込んでいく戦闘スタイル。しかも部位破壊を的確に行える実力の持ち主。
「勿論、断る理由なんてな」
「却下ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「……やっかましい……」
恐るくシオンが続けたかったのは『断る理由なんてない』だし、それに対してお願いします、と言おうとしたフローリアだったが、勢いよくやってきた滑り込みお邪魔マンと化したアルウィンにより邪魔された。シオンの言葉を遠慮なく遮ったアルウィンは、己の背後にフローリアを隠すようにしてシオンの前に立ちはだかる。
「お、お父様?」
「フローリア、魔法ならお父様が教えてやろう!何なら魔術師団長に頼んでやろう、なっ!」
「魔術師団長に魔法教えたのアタシよ、おバカさん」
「くっそぉ!!」
「あの、えっと」
置いてけぼりだなぁ、と考えているフローリアだが、ひょっこりとやってきたニックから問いかけられ、はて、と首を傾げた。
「シェリアスルーツ令嬢は、魔法を習いたいのか?」
「え?えぇ、だって収納魔法は便利ですもの」
にこ、と微笑んで迷いなく頷き、フローリアの返答に『駄目だー!!』と叫んでいるアルウィンだが、ラケルやセルジュは思う。
変な輩に渡すくらいなら、もう本当にシオンが相手で良いんじゃなかろうか、と。
王太后の問題はあるにせよ、そんなことよりもミハエルが『側妃に!』とか言ってくる方が面倒ではないだろうか。今、王太后は側妃制度を都合よく思い出していないようだから、言い出す前に手を打ってしまえばいい。
むしろ、フローリアとシオンならどうにかして、王太后の問題を解決できそうな気がしなくもない、というのはアルウィン以外の意見の総意であるのだが、当のアルウィン本人もそれが一番いいのは理解している。
そう、理解しているが、親心として嫌すぎるというか何というか、嫌なものは嫌だ、という感情が大きすぎて、どうしようもないのだ。
「んじゃ習ったら良いんじゃないかな、って俺はおも、って……あの、団長、本人の意思が大切なんじゃないかな、って思うわけなんです!!」
ニックのあまりの必死さに、ほんの少しだけアルウィンの殺気が霧散した。本人の意思は確かに大切だ、と思い直してアルウィンは、うん、とようやく頷いた。
「……まぁ、確かに」
「団長、何か今にも死にそうな顔になってますけど」
「セルジュ、うるせぇ」
「お父様、公爵閣下に魔法を習ってはいけませんか?」
「うぐっ……」
セルジュには文句を言うが、愛する娘から魔法を習うことに関して問われれば、嫌だと言いたいけれど、言えない。
断腸の思い、という言葉はきっとここで使うのか、とアルウィンが悩んでいると、ラケルがそっと助け舟を出した。
「まぁまぁ、ここで決めなくても大丈夫なんじゃないですかね?」
「ラケル殿……!」
後に、アルウィンはこの時のラケルを『神かと思った』と言っている。
魔法の習得、という口実の出会いの場を設けることを後回しにしただけだが、アルウィンにとっては可愛い娘がこれ以上シオンの隣に並んでいるのを見たくはなかった。
「ほら皆様、帰りましょう。魔獣の死骸は……燃やすか」
ラケルは己の得意な炎魔法を展開させ、立ちっぱなしで放置されていた魔獣の死骸をあっという間に燃やしていく。
炎の強さを調節し、最大火力で勢いよく燃やしていけば、さらさらと燃やし終わった後の灰が舞っていった。
「こんなにも炎の温度を上げられるのですね……」
これにもフローリアは感心し、『学ぶことが沢山ですわ!』と目を輝かせながら、皆揃って馬を待機させていた場所へと戻って行った。
この後、言うまでもなく帰ってからシオンとアルウィンが盛大な口喧嘩をしたことで、ルアネが招集されてしまい、アルウィンとシオンが揃って叱られる、という貴重な光景を見れることになるのだが、もう少しだけ後の話である。
てへ、と可愛らしく言うものの、イケメンだから何となく似合っているのがどことなく悔しかったりする。だが、普通のオッサンがこれをやったとして、恐らく気持ち悪い、という感想しかないだろう。
「……で、さっきの爪無事?」
「あぁ、そういえばあの魔獣の爪、魔水晶のような不思議な材質でしたわね。破壊した時ガラスが割れたような音がしておりましたし」
ひとしきり新人をビビらせて『口外しません』と制約魔術でしっかり口止めをして、魔物のところへと歩いていくシオン。
