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23 彼女の最大の秘密
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十月の末、最後に彼女と『桜ヶ丘珈琲』で会った時はいつも通りだった。一緒に絵を描いて、描きながら会話して、冗談を言い合って。何もおかしいところはない。
彼女は元々『桜ヶ丘珈琲』に来るのは最近は三日に一度程度だったので、最初は異変に気づかなかった。チャットのやり取りも普段は毎日必ず来るのではなく、来ない日もある。
最初におかしいと思ったのは、彼女と最後に会った日から三日目に僕が送った絵が既読にならないことだった。いつもであれば、夜には見て絵の感想が返信されるのに既読にもならない。
一日待って四日目、やはり『桜ヶ丘珈琲』に彼女は現れず、相変わらずチャットも未読。僕はだんだんと不安になってきた。もしかしたら、充電を忘れているだけとか、スマホを失くしただけかもしれない。明日になれば『桜ヶ丘珈琲』に来るかもしれない。
しかし五日目も彼女が『桜ヶ丘珈琲』には来ないので、僕はその日の夕方六時前に彼女の祖母宅を訪ねた。
門にあるインターホンを押して一分ほど待つと、彼女の祖母の声がした。
『はい』
「あ、コウです。夜分にすみません。サヤはいますか?」
『あら、コウ君。……申し訳ないのだけれど、玄関まで入ってくれるかしら』
「はい」
門の扉を開けて玄関まで進んで待つと、二分後くらいに彼女の祖母が玄関の鍵を開けた。僕は会釈しながら玄関から中に入る。
「遅い時間にすみません。サヤと連絡が取れないので、気になって訪ねました」
「あら、いいのよ。わざわざありがとう。サヤね、今はここにいないの。三日前に急に高熱が出て入院したのよ」
「入院……」
「私も今朝見に行ったんだけど、まだ熱が高くて起き上がれない様子でね。先生の話では、前とは違って入院が長くなりそうなの」
「前、ですか」
「ええ。八月の終わりだったかしら、あのときは一週間くらいの入院で済んだのだけれど」
「……それって、夏祭りの後ですか?」
「あら……もしかして知らなかった?」
「……サヤはあの時、夏バテで熱もあるけど、ふとんでゴロゴロしてたって」
「そう……。コウ君には入院のことを隠したかったのね。あの子は隠す習慣に年季が入っているから……コウ君が気づかないのも無理はないわ。私もあの子の本音は分からないの。弱音を言わない子だから」
彼女にはすっかり誤解させられた。『夏バテ』も『熱』も『ふとんでゴロゴロ』も間違いではないのだろう。ただ『入院』していたと言わなかっただけ。
ぐっと手を握った。何で言わなかったのか。
そう思ったけれど、言いたくないと思った気持ちも分かる。兄と同じで、楽しい雰囲気を壊したくないと思ったのかもしれない。そう思ったら手の力が抜けた。
「……サヤのお見舞いに行っても構いませんか?」
「え、今から?」
「確か面会時間は夜の八時までだと思うので。――あ、入院って彼女が通院していた病院ですよね?」
彼女が兄と同じ病院に通院しているのは知っている。兄が入院していた時は、面会時間を気にしながら僕は頻繁に兄のところに行っていた。
「ええ、そうよ。……そうね、コウ君が行くとサヤも喜ぶわ。――そうだ、これから行くのならサヤの携帯を持っていってくれないかしら。今朝、持ってきてと頼まれたの」
「あ、はい。もちろんです。……あ、スマホの充電器も一緒に持っていくので、持ってきていただけますか」
「ええ、分かったわ。そういうのもいるのね……」
祖母がスマホを持ってくるのを待つ。
祖母によると、彼女がチャットでも連絡できなかったのは、家で高熱で倒れて救急車で運ばれたために、スマホを家に忘れたからだったらしい。
