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最終章
103 婚約2
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写真を撮り終り、流雨が私を地面に下ろした後、流雨がそういえばと箱を取り出した。
「これ、紗彩に持っていて欲しい。できれば、身に着けて欲しいんだけれど」
箱を受け取り、何だろうと中を見ると、指輪が収まっていた。
「るー君、これ……」
「これは東京にいるときに、紗彩の四月の誕生日にプロポーズをしようと思って、買っていた指輪なんだ」
聞けば、流雨が東京で死ぬ少し前、私と化粧品店を見回っている途中で入ったジュエリーショップで、私がリングを試しに付けた時にサイズを覚えていたらしい。その後、別のお店で指輪を依頼して支払いまで済んで、あとは出来上がりを待つだけだったのだけれど、流雨は死んでしまった。それを兄が取りに行ってくれたらしい。そうとは知らず、私が帝国に戻る時に荷物と一緒に東京から持ってきて流雨に渡したのだという。
本当に流雨は東京にいたころから、私を好きでいてくれたのだと改めて思い、嬉しくて涙が出そうだった。
「帝国では、婚約時には何も贈りあったりしないでしょう。だから、これを紗彩にあげたかったんだ」
箱から指輪を取り出す。流雨はプロポーズに渡すはずだった指輪と言ったけれど、素材が全然違う。プロポーズの指輪と婚約指輪は一般的に素材が違うが、これは婚約指輪のはずだ。シンプルながらにデザインが凝っていて、ダイヤが綺麗に輝いている。指輪の内側に『いつもそばに』と英語で刻印され、私と流雨のイニシャルも刻印されていた。
「嬉しい! るー君、ありがとう!」
泣き笑いをしながら流雨に告げると、流雨が笑って私から指輪を受け取り、私の左薬指に指輪をはめてくれた。サイズがピッタリだった。
「……なんだか、本当にるー君の恋人みたい……」
「恋人でしょう!? 結婚するんだからね!?」
「えへへ! そうだった! 今ちょっと実感わいてきた」
「今なんだ……」
流雨が背中から抱きしめてくれて、その隙間から母やユリウスに指輪を見せる。
「良かったじゃない。流雨くん、センスいいわね」
「姉様にピッタリで似合っていますよ」
「ありがとう!」
嬉しい嬉しい! 指輪をいつまでも見ていられるなー、と思っていたけれど、そこでふと気づく。
「駄目だった、るー君。指輪は婚約発表までは付けられない」
「……気づいちゃったか」
「ええ!? 分かってたの!?」
「紗彩が気づかないなら、そのままでもいいかなと思って」
婚約時に何も贈りあわない帝国ではあるけれど、指輪をしているとそれなりに目立つ。恋人に貰ったのかとか、憶測が飛び交うのだ。
「駄目だよ、メイル学園の人たちって、目ざといんだから。誰誰が指輪してた! って噂の的になるもの。婚約発表までは婚約を隠しておきたいし……指輪は、婚約発表まではチェーンに通して首にネックレスとして付ける形にしてもいい?」
「……いいよ、想定内だから。でも、指輪は首から外さないで」
「うん」
でも、今日くらいは指に付けててもいいよね、と指輪を眺める。嬉しくてニマニマしてしまう。
それから、ホテルの部屋を移動せず、私たちは全員椅子に座った。流雨が母に死神業の話をしたいと言うのだ。
「紗彩の死神業の負担を減らしたいのですが、お母さんに再度、死神業をやっていただくことはできませんか?」
「あら、紗彩はいつも全然大丈夫と言うから、問題ないと思ってたのだけれど、大変なの?」
「ううん、大変じゃないよ」
「と、紗彩はこう言いますが、一日に二度魂を回収することが多く、紗彩が眠くなる頻度が高いんです。東京と帝都で学校も行っていますし、帝都では化粧品店やカレー店の事業、東京ではスーツケースの事業もしています。どう考えても、やることが多い」
