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第1章
50 兄(仮)は妹(仮)を可愛がりたくて仕方がない2 ※後半、流雨(兄(仮))視点
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私を膝に乗せた流雨は、ご機嫌である。一方私はというと、恥ずかしさでいっぱいで、流雨の顔さえ見れない。自分のお尻の下の流雨の膝の温度が気になるし、ただ抱きしめられるのとは違うのは何故なのだろう。
「紗彩が大人しくなっちゃったなぁ」
「るー君のせいでしょ……」
文句は言うものの、嫌なわけではないから困る。ただ恥ずかしいだけで、流雨の近くにいれるのは嬉しいのだ。
兄と流雨が話をしているのを聞いていると、だんだんと流雨の膝にいるのも心が落ち着いてきた。たぶん、もう顔が赤いのも引いているだろう。
「復活したようだね」
流雨が笑って私を見ている。いつも流雨に振り回されているようで悔しいが、流雨に振り回されるのは嫌いではない。せっかく甘えていい時間なのだからと、流雨に抱き付く。
「お。やっと甘える余裕が出てきたか」
「るー君に甘えられる時間は少ないから、時間は有効活用するの」
「俺も甘えてくれると嬉しいよ」
流雨の匂いがする。落ち着く温かさに目をつむろうとしたとき、思い出した。流雨から体を放す。
「そういえば、るー君、誕生日に欲しい物決めた?」
「ああ、そういえば、そんなこと言っていたね」
「何が欲しい?」
「欲しい物ねぇ……」
じーっと私を見る流雨は、イタズラっぽい顔をした。
「何でもいいの?」
「いいよ! ちょっとくらい高くても大丈夫!」
「じゃあ……習慣が欲しいかな」
「習慣? 何の習慣?」
「頬にキスの習慣」
「………………え!?」
ニコニコと笑う流雨に、私は動揺再びである。
「この前したでしょ!?」
「この前はこの前だよ。そういう時々するものではなくて、会ったときの習慣としてキスして欲しいな」
「ま、待って!? 誕生日のプレゼントの話だよ!?」
「そうだよ。俺は紗彩から習慣になるキスがプレゼントだと嬉しい」
いやいやいや、そんなプレゼントおかしいでしょ!
「お、おかしいよね!? お兄様もそう思うでしょ!?」
「実海棠はおかしいとは思わないよ。紗彩から習慣的にキスを貰ってるんだから」
流雨は笑みを兄に向けるが、その兄は流雨から目をそらしている。
「紗彩、プレゼントは何でもいいって言ったよね。嘘だったの?」
「嘘じゃないけど! でも、キスだとは思わなくて!!」
「嘘じゃないなら、プレゼントしてくれるよね」
ん? と笑みを向ける流雨に、否を唱えることができなくて、しどろもどろになりつつも、私はついに約束してしまった。今度から流雨に会うたびに頬にキスすることになった。自分で何でもいいと言ったのだ、約束は守らなければならない。
「じゃあ、さっそく今日の分を貰おうかな」
ちらっと兄に助けを求める目を向けてみるが、兄からは「自分で言った責任は自分でとれ」という視線を頂いた。ソウデスネ。
顔が熱いので赤くなっているだろう。恥ずかしいと思いながら、流雨の頬にキスをする。すると、嬉しそうにした流雨が、今度は私の頬にキスをした。
さらに顔が熱くなる。
「ど、どうして、るー君もキスするの……」
「紗彩のキスが嬉しかったから」
もうだめだ、流雨の顔が見れないと、流雨に抱き付く。抱き付けば、流雨には顔を見られまい。心臓よ、落ち着けと、一生懸命落ち着こうとする。
そして、落ち着こうとしている内に、いつの間にか私は寝てしまうのだった。
◆ 以下、流雨視点
すうすうと寝息が聞こえる中、膝の上で流雨に抱かれたまま寝ている紗彩の頭に流雨はキスをした。
「あーあ、このまま紗彩を持って帰りたい」
「紗彩がいいって言うなら、持って帰ってもいいぞ」
「……紗彩が言わないと思うから、そう言ってるな?」
流雨は実海棠をにらむ。実海棠はしれっとした顔をしている。
「分からないだろう。流雨が紗彩を甘やかしていれば、そのうち紗彩もころっといくかも」
「ころっといってくれることに期待しているんだけれどな」
紗彩はほわんとしているのに、割と手ごわい。甘やかしても、無意識にどこかで線引きをしていて、ある一定の距離からこちらに来てはくれない。
紗彩に婚約者などという話がのぼっている以上、早めに紗彩の気持ちが流雨に向くよう動かなくてはならない。
「そろそろ、麻彩と紗彩をベッドで寝かせよう。紗彩は頼んでいいか?」
「ああ」
「まあ、抱き上げるのは、流雨の得意技だもんな?」
「実海棠……まだそれ言うか……」
からかいながら笑う実海棠に、昔からの付き合いだと色々と知られているから問題だなと思う。いまだ学生のころの話を笑い話代わりにされるのだ。
実海棠が麻彩を抱きかかえ、流雨が紗彩を抱きかかえる。麻彩の部屋に入り、ベッドに麻彩と紗彩を寝かせる。
可愛い紗彩は、穏やかに眠っていた。流雨はそんな紗彩の頬にキスをするのだった。
「紗彩が大人しくなっちゃったなぁ」
「るー君のせいでしょ……」
文句は言うものの、嫌なわけではないから困る。ただ恥ずかしいだけで、流雨の近くにいれるのは嬉しいのだ。
兄と流雨が話をしているのを聞いていると、だんだんと流雨の膝にいるのも心が落ち着いてきた。たぶん、もう顔が赤いのも引いているだろう。
「復活したようだね」
流雨が笑って私を見ている。いつも流雨に振り回されているようで悔しいが、流雨に振り回されるのは嫌いではない。せっかく甘えていい時間なのだからと、流雨に抱き付く。
「お。やっと甘える余裕が出てきたか」
「るー君に甘えられる時間は少ないから、時間は有効活用するの」
「俺も甘えてくれると嬉しいよ」
流雨の匂いがする。落ち着く温かさに目をつむろうとしたとき、思い出した。流雨から体を放す。
「そういえば、るー君、誕生日に欲しい物決めた?」
「ああ、そういえば、そんなこと言っていたね」
「何が欲しい?」
「欲しい物ねぇ……」
じーっと私を見る流雨は、イタズラっぽい顔をした。
「何でもいいの?」
「いいよ! ちょっとくらい高くても大丈夫!」
「じゃあ……習慣が欲しいかな」
「習慣? 何の習慣?」
「頬にキスの習慣」
「………………え!?」
ニコニコと笑う流雨に、私は動揺再びである。
「この前したでしょ!?」
「この前はこの前だよ。そういう時々するものではなくて、会ったときの習慣としてキスして欲しいな」
「ま、待って!? 誕生日のプレゼントの話だよ!?」
「そうだよ。俺は紗彩から習慣になるキスがプレゼントだと嬉しい」
いやいやいや、そんなプレゼントおかしいでしょ!
「お、おかしいよね!? お兄様もそう思うでしょ!?」
「実海棠はおかしいとは思わないよ。紗彩から習慣的にキスを貰ってるんだから」
流雨は笑みを兄に向けるが、その兄は流雨から目をそらしている。
「紗彩、プレゼントは何でもいいって言ったよね。嘘だったの?」
「嘘じゃないけど! でも、キスだとは思わなくて!!」
「嘘じゃないなら、プレゼントしてくれるよね」
ん? と笑みを向ける流雨に、否を唱えることができなくて、しどろもどろになりつつも、私はついに約束してしまった。今度から流雨に会うたびに頬にキスすることになった。自分で何でもいいと言ったのだ、約束は守らなければならない。
「じゃあ、さっそく今日の分を貰おうかな」
ちらっと兄に助けを求める目を向けてみるが、兄からは「自分で言った責任は自分でとれ」という視線を頂いた。ソウデスネ。
顔が熱いので赤くなっているだろう。恥ずかしいと思いながら、流雨の頬にキスをする。すると、嬉しそうにした流雨が、今度は私の頬にキスをした。
さらに顔が熱くなる。
「ど、どうして、るー君もキスするの……」
「紗彩のキスが嬉しかったから」
もうだめだ、流雨の顔が見れないと、流雨に抱き付く。抱き付けば、流雨には顔を見られまい。心臓よ、落ち着けと、一生懸命落ち着こうとする。
そして、落ち着こうとしている内に、いつの間にか私は寝てしまうのだった。
◆ 以下、流雨視点
すうすうと寝息が聞こえる中、膝の上で流雨に抱かれたまま寝ている紗彩の頭に流雨はキスをした。
「あーあ、このまま紗彩を持って帰りたい」
「紗彩がいいって言うなら、持って帰ってもいいぞ」
「……紗彩が言わないと思うから、そう言ってるな?」
流雨は実海棠をにらむ。実海棠はしれっとした顔をしている。
「分からないだろう。流雨が紗彩を甘やかしていれば、そのうち紗彩もころっといくかも」
「ころっといってくれることに期待しているんだけれどな」
紗彩はほわんとしているのに、割と手ごわい。甘やかしても、無意識にどこかで線引きをしていて、ある一定の距離からこちらに来てはくれない。
紗彩に婚約者などという話がのぼっている以上、早めに紗彩の気持ちが流雨に向くよう動かなくてはならない。
「そろそろ、麻彩と紗彩をベッドで寝かせよう。紗彩は頼んでいいか?」
「ああ」
「まあ、抱き上げるのは、流雨の得意技だもんな?」
「実海棠……まだそれ言うか……」
からかいながら笑う実海棠に、昔からの付き合いだと色々と知られているから問題だなと思う。いまだ学生のころの話を笑い話代わりにされるのだ。
実海棠が麻彩を抱きかかえ、流雨が紗彩を抱きかかえる。麻彩の部屋に入り、ベッドに麻彩と紗彩を寝かせる。
可愛い紗彩は、穏やかに眠っていた。流雨はそんな紗彩の頬にキスをするのだった。
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