祖母からスマホを受け取り、彼女の病室の場所を聞くと、僕はすぐに病院へ向かった。
……また、あの病棟か。
彼女の病名について、彼女は教えてくれなかったのでまだ知らない。けれど、今は予想がついていた。
彼女が入院している病院は大きく、入院病棟名や階数によって診療科が決まっているのだ。彼女が入院しているのは血液内科。兄が入院していた診療科と同じだった。
なんの偶然なのだろう。桜ヶ丘を歩いて下りながら、急に喉が詰まった感じの苦しさを感じた。兄が死ぬかもしれないと知った日に感じたのと似ていた。彼女の寿命が短いこと知っていたはずなのに、急にそれを目の前に突き付けられたような感じだ。
……落ち着け。サヤの寿命はまだ半年以上はある。
息がしにくいので一度足を止め、大きく息を吸った。僕が動揺するわけにはいかない。彼女はそれが嫌だったから病名も前回の入院のことも言わなかったのだと思う。深呼吸を何度もすると、少し気持ちも落ち着いて来る。
再び足を動かし、病院へやってきた。過去に何度も通った南病棟の十階へやってきて、ある病室の前に立った。病室番号の下に彼女の名前『森下日和』の名前を確認する。そして、小さくドアをノックして中に入った。
そこは個室だった。中に入ると、彼女はベッドで酸素吸入された状態で目を瞑って横たわっていた。点滴のような管も彼女に繋がっている。
そして、彼女は一人ではなかった。ベッドの横にスーツを来た五十歳ほどの男性が立っていた。
誰かいると思っていなかった僕は、戸惑いながら会釈する。
「……こ、こんばんは。サヤのおばあさんに入院したと聞いてお見舞いに来ました」
よく考えれば、慌てて来たのでお見舞いの品は何もない。少し気まずい。そして、知らない大人には緊張しがちで人見知りを発揮する僕は大人しくなる。
「……そうですか。それはありがとう。私はサヤの大叔父にあたります。サヤの保護者のようなものです」
「大叔父?」
大叔父といえば、祖父母の弟のことだ。
「では、おばあさんの?」
「はい。彼女は私の母です」
「……? え、母? 姉ではなくて?」
「……ああ、サヤが『おばあちゃん』と呼ぶからですね。サヤからすれば母は正確には『ひいおばあちゃん』ですよ。本当の祖母とは接点が少ないので、昔から曾祖母のことをそう呼んでいるのです」
「そ、そうなんですね……」
僕は彼女のことで色々と勘違いしていることが多いような気がした。
「ところで、君は?」
「あ、北原航輝です。サヤの友達です」
「なるほど。……北原君は、『サヤ』の名を知っているということは、事情を知っているのかな」
「……事情、ですか?」
病気や寿命のことだろうか。病気の事であれば病名を予想はしても彼女の口から聞いていないが、寿命のことなら知っている。
どう答えるべきか迷ったとき、彼女の声がした。
「おじちゃん、コウ君には言ってないよ」
彼女に目を向けると、彼女はうっすらと目を開けていた。
「起きたか」
「うん。手続きに来てくれたの?」
「ああ。この後、説明を聞いてくる」
そうやって彼女と大叔父が話しているところに、医師がやってきた。彼女の保護者という大叔父が医師と一緒に病室を出て行く。その際、大叔父は僕に「時々サヤの見舞いに来てあげてください」と言って去って行った。
彼女と二人っきりになって彼女が口を開いた。
「コウ君、来てくれてありがとう」
彼女の顔は真っ青で具合が悪そうなのは一目で分かる。
「あーあ、コウ君に入院バレちゃったかぁ」
「また秘密にするつもりだったんだ」
「……もしかして、前の入院をおばあちゃんに聞いた?」
僕は預かってきたスマホを彼女に渡す。
「あ、もしかして家に行ってくれたんだ。そういうことかぁ。しまったなぁ……倒れた時、なんでスマホ持って来なかったんだろ」