そういわれると、確かに多いように聞こえてしまう。
「でも、みんな手伝ってくれてるから、私はそこまで大変じゃ……」
「この自覚のなさが一番問題なんです。いつ倒れるかと俺は心配です」
母に話をしているはずなのに、にこっと私を見る流雨の圧が怖い。そんな私たちを見て、母が笑った。
「紗彩は猪突猛進型だから、流雨くんが見てくれて助かるわ。いいわよ、魂の回収が大変なのなら、私が半分受け持ってもいいわ」
「ありがとうございます」
「でも、魂の回収だけよ。迷い魂の探索は、私は嫌。街を歩き回るなんて、足がパンパンになるもの」
「十分です」
なぜか流雨と母とで話が進んでいく。おかしいな、私が死神業をしているはずなのに。魂の回収は半分は母に受け持ってもらうことになり、今後母が帝都に帰って来る頻度が話し合われた。私そっちのけで、色々と決まってしまった。
「魂の回収を受け持ってくれて、ありがとう、お母様」
「いいのよ。こっちのワインは美味しいもの。たまには帰ってきて、流雨くんに美味しい物でもごちそうしていただくわ」
「もちろん、用意しておきます」
「紗彩、これからは、流雨くんに相談しなさい。あなたの『大丈夫』は自己犠牲で成り立っているもの。それを許さない流雨くんに、見てもらうのが安心よ」
なんだか、私ができない子みたいではないか。むっとしていると、母が笑う。
「紗彩も麻彩も、私に似ているのに、私と違って何でも自分でやりたがるんだから。『できないからお願いね』って言えば、みんなやってくれるのに」
「そう言って、お母様はお兄様によく怒られるでしょう!?」
「実海棠の怒りっぽさは、誰に似たのかしら。竜胆は怒りっぽくないのに、実海棠は小さいころからプンプンしてるんだから」
竜胆とは父の事である。そして、兄が怒るのは母にだけである。私や麻彩は、兄から母に向けるような怒りを向けられたことはない。兄が怒るのは、母のせいですよ、と言いたげな目をユリウスがしている。
そんなこんなで、今後死神業を母も手伝ってくれることになるのだった。
「これ、紗彩に持っていて欲しい。できれば、身に着けて欲しいんだけれど」
箱を受け取り、何だろうと中を見ると、指輪が収まっていた。
「るー君、これ……」
「これは東京にいるときに、紗彩の四月の誕生日にプロポーズをしようと思って、買っていた指輪なんだ」
聞けば、流雨が東京で死ぬ少し前、私と化粧品店を見回っている途中で入ったジュエリーショップで、私がリングを試しに付けた時にサイズを覚えていたらしい。その後、別のお店で指輪を依頼して支払いまで済んで、あとは出来上がりを待つだけだったのだけれど、流雨は死んでしまった。それを兄が取りに行ってくれたらしい。そうとは知らず、私が帝国に戻る時に荷物と一緒に東京から持ってきて流雨に渡したのだという。
本当に流雨は東京にいたころから、私を好きでいてくれたのだと改めて思い、嬉しくて涙が出そうだった。
「帝国では、婚約時には何も贈りあったりしないでしょう。だから、これを紗彩にあげたかったんだ」
箱から指輪を取り出す。流雨はプロポーズに渡すはずだった指輪と言ったけれど、素材が全然違う。プロポーズの指輪と婚約指輪は一般的に素材が違うが、これは婚約指輪のはずだ。シンプルながらにデザインが凝っていて、ダイヤが綺麗に輝いている。指輪の内側に『いつもそばに』と英語で刻印され、私と流雨のイニシャルも刻印されていた。
「嬉しい! るー君、ありがとう!」
泣き笑いをしながら流雨に告げると、流雨が笑って私から指輪を受け取り、私の左薬指に指輪をはめてくれた。サイズがピッタリだった。
「……なんだか、本当にるー君の恋人みたい……」
「恋人でしょう!? 結婚するんだからね!?」
「えへへ! そうだった! 今ちょっと実感わいてきた」
「今なんだ……」
流雨が背中から抱きしめてくれて、その隙間から母やユリウスに指輪を見せる。
