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第1章
42 楽しい家族のプチパーティー
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帝都の家の四階にある研究室。
この部屋は、半分は研究に使いそうな道具で埋め尽くされているが、もう半分には畳ベンチを連なって配置させ、その上にこたつが置いてある。現在夏前なため、こたつの毛布は取っており、テーブルの脚がむき出しになっている。
現在、この畳ベンチの上のテーブルの周りには、私とユリウス、咲、ジーク、ヴィーとディーの双子が座っていた。テーブルの上には、二十四の穴の空いたタコ焼きプレートが三台乗っている。全て東京から持ってきたのである。
全ての穴には生地がすでに入れられていた。
「ヴィーとディーはタコを入れてくれる? ジークは天かすを入れてね」
「はーい!」
「咲はキャベツを入れて」
「は? キャベツ? お好み焼きじゃないんだから、普通ネギでしょ」
「ヴィーとディーがネギが食べられないの。その代用品よ。キャベツも美味しいよ?」
「えぇ? まあ、いいけどさ……」
ワイワイと一緒にたこ焼きを作っていく。ヴィーとディーとジークは材料を入れて作るのが楽しいらしく、キャッキャしている。ちなみに、ユリウスは料理は壊滅的に苦手なので、食べる専門で基本見ているだけだ。
時々、こうやって皆でたこ焼きパーティーをやるのだ。
「一味入れていい?」
「ダメ。一回目は普通のたこ焼きにするって言ったでしょう。どうしても一味を入れたいなら、食べる前に上からかけて」
辛い物が大好きな咲が、自分専用の一味を入れたそうにウズウズしている。咲がこよなく愛する食べ物、それは辛い物であった。辛子やわさびといったものではなく、一味や七味といった唐辛子系が大好きなのである。カレーも大好きで、一人だけいつも激辛にして食べいている。そういった辛い物は、いつも私が東京から咲のボーナス代わりに買ってくるのである。
たこ焼きをくるくると回し、球体にしていく。全員で近くの穴を回していく。ヴィーとディーとジークは何度目かのたこ焼き作りなので、うまく回している。咲も上手だ。ユリウスもやりたそうにしていたのでやらせたが、時間をかけて回したわりには、ぐちゃりとしたものができあがったため、「ヘタクソ!」と言って咲が笑っている。咲よ、ユリウスに睨まれているぞ。
「よし、もう焼けたっぽいね! たこ焼きをお皿に移しましょう」
みんなで手分けして皿にたこ焼きを乗せてしまうと、それぞれたこ焼きソースとマヨネーズ、青のり、かつお節をトッピングしていく。
「では、いただきましょう! ヴィーとディーは、ふうふうして食べてね」
「はーい!」
私も一口食べる。うん、美味しい。生地に出汁や山芋も入れているので、いい味が出ている。
私は一口だけ口に入れたものを食べつつも、次を焼くためにたこ焼きプレートに生地を流していく。
「今度は好きな物入れていいんだよな?」
「いいよ。咲はこのあたりに好きなものを入れて。ヴィーとディーとジークはこのあたりね。ユリウスは次は何が食べたい?」
タコ以外の材料も用意しているので、二回目以降のたこ焼きは、好きな具材を入れていいことにしている。もちろん帝都で入手できない具材は、東京から持ち込みしている。
「モチと明太子をお願いします」
「オッケー。私はチーズを入れよう。梅肉もいいな」
二度目のたこ焼きは、おのおの好きな具材を入れて出来上がった。それを皿に移し、また私は生地を入れていく。三回目はライナとラルフとマリアに作ってあげるのだ。
「やっぱりモチがいいですね」
ユリウスは意外と日本の食材が好きなのだ。美味しそうに頬張っている。
咲は、一味唐辛子を一本使い切りそうな勢いで投入していた。あんなに入れて、お腹は痛くならないのだろうか。
三回目は普通のたこ焼きを作り、マリアを呼び出して渡した。
そして四回目。今度は私たち用として、好きな具材を入れていく。一個だけ、私用に一味唐辛子を入れてみた。ソースではなく塩とマヨネーズを付けて食べてみようと思ったのだ。
「……入れすぎたかな」
一味唐辛子の量がどのくらいが適量かわからなくて、少し多めに入れてしまったが、大丈夫だろうか。咲の一味唐辛子の使用量を見ていると、何が適量なのか分からなくなるのだ。
そして四回目のたこ焼きが出来上がり、それぞれ皿に移動させる。そして、五回目の生地はたこ焼きの生地ではなく、ホットケーキの生地を投入した。デザート用である。
ホットケーキが焼きあがる前に、四回目のたこ焼きを食べる。一味唐辛子を入れたものも食べてみる。
「うん、そんなに辛くないかも。美味しい」
そう言った時だった。全身の毛穴から汗が噴き出す。
「辛っ!!」
ものすごく辛かった。後から辛さがやってきた。慌てて水を飲み干す。それでもまだ口の中が辛い気がする。
「この一味辛すぎじゃない!?」
「それ普通の一味じゃないよ。容器は普通の一味のだけど、一味の何倍も辛い種類のやつを入れ替えてるから」
咲がしれっとそう言う。
「早く言ってくれる!?」
「前に紗彩に買ってきてもらったじゃん。覚えてないの?」
「覚えてるけど、それを入れ替えてるとは思わないでしょ!? まだ辛いよ!」
涙まで出てきた。ユリウスが慌てて水を用意してくれるのを貰い、また水を飲み干す。ユリウスが私の涙をぬぐってくれる。
「姉様が泣いているところ、久しぶりに見ました。先日泣いた後だったら見ましたが」
「これって、泣いているうちに入るの? ああ、もう。咲を信じた私がバカだった」
「俺のせいにするなよ。勝手に勘違いしただけだろ? 紗彩は少ししか入れてなかったから、そんなに辛くないと思うんだけど」
「咲の舌を疑うわ……」
そう言っている時、ユリウスが私の写真をスマホで撮影した。
「え? 今何を撮ったの?」
「姉様の泣いてる姿です。可愛いので」
「可愛くないでしょ!?」
「可愛いですよ」
なんでも可愛いと言ってくれるユリウスがすばらしいです。さすが私の弟。
「昔はよく泣いてましたよね」
「そうかな?」
「そうですよ。『お兄様の言っている意味が分からないぃ!』って泣いていました」
「声真似しないでよぅ。恥ずかしいでしょ……」
確かに、昔は兄の言っていることが難しすぎて、でも理解できない自分が悔しくて、頻繁に泣いていたのは認める。昔は小さいながらも領地を持っていたので、それを売るために兄の助言を受けていたのだが、もともと難しいことを考えるのが苦手な私には、分からないことばかりだったのだ。
しかし、そんな昔のことをユリウスが覚えているとは。あの頃、かなりキャパオーバー気味だったので、ユリウスに泣きながら愚痴っていたのは確かである。恥ずかしいので、無理やり話題を変えよう。
「もう泣いた話は終わり! そろそろホットケーキが焼けるよ! トッピングは好きな物をしてね」
生クリーム、果物、チョコやハチミツも用意しているので、おのおの好きな物をトッピングしていく。私はハチミツとキュウイとバナナと生クリームをかけて食べる。
「美味しい!」
たこ焼きとホットケーキが焼けて、みんなでワイワイできるパーティーは楽しいな、そう思いながら、ホットケーキを食べ終わるのだった。
この部屋は、半分は研究に使いそうな道具で埋め尽くされているが、もう半分には畳ベンチを連なって配置させ、その上にこたつが置いてある。現在夏前なため、こたつの毛布は取っており、テーブルの脚がむき出しになっている。
現在、この畳ベンチの上のテーブルの周りには、私とユリウス、咲、ジーク、ヴィーとディーの双子が座っていた。テーブルの上には、二十四の穴の空いたタコ焼きプレートが三台乗っている。全て東京から持ってきたのである。
全ての穴には生地がすでに入れられていた。
「ヴィーとディーはタコを入れてくれる? ジークは天かすを入れてね」
「はーい!」
「咲はキャベツを入れて」
「は? キャベツ? お好み焼きじゃないんだから、普通ネギでしょ」
「ヴィーとディーがネギが食べられないの。その代用品よ。キャベツも美味しいよ?」
「えぇ? まあ、いいけどさ……」
ワイワイと一緒にたこ焼きを作っていく。ヴィーとディーとジークは材料を入れて作るのが楽しいらしく、キャッキャしている。ちなみに、ユリウスは料理は壊滅的に苦手なので、食べる専門で基本見ているだけだ。
時々、こうやって皆でたこ焼きパーティーをやるのだ。
「一味入れていい?」
「ダメ。一回目は普通のたこ焼きにするって言ったでしょう。どうしても一味を入れたいなら、食べる前に上からかけて」
辛い物が大好きな咲が、自分専用の一味を入れたそうにウズウズしている。咲がこよなく愛する食べ物、それは辛い物であった。辛子やわさびといったものではなく、一味や七味といった唐辛子系が大好きなのである。カレーも大好きで、一人だけいつも激辛にして食べいている。そういった辛い物は、いつも私が東京から咲のボーナス代わりに買ってくるのである。
たこ焼きをくるくると回し、球体にしていく。全員で近くの穴を回していく。ヴィーとディーとジークは何度目かのたこ焼き作りなので、うまく回している。咲も上手だ。ユリウスもやりたそうにしていたのでやらせたが、時間をかけて回したわりには、ぐちゃりとしたものができあがったため、「ヘタクソ!」と言って咲が笑っている。咲よ、ユリウスに睨まれているぞ。
「よし、もう焼けたっぽいね! たこ焼きをお皿に移しましょう」