余程魔獣の素材が嬉しいんだろうなぁ、とフローリアはのほほんとしているのだが、あの素材にどれだけの価値があるのだろう?とくびをかしげている。
「閣下、あの爪も素材として収集対象なのですか?」
「そう、あれって結構面白い素材だと思わない?」
「……面白い、ですか……。なるほど」
シオンの言葉にふむふむ、と何か納得したように頷いているフローリアを見て、ラケルはそっとアルウィンに近寄っていく。
あの二人の相性の良さは半端ないから、これは是非ともシオンの嫁にフローリアが欲しい。シオンだって満更ではないだろうし、フローリアも嫌そうな雰囲気はない。
必要なのはアルウィンの許可だし、婿が欲しいと言われればラケルやらほかの使用人たちが総動員で、シオンの尻を思いきり叩いて促すだけだ、と考えて『そうだ、婿入りという手があるか!』とラケルは改めて思い直す。
「ねぇ団長~」
満面の笑顔が胡散臭すぎるラケルを、アルウィンはぎろりと睨んだ。そして、一言告げる。
「殺すぞ」
「物騒ですね!?」
「どうせうちの子くれとか言うんだろうが!やらんわ!」
ちなみにこれは小声の会話。
本人たちは知らないが、聞こえる位置に新人たちがいる。ニックは『あの二人確かにお似合いだよなぁ』と考えているのだが、どこからバレたのかアルウィンに睨まれて妙な悲鳴が漏れた。
娘に関しては容赦ない、というか本物の娘馬鹿であるアルウィンなのだから、そんなこと考えようもんならどこからともなく思考回路は筒抜けなのだ。
大体は、考えている人の顔に書いているからモロバレなのだが。
「でも、あの二人って色んな意味で最強夫婦になりそう、っていいますか……」
「いややらん、駄目だ」
「団長、結果的に王太后さまの思い通りになるのは癪だとは思いますが、フローリア様の幸せのために」
「その結果的に、があるから余計に嫌なんだよアホ!あと、うちの可愛い娘をそう簡単にやるとかやらないとか、今ここで判断できるか!」
ぎゃんぎゃんと騒いでいるアルウィンの様子に、さすがにフローリアも何があったのかとそちらを見る。フローリアの視線を追いかけて、シオンもそちらを向いた。
自分とシオン以外は何やら固まって会話をしているから、フローリアは少しだけそわそわしてしまう。
「何を話しているんでしょう……」
「アルウィンったら、何かやかましいわね。何言ってんのかしら」
ひょいひょいと魔獣の爪を拾い、手元に収納魔法をぱっと出現させて、亜空間に投げ込んでいく。
それを見たフローリアは、ぱっと顔を輝かせた。収納魔法自体をあまり見たことがなかったこともあり、これにはとんでもなくフローリアは興味津々だったようだ。
「公爵閣下、その魔法は?」
「え?」
「わたくし、その魔法を見たことがないんですの!」
「あれ、フローリア嬢これ使えない?収納魔法なんだけど」
「収納魔法……」
そんな魔法が……!と、顔を輝かせるフローリアに、シオンの方が思わず驚いてしまった。
まさか、こんな魔法で感激されるだなんて思っていなかったのだ。
収納魔法自体、使うことは難易度は高くない。しかし使うための術式を組み上げることが、とてつもなく難しいのだ。
「……これくらいなら、教えてあげるけど」
「まぁ……っ、閣下、よろしいのですか!?」
更に目をキラキラ輝かせながらフローリアは問いかけるが、迷うことなくシオンは首を縦に振る。こんなにも好奇心旺盛なら、それはもう可愛くて仕方ないというもの。勉強熱心な子は勿論シオンは大好きだし、それが魔法なら尚更。
おまけに、魔獣に対しても恐怖心がなく……いや、恐怖心がフローリアに全く無いわけではないのだろうが、自分から打開策を提案・発見して、思いきり突っ込んでいく戦闘スタイル。しかも部位破壊を的確に行える実力の持ち主。
「勿論、断る理由なんてな」
「却下ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「……やっかましい……」
恐るくシオンが続けたかったのは『断る理由なんてない』だし、それに対してお願いします、と言おうとしたフローリアだったが、勢いよくやってきた滑り込みお邪魔マンと化したアルウィンにより邪魔された。シオンの言葉を遠慮なく遮ったアルウィンは、己の背後にフローリアを隠すようにしてシオンの前に立ちはだかる。