「良かったじゃない。流雨くん、センスいいわね」
「姉様にピッタリで似合っていますよ」
「ありがとう!」
嬉しい嬉しい! 指輪をいつまでも見ていられるなー、と思っていたけれど、そこでふと気づく。
「駄目だった、るー君。指輪は婚約発表までは付けられない」
「……気づいちゃったか」
「ええ!? 分かってたの!?」
「紗彩が気づかないなら、そのままでもいいかなと思って」
婚約時に何も贈りあわない帝国ではあるけれど、指輪をしているとそれなりに目立つ。恋人に貰ったのかとか、憶測が飛び交うのだ。
「駄目だよ、メイル学園の人たちって、目ざといんだから。誰誰が指輪してた! って噂の的になるもの。婚約発表までは婚約を隠しておきたいし……指輪は、婚約発表まではチェーンに通して首にネックレスとして付ける形にしてもいい?」
「……いいよ、想定内だから。でも、指輪は首から外さないで」
「うん」
でも、今日くらいは指に付けててもいいよね、と指輪を眺める。嬉しくてニマニマしてしまう。
それから、ホテルの部屋を移動せず、私たちは全員椅子に座った。流雨が母に死神業の話をしたいと言うのだ。
「紗彩の死神業の負担を減らしたいのですが、お母さんに再度、死神業をやっていただくことはできませんか?」
「あら、紗彩はいつも全然大丈夫と言うから、問題ないと思ってたのだけれど、大変なの?」
「ううん、大変じゃないよ」
「と、紗彩はこう言いますが、一日に二度魂を回収することが多く、紗彩が眠くなる頻度が高いんです。東京と帝都で学校も行っていますし、帝都では化粧品店やカレー店の事業、東京ではスーツケースの事業もしています。どう考えても、やることが多い」
そういわれると、確かに多いように聞こえてしまう。
「でも、みんな手伝ってくれてるから、私はそこまで大変じゃ……」
「この自覚のなさが一番問題なんです。いつ倒れるかと俺は心配です」
母に話をしているはずなのに、にこっと私を見る流雨の圧が怖い。そんな私たちを見て、母が笑った。
「紗彩は猪突猛進型だから、流雨くんが見てくれて助かるわ。いいわよ、魂の回収が大変なのなら、私が半分受け持ってもいいわ」
「ありがとうございます」
「でも、魂の回収だけよ。迷い魂の探索は、私は嫌。街を歩き回るなんて、足がパンパンになるもの」
「十分です」
なぜか流雨と母とで話が進んでいく。おかしいな、私が死神業をしているはずなのに。魂の回収は半分は母に受け持ってもらうことになり、今後母が帝都に帰って来る頻度が話し合われた。私そっちのけで、色々と決まってしまった。
「魂の回収を受け持ってくれて、ありがとう、お母様」
「いいのよ。こっちのワインは美味しいもの。たまには帰ってきて、流雨くんに美味しい物でもごちそうしていただくわ」
「もちろん、用意しておきます」
「紗彩、これからは、流雨くんに相談しなさい。あなたの『大丈夫』は自己犠牲で成り立っているもの。それを許さない流雨くんに、見てもらうのが安心よ」
なんだか、私ができない子みたいではないか。むっとしていると、母が笑う。
「紗彩も麻彩も、私に似ているのに、私と違って何でも自分でやりたがるんだから。『できないからお願いね』って言えば、みんなやってくれるのに」
「そう言って、お母様はお兄様によく怒られるでしょう!?」
「実海棠の怒りっぽさは、誰に似たのかしら。竜胆は怒りっぽくないのに、実海棠は小さいころからプンプンしてるんだから」
竜胆とは父の事である。そして、兄が怒るのは母にだけである。私や麻彩は、兄から母に向けるような怒りを向けられたことはない。兄が怒るのは、母のせいですよ、と言いたげな目をユリウスがしている。
そんなこんなで、今後死神業を母も手伝ってくれることになるのだった。
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