「チャットすればバレないと思った?」
「思ったよ。前回もバレなかったもん」
「……そうだね」
いつも僕は彼女との会話から推測するようにしていたのに、結局、彼女に誤魔化されて勘違いしていた。なんという間抜けさだ。
「……体調はどう? 少しは良くなった?」
「うーん……まだ熱は高いみたい。身体が重いよ」
「そう……。おばあちゃんにしばらく入院と聞いたんだけど」
「みたいだね。熱があるくらいで起き上がれないのは久々だよ」
「熱があっても頻繁にウロウロしていた人のセリフみたいに聞こえるけど」
「あはは……」
「……え、本気? そんなに頻繁にウロウロしてたの?」
「東京にいた時の話だよ~。今はわりと大人しく家にいることが多いし」
胡乱な目で彼女を見る。誤魔化しが多い彼女の言葉を疑ってしまう。そんな彼女は視線を泳がしていた。
溜め息をつく。どうせ、これ以上追及しても躱されるだけだ。
「……そういえば、サヤのおじさんが言っていた事情って? サヤは俺に言ってないって言ってたけど」
「うん、コウ君には言ってないよ」
「……病名のこと?」
「あ、病名も言ってないんだっけ。それもあるけど、それのことじゃないよ。コウ君は怖がりだから、聞かないほうがいい話」
「……幽霊関係?」
「あはは……っ、それも怖いよねー。でも怖いの種類は違うよ。時には幽霊より人の方が恐ろしいって言うでしょ?」
いつものように明るく笑う彼女だけど、やはり身体が辛いのか声に元気がない。
「幽霊関係じゃないなら、話は聞ける」
「……私の最大の秘密なの。コウ君、怖くて泣いちゃうかもよ。それでも聞きたい?」
彼女の最大の秘密。病名のことでもない。それを聞く勇気が僕にはあるのか。
彼女はスマホを確認した。
「……もうすぐ面会時間終わるよね。またお見舞いに来てくれる? もし、その時にまだコウ君が話を聞きたいなら話すよ」
「……うん。今度の土曜に来るよ。その頃なら熱も下がってるかもしれないし」
「分かった」
僕は病室を出た。数日考える時間を僕は貰ったのだ。
彼女は元々『桜ヶ丘珈琲』に来るのは最近は三日に一度程度だったので、最初は異変に気づかなかった。チャットのやり取りも普段は毎日必ず来るのではなく、来ない日もある。
最初におかしいと思ったのは、彼女と最後に会った日から三日目に僕が送った絵が既読にならないことだった。いつもであれば、夜には見て絵の感想が返信されるのに既読にもならない。
一日待って四日目、やはり『桜ヶ丘珈琲』に彼女は現れず、相変わらずチャットも未読。僕はだんだんと不安になってきた。もしかしたら、充電を忘れているだけとか、スマホを失くしただけかもしれない。明日になれば『桜ヶ丘珈琲』に来るかもしれない。
しかし五日目も彼女が『桜ヶ丘珈琲』には来ないので、僕はその日の夕方六時前に彼女の祖母宅を訪ねた。
門にあるインターホンを押して一分ほど待つと、彼女の祖母の声がした。
『はい』
「あ、コウです。夜分にすみません。サヤはいますか?」
『あら、コウ君。……申し訳ないのだけれど、玄関まで入ってくれるかしら』
「はい」
門の扉を開けて玄関まで進んで待つと、二分後くらいに彼女の祖母が玄関の鍵を開けた。僕は会釈しながら玄関から中に入る。
「遅い時間にすみません。サヤと連絡が取れないので、気になって訪ねました」
「あら、いいのよ。わざわざありがとう。サヤね、今はここにいないの。三日前に急に高熱が出て入院したのよ」
「入院……」
「私も今朝見に行ったんだけど、まだ熱が高くて起き上がれない様子でね。先生の話では、前とは違って入院が長くなりそうなの」
「前、ですか」
「ええ。八月の終わりだったかしら、あのときは一週間くらいの入院で済んだのだけれど」
「……それって、夏祭りの後ですか?」