「お、お父様?」
「フローリア、魔法ならお父様が教えてやろう!何なら魔術師団長に頼んでやろう、なっ!」
「魔術師団長に魔法教えたのアタシよ、おバカさん」
「くっそぉ!!」
「あの、えっと」
置いてけぼりだなぁ、と考えているフローリアだが、ひょっこりとやってきたニックから問いかけられ、はて、と首を傾げた。
「シェリアスルーツ令嬢は、魔法を習いたいのか?」
「え?えぇ、だって収納魔法は便利ですもの」
にこ、と微笑んで迷いなく頷き、フローリアの返答に『駄目だー!!』と叫んでいるアルウィンだが、ラケルやセルジュは思う。
変な輩に渡すくらいなら、もう本当にシオンが相手で良いんじゃなかろうか、と。
王太后の問題はあるにせよ、そんなことよりもミハエルが『側妃に!』とか言ってくる方が面倒ではないだろうか。今、王太后は側妃制度を都合よく思い出していないようだから、言い出す前に手を打ってしまえばいい。
むしろ、フローリアとシオンならどうにかして、王太后の問題を解決できそうな気がしなくもない、というのはアルウィン以外の意見の総意であるのだが、当のアルウィン本人もそれが一番いいのは理解している。
そう、理解しているが、親心として嫌すぎるというか何というか、嫌なものは嫌だ、という感情が大きすぎて、どうしようもないのだ。
「んじゃ習ったら良いんじゃないかな、って俺はおも、って……あの、団長、本人の意思が大切なんじゃないかな、って思うわけなんです!!」
ニックのあまりの必死さに、ほんの少しだけアルウィンの殺気が霧散した。本人の意思は確かに大切だ、と思い直してアルウィンは、うん、とようやく頷いた。
「……まぁ、確かに」
「団長、何か今にも死にそうな顔になってますけど」
「セルジュ、うるせぇ」
「お父様、公爵閣下に魔法を習ってはいけませんか?」
「うぐっ……」
セルジュには文句を言うが、愛する娘から魔法を習うことに関して問われれば、嫌だと言いたいけれど、言えない。
断腸の思い、という言葉はきっとここで使うのか、とアルウィンが悩んでいると、ラケルがそっと助け舟を出した。
「まぁまぁ、ここで決めなくても大丈夫なんじゃないですかね?」
「ラケル殿……!」
後に、アルウィンはこの時のラケルを『神かと思った』と言っている。
魔法の習得、という口実の出会いの場を設けることを後回しにしただけだが、アルウィンにとっては可愛い娘がこれ以上シオンの隣に並んでいるのを見たくはなかった。
「ほら皆様、帰りましょう。魔獣の死骸は……燃やすか」
ラケルは己の得意な炎魔法を展開させ、立ちっぱなしで放置されていた魔獣の死骸をあっという間に燃やしていく。
炎の強さを調節し、最大火力で勢いよく燃やしていけば、さらさらと燃やし終わった後の灰が舞っていった。
「こんなにも炎の温度を上げられるのですね……」
これにもフローリアは感心し、『学ぶことが沢山ですわ!』と目を輝かせながら、皆揃って馬を待機させていた場所へと戻って行った。
この後、言うまでもなく帰ってからシオンとアルウィンが盛大な口喧嘩をしたことで、ルアネが招集されてしまい、アルウィンとシオンが揃って叱られる、という貴重な光景を見れることになるのだが、もう少しだけ後の話である。
1,453
お気に入りに追加
3,145
あなたにおすすめの小説

この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが
居場所を奪われ続けた私はどこに行けばいいのでしょうか?
gacchi
恋愛
桃色の髪と赤い目を持って生まれたリゼットは、なぜか母親から嫌われている。
みっともない色だと叱られないように、五歳からは黒いカツラと目の色を隠す眼鏡をして、なるべく会わないようにして過ごしていた。
黒髪黒目は闇属性だと誤解され、そのせいで妹たちにも見下されていたが、母親に怒鳴られるよりはましだと思っていた。
十歳になった頃、三姉妹しかいない伯爵家を継ぐのは長女のリゼットだと父親から言われ、王都で勉強することになる。
家族から必要だと認められたいリゼットは領地を継ぐための仕事を覚え、伯爵令息のダミアンと婚約もしたのだが…。
奪われ続けても負けないリゼットを認めてくれる人が現れた一方で、奪うことしかしてこなかった者にはそれ相当の未来が待っていた。

婚約者の不倫相手は妹で?