みんなで手分けして皿にたこ焼きを乗せてしまうと、それぞれたこ焼きソースとマヨネーズ、青のり、かつお節をトッピングしていく。
「では、いただきましょう! ヴィーとディーは、ふうふうして食べてね」
「はーい!」
私も一口食べる。うん、美味しい。生地に出汁や山芋も入れているので、いい味が出ている。
私は一口だけ口に入れたものを食べつつも、次を焼くためにたこ焼きプレートに生地を流していく。
「今度は好きな物入れていいんだよな?」
「いいよ。咲はこのあたりに好きなものを入れて。ヴィーとディーとジークはこのあたりね。ユリウスは次は何が食べたい?」
タコ以外の材料も用意しているので、二回目以降のたこ焼きは、好きな具材を入れていいことにしている。もちろん帝都で入手できない具材は、東京から持ち込みしている。
「モチと明太子をお願いします」
「オッケー。私はチーズを入れよう。梅肉もいいな」
二度目のたこ焼きは、おのおの好きな具材を入れて出来上がった。それを皿に移し、また私は生地を入れていく。三回目はライナとラルフとマリアに作ってあげるのだ。
「やっぱりモチがいいですね」
ユリウスは意外と日本の食材が好きなのだ。美味しそうに頬張っている。
咲は、一味唐辛子を一本使い切りそうな勢いで投入していた。あんなに入れて、お腹は痛くならないのだろうか。
三回目は普通のたこ焼きを作り、マリアを呼び出して渡した。
そして四回目。今度は私たち用として、好きな具材を入れていく。一個だけ、私用に一味唐辛子を入れてみた。ソースではなく塩とマヨネーズを付けて食べてみようと思ったのだ。
「……入れすぎたかな」
一味唐辛子の量がどのくらいが適量かわからなくて、少し多めに入れてしまったが、大丈夫だろうか。咲の一味唐辛子の使用量を見ていると、何が適量なのか分からなくなるのだ。
そして四回目のたこ焼きが出来上がり、それぞれ皿に移動させる。そして、五回目の生地はたこ焼きの生地ではなく、ホットケーキの生地を投入した。デザート用である。
ホットケーキが焼きあがる前に、四回目のたこ焼きを食べる。一味唐辛子を入れたものも食べてみる。
「うん、そんなに辛くないかも。美味しい」
そう言った時だった。全身の毛穴から汗が噴き出す。
「辛っ!!」
ものすごく辛かった。後から辛さがやってきた。慌てて水を飲み干す。それでもまだ口の中が辛い気がする。
「この一味辛すぎじゃない!?」
「それ普通の一味じゃないよ。容器は普通の一味のだけど、一味の何倍も辛い種類のやつを入れ替えてるから」
咲がしれっとそう言う。
「早く言ってくれる!?」
「前に紗彩に買ってきてもらったじゃん。覚えてないの?」
「覚えてるけど、それを入れ替えてるとは思わないでしょ!? まだ辛いよ!」
涙まで出てきた。ユリウスが慌てて水を用意してくれるのを貰い、また水を飲み干す。ユリウスが私の涙をぬぐってくれる。
「姉様が泣いているところ、久しぶりに見ました。先日泣いた後だったら見ましたが」
「これって、泣いているうちに入るの? ああ、もう。咲を信じた私がバカだった」
「俺のせいにするなよ。勝手に勘違いしただけだろ? 紗彩は少ししか入れてなかったから、そんなに辛くないと思うんだけど」
「咲の舌を疑うわ……」
そう言っている時、ユリウスが私の写真をスマホで撮影した。
「え? 今何を撮ったの?」
「姉様の泣いてる姿です。可愛いので」
「可愛くないでしょ!?」
「可愛いですよ」
なんでも可愛いと言ってくれるユリウスがすばらしいです。さすが私の弟。
「昔はよく泣いてましたよね」
「そうかな?」
「そうですよ。『お兄様の言っている意味が分からないぃ!』って泣いていました」
「声真似しないでよぅ。恥ずかしいでしょ……」
確かに、昔は兄の言っていることが難しすぎて、でも理解できない自分が悔しくて、頻繁に泣いていたのは認める。昔は小さいながらも領地を持っていたので、それを売るために兄の助言を受けていたのだが、もともと難しいことを考えるのが苦手な私には、分からないことばかりだったのだ。
しかし、そんな昔のことをユリウスが覚えているとは。あの頃、かなりキャパオーバー気味だったので、ユリウスに泣きながら愚痴っていたのは確かである。恥ずかしいので、無理やり話題を変えよう。
「もう泣いた話は終わり! そろそろホットケーキが焼けるよ! トッピングは好きな物をしてね」
生クリーム、果物、チョコやハチミツも用意しているので、おのおの好きな物をトッピングしていく。私はハチミツとキュウイとバナナと生クリームをかけて食べる。
「美味しい!」
たこ焼きとホットケーキが焼けて、みんなでワイワイできるパーティーは楽しいな、そう思いながら、ホットケーキを食べ終わるのだった。
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