「あら……もしかして知らなかった?」
「……サヤはあの時、夏バテで熱もあるけど、ふとんでゴロゴロしてたって」
「そう……。コウ君には入院のことを隠したかったのね。あの子は隠す習慣に年季が入っているから……コウ君が気づかないのも無理はないわ。私もあの子の本音は分からないの。弱音を言わない子だから」
彼女にはすっかり誤解させられた。『夏バテ』も『熱』も『ふとんでゴロゴロ』も間違いではないのだろう。ただ『入院』していたと言わなかっただけ。
ぐっと手を握った。何で言わなかったのか。
そう思ったけれど、言いたくないと思った気持ちも分かる。兄と同じで、楽しい雰囲気を壊したくないと思ったのかもしれない。そう思ったら手の力が抜けた。
「……サヤのお見舞いに行っても構いませんか?」
「え、今から?」
「確か面会時間は夜の八時までだと思うので。――あ、入院って彼女が通院していた病院ですよね?」
彼女が兄と同じ病院に通院しているのは知っている。兄が入院していた時は、面会時間を気にしながら僕は頻繁に兄のところに行っていた。
「ええ、そうよ。……そうね、コウ君が行くとサヤも喜ぶわ。――そうだ、これから行くのならサヤの携帯を持っていってくれないかしら。今朝、持ってきてと頼まれたの」
「あ、はい。もちろんです。……あ、スマホの充電器も一緒に持っていくので、持ってきていただけますか」
「ええ、分かったわ。そういうのもいるのね……」
祖母がスマホを持ってくるのを待つ。
祖母によると、彼女がチャットでも連絡できなかったのは、家で高熱で倒れて救急車で運ばれたために、スマホを家に忘れたからだったらしい。
祖母からスマホを受け取り、彼女の病室の場所を聞くと、僕はすぐに病院へ向かった。
……また、あの病棟か。
彼女の病名について、彼女は教えてくれなかったのでまだ知らない。けれど、今は予想がついていた。
彼女が入院している病院は大きく、入院病棟名や階数によって診療科が決まっているのだ。彼女が入院しているのは血液内科。兄が入院していた診療科と同じだった。
なんの偶然なのだろう。桜ヶ丘を歩いて下りながら、急に喉が詰まった感じの苦しさを感じた。兄が死ぬかもしれないと知った日に感じたのと似ていた。彼女の寿命が短いこと知っていたはずなのに、急にそれを目の前に突き付けられたような感じだ。
……落ち着け。サヤの寿命はまだ半年以上はある。
息がしにくいので一度足を止め、大きく息を吸った。僕が動揺するわけにはいかない。彼女はそれが嫌だったから病名も前回の入院のことも言わなかったのだと思う。深呼吸を何度もすると、少し気持ちも落ち着いて来る。
再び足を動かし、病院へやってきた。過去に何度も通った南病棟の十階へやってきて、ある病室の前に立った。病室番号の下に彼女の名前『森下日和』の名前を確認する。そして、小さくドアをノックして中に入った。
そこは個室だった。中に入ると、彼女はベッドで酸素吸入された状態で目を瞑って横たわっていた。点滴のような管も彼女に繋がっている。
そして、彼女は一人ではなかった。ベッドの横にスーツを来た五十歳ほどの男性が立っていた。
誰かいると思っていなかった僕は、戸惑いながら会釈する。
「……こ、こんばんは。サヤのおばあさんに入院したと聞いてお見舞いに来ました」
よく考えれば、慌てて来たのでお見舞いの品は何もない。少し気まずい。そして、知らない大人には緊張しがちで人見知りを発揮する僕は大人しくなる。
「……そうですか。それはありがとう。私はサヤの大叔父にあたります。サヤの保護者のようなものです」
「大叔父?」
大叔父といえば、祖父母の弟のことだ。
「では、おばあさんの?」
「はい。彼女は私の母です」
「……? え、母? 姉ではなくて?」
「……ああ、サヤが『おばあちゃん』と呼ぶからですね。サヤからすれば母は正確には『ひいおばあちゃん』ですよ。本当の祖母とは接点が少ないので、昔から曾祖母のことをそう呼んでいるのです」
「そ、そうなんですね……」
僕は彼女のことで色々と勘違いしていることが多いような気がした。
「ところで、君は?」
「あ、北原航輝です。サヤの友達です」
「なるほど。……北原君は、『サヤ』の名を知っているということは、事情を知っているのかな」
「……事情、ですか?」
病気や寿命のことだろうか。病気の事であれば病名を予想はしても彼女の口から聞いていないが、寿命のことなら知っている。
どう答えるべきか迷ったとき、彼女の声がした。
「おじちゃん、コウ君には言ってないよ」
彼女に目を向けると、彼女はうっすらと目を開けていた。
「起きたか」
「うん。手続きに来てくれたの?」
「ああ。この後、説明を聞いてくる」
そうやって彼女と大叔父が話しているところに、医師がやってきた。彼女の保護者という大叔父が医師と一緒に病室を出て行く。その際、大叔父は僕に「時々サヤの見舞いに来てあげてください」と言って去って行った。
彼女と二人っきりになって彼女が口を開いた。
「コウ君、来てくれてありがとう」
彼女の顔は真っ青で具合が悪そうなのは一目で分かる。
「あーあ、コウ君に入院バレちゃったかぁ」
「また秘密にするつもりだったんだ」
「……もしかして、前の入院をおばあちゃんに聞いた?」
僕は預かってきたスマホを彼女に渡す。
「あ、もしかして家に行ってくれたんだ。そういうことかぁ。しまったなぁ……倒れた時、なんでスマホ持って来なかったんだろ」
「チャットすればバレないと思った?」
「思ったよ。前回もバレなかったもん」
「……そうだね」
いつも僕は彼女との会話から推測するようにしていたのに、結局、彼女に誤魔化されて勘違いしていた。なんという間抜けさだ。
「……体調はどう? 少しは良くなった?」
「うーん……まだ熱は高いみたい。身体が重いよ」
「そう……。おばあちゃんにしばらく入院と聞いたんだけど」
「みたいだね。熱があるくらいで起き上がれないのは久々だよ」
「熱があっても頻繁にウロウロしていた人のセリフみたいに聞こえるけど」
「あはは……」
「……え、本気? そんなに頻繁にウロウロしてたの?」
「東京にいた時の話だよ~。今はわりと大人しく家にいることが多いし」
胡乱な目で彼女を見る。誤魔化しが多い彼女の言葉を疑ってしまう。そんな彼女は視線を泳がしていた。
溜め息をつく。どうせ、これ以上追及しても躱されるだけだ。
「……そういえば、サヤのおじさんが言っていた事情って? サヤは俺に言ってないって言ってたけど」
「うん、コウ君には言ってないよ」
「……病名のこと?」
「あ、病名も言ってないんだっけ。それもあるけど、それのことじゃないよ。コウ君は怖がりだから、聞かないほうがいい話」
「……幽霊関係?」
「あはは……っ、それも怖いよねー。でも怖いの種類は違うよ。時には幽霊より人の方が恐ろしいって言うでしょ?」
いつものように明るく笑う彼女だけど、やはり身体が辛いのか声に元気がない。
「幽霊関係じゃないなら、話は聞ける」
「……私の最大の秘密なの。コウ君、怖くて泣いちゃうかもよ。それでも聞きたい?」
彼女の最大の秘密。病名のことでもない。それを聞く勇気が僕にはあるのか。
彼女はスマホを確認した。
「……もうすぐ面会時間終わるよね。またお見舞いに来てくれる? もし、その時にまだコウ君が話を聞きたいなら話すよ」
「……うん。今度の土曜に来るよ。その頃なら熱も下がってるかもしれないし」
「分かった」
僕は病室を出た。数日考える時間を僕は貰ったのだ。
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