岡暁舟
恋愛
公爵令嬢マリーの婚約者は第一王子のエルヴィンであった。しかし、エルヴィンが本当に愛していたのはマリーの妹であるアンナで…。一方、マリーは幼馴染のアランと親しくなり…。

【完】夫から冷遇される伯爵夫人でしたが、身分を隠して踊り子として夜働いていたら、その夫に見初められました。
112
恋愛
伯爵家同士の結婚、申し分ない筈だった。
エッジワーズ家の娘、エリシアは踊り子の娘だったが為に嫁ぎ先の夫に冷遇され、虐げられ、屋敷を追い出される。
庭の片隅、掘っ立て小屋で生活していたエリシアは、街で祝祭が開かれることを耳にする。どうせ誰からも顧みられないからと、こっそり抜け出して街へ向かう。すると街の中心部で民衆が音楽に合わせて踊っていた。その輪の中にエリシアも入り一緒になって踊っていると──

【完結】身を引いたつもりが逆効果でした
風見ゆうみ
恋愛
6年前に別れの言葉もなく、あたしの前から姿を消した彼と再会したのは、王子の婚約パレードの時だった。
一緒に遊んでいた頃には知らなかったけれど、彼は実は王子だったらしい。しかもあたしの親友と彼の弟も幼い頃に将来の約束をしていたようで・・・・・。
平民と王族ではつりあわない、そう思い、身を引こうとしたのだけど、なぜか逃してくれません!
というか、婚約者にされそうです!
廃妃の再婚
束原ミヤコ
恋愛
伯爵家の令嬢としてうまれたフィアナは、母を亡くしてからというもの
父にも第二夫人にも、そして腹違いの妹にも邪険に扱われていた。
ある日フィアナは、川で倒れている青年を助ける。
それから四年後、フィアナの元に国王から結婚の申し込みがくる。
身分差を気にしながらも断ることができず、フィアナは王妃となった。
あの時助けた青年は、国王になっていたのである。
「君を永遠に愛する」と約束をした国王カトル・エスタニアは
結婚してすぐに辺境にて部族の反乱が起こり、平定戦に向かう。
帰還したカトルは、族長の娘であり『精霊の愛し子』と呼ばれている美しい女性イルサナを連れていた。
カトルはイルサナを寵愛しはじめる。
王城にて居場所を失ったフィアナは、聖騎士ユリシアスに下賜されることになる。
ユリシアスは先の戦いで怪我を負い、顔の半分を包帯で覆っている寡黙な男だった。
引け目を感じながらフィアナはユリシアスと過ごすことになる。
ユリシアスと過ごすうち、フィアナは彼と惹かれ合っていく。
だがユリシアスは何かを隠しているようだ。
それはカトルの抱える、真実だった──。
辺境は独自路線で進みます! ~見下され搾取され続けるのは御免なので~
紫月 由良
恋愛
辺境に領地を持つマリエ・オリオール伯爵令嬢は、貴族学院の食堂で婚約者であるジョルジュ・ミラボーから婚約破棄をつきつけられた。二人の仲は険悪で修復不可能だったこともあり、マリエは快諾すると学院を早退して婚約者の家に向かい、その日のうちに婚約が破棄された。辺境=田舎者という風潮によって居心地が悪くなっていたため、これを機に学院を退学して領地に引き籠ることにした。
魔法契約によりオリオール伯爵家やフォートレル辺境伯家は国から離反できないが、関わり合いを最低限にして独自路線を歩むことに――。
※小説家になろう、カクヨムにも投稿しています

【完結】婚約破棄されたユニコーンの乙女は、神殿に向かいます。
秋月一花
恋愛
「イザベラ。君との婚約破棄を、ここに宣言する!」
「かしこまりました。わたくしは神殿へ向かいます」
「……え?」
あっさりと婚約破棄を認めたわたくしに、ディラン殿下は目を瞬かせた。
「ほ、本当に良いのか? 王妃になりたくないのか?」
「……何か誤解なさっているようですが……。ディラン殿下が王太子なのは、わたくしがユニコーンの乙女だからですわ」
そう言い残して、その場から去った。呆然とした表情を浮かべていたディラン殿下を見て、本当に気付いてなかったのかと呆れたけれど――……。おめでとうございます、ディラン殿下。あなたは明日から王太子ではありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる