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第1章
34 東京 → 異世界
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夜、流雨と夕食をして、家の地下駐車場まで帰ってきた。流雨の車から出て、流雨に顔を向ける。
「今日はありがとう! 楽しかった!」
「……途中、嫌な思いさせて、ごめんね」
流雨と大学が一緒だったという女性二人組のことを言っているのだろう。
「るー君は何も悪くないでしょう。謝らないで。それに、そんなの帳消しになるくらい楽しかったから、気にしてないわ」
「それならいいんだけど」
「そうだ、るー君もうすぐお誕生日でしょう! 何か欲しいものない? プレゼントするよ!」
「欲しいものか。うーん、特にないけど」
「何でもいいよ? 私も少し稼いでるから、るー君の誕生日くらいパーッと奮発するよ! 私が次に帰って来るまでに、考えておいて!」
「分かった」
頷く流雨に抱き付き、その日、流雨とさよならするのだった。
それから三十階の家に帰宅すると、麻彩が「やっと帰ってきた!」と待ちわびていた。麻彩にお土産を渡す。そしてすぐに二人で風呂に入り、その日は寝るのだった。
日曜日。
この日は朝から『歌ってみた』の撮影をするため、私は朝から麻彩に化粧を施していた。麻彩がパンクのようなイメージにしたいと言っていたので、ネットにある動画や画像から化粧を勉強し、それを真似て麻彩に化粧をする。
「よし、できた。こんな感じでどうかな? すっごく可愛いよ」
全体的にダーク系の色で化粧をして、アイラインもオーバーに大胆に書き加え、グレー系のカラコンまで入れて仕上げた。リップも黒っぽい赤を選んでいる。髪の毛は、小悪魔の角のようなものを頭の左右に髪の毛で作った。
衣装も着替えており、麻彩は鏡の前でくるくると回って確認している。そして麻彩は満面の笑みになる。
「うん! イメージ通り! さーちゃん、ありがとう!」
「ふふ、よかった」
それから、私と麻彩は撮影部屋に移動した。撮影部屋とは、麻彩の趣味部屋で、あまり広くはないが『歌ってみた』を撮影する用に作っている防音仕様のスタジオのようなものだ。すでに撮影用の機器は準備済みである。
私は準備されているカメラの前に立ち、麻彩が今回歌う予定の曲を何度か練習しつつ、仮で録画撮影する。その間、可愛い麻彩をスマホのカメラで撮影するのも忘れない。
そして、『歌ってみた』本番の撮影もする。麻彩は本当に歌うのが上手だ。私も自慢である。何度聞いてもほれぼれする歌声で、スマホでも動画を撮っているので、帝国にいるユリウスにも見せてあげたい。
そして撮影も終わり、あとは動画の編集をするだけだ。編集はいつもどおり私の会社のシステム担当の松山に麻彩が依頼するだろう。
日曜日も夕方になり、麻彩と別れ、私は帝都に戻るのだった。
そして帝国へ帰り、帰宅した部屋である倉庫で台車を停止させていると、使用人のライナが部屋に入ってきた。
「おかえりなさいませ」
「ただいま」
「帰宅早々お嬢様には申し訳ありませんが、実はあの方がカレー店にいらっしゃっています」
「……ええ? じゃあ、今ユリウスが相手しているの?」
「はい」
「もう……今日はゆっくりしようと思ってたのになぁ」
カレー店とは、我がウィザー家の副業の一つ、飲食店のことである。カレーというものは帝国にはなく、もちろん東京からカレーは持ってきている。東京から持ってきているのはカレー粉だけで、カレーに入れる肉や野菜なんかは帝国産のものを使っているが。
「仕方ないわ。準備をしましょう。マリアを呼んでくれる?」
「かしこまりました」
自室に移動し、マリアに準備を手伝ってもらう。準備とは、いわゆるモップ令嬢の恰好である。
「あー、お腹空いた。本格的には向こうで食べるけれど、ちょっと何かお腹に入れたい」
「すぐにライナが用意致します」
マリアの言う通り、ライナがパンと切った果物を持ってきてくれる。恰好の準備をしてもらいながらそれを食べ、同時にライナに今回東京から持ち帰ったもののリストを見ながら指示をする。
「これとこれ、あとこれも持っていくから、準備をお願いね」
「かしこまりました」
私の準備ができたので、ライナと共にカレー店に歩いて向かう。
我がウィザー家の飲食店は、上流階級向け高級カレー店、中流階級向けカレー店の二店舗である。カレー店を始めた当初は、カレーを食べたことのない帝国人に敬遠されていた。なんだ、この茶色い物体は、と見目から遠慮されていたが、じわりじわりとファンが増え、現在のカレー店は大繁盛である。みんな大好きカレー。あんな美味しいもの、人気が出ないはずないのである。
ただ、帝国人は辛い物を食べる文化がないため、辛さは控えめである。
上流階級向け高級カレー店は、ご飯にかけるタイプのカレーではなく、カレーをスープのように上品に食べる店にしている。主食もご飯ではなくパンだ。カレー以外にもコースで食べられる肉や魚も料理として出している。カレーの種類は複数用意していて、好きなものを選ぶことができる。
中流階級向けのカレー店は、ご飯にかけるタイプのカレーを出している。カレーの種類は多くはないが、トッピングを複数用意していて、中流家庭に人気の店である。
私が向かっているのは高級カレー店の方であった。高級カレー店は、ウィザー家のアパルトマンから近い上流階級が利用する店が並ぶ道路に面しているのだ。そこには個室もいくつか用意しており、密談もできる。だから個室指定で利用する客も多い。
カレー店に入ると、私は三階の個室に向かった。三階は特に利用できる客を限定しているのだ。
部屋の前に立つと、ライナが部屋をノックした。
「お嬢さまがお越しになりました」
部屋の中から「入れ」と返事があり、私は中に入る。中にはユリウスともう一人、青年が椅子に座っていた。私は青年に向かってカーテシーで挨拶をした。
「ヴェルナー殿下、ようこそおいでくださいました」
「サーヤ嬢、堅苦しい挨拶はいいよ」
「あ、そうですか? では遠慮なく、座らせてもらいますね」
「……君、変わり身早すぎない?」
「いつものことでしょう」
カレー店に客としてやってきたのは、帝国の第三皇子ヴェルナー・ウォン・リフヴェルゲンだったのである。
「今日はありがとう! 楽しかった!」
「……途中、嫌な思いさせて、ごめんね」
流雨と大学が一緒だったという女性二人組のことを言っているのだろう。
「るー君は何も悪くないでしょう。謝らないで。それに、そんなの帳消しになるくらい楽しかったから、気にしてないわ」
「それならいいんだけど」
「そうだ、るー君もうすぐお誕生日でしょう! 何か欲しいものない? プレゼントするよ!」
「欲しいものか。うーん、特にないけど」
「何でもいいよ? 私も少し稼いでるから、るー君の誕生日くらいパーッと奮発するよ! 私が次に帰って来るまでに、考えておいて!」
「分かった」
頷く流雨に抱き付き、その日、流雨とさよならするのだった。
それから三十階の家に帰宅すると、麻彩が「やっと帰ってきた!」と待ちわびていた。麻彩にお土産を渡す。そしてすぐに二人で風呂に入り、その日は寝るのだった。
日曜日。
この日は朝から『歌ってみた』の撮影をするため、私は朝から麻彩に化粧を施していた。麻彩がパンクのようなイメージにしたいと言っていたので、ネットにある動画や画像から化粧を勉強し、それを真似て麻彩に化粧をする。
「よし、できた。こんな感じでどうかな? すっごく可愛いよ」
全体的にダーク系の色で化粧をして、アイラインもオーバーに大胆に書き加え、グレー系のカラコンまで入れて仕上げた。リップも黒っぽい赤を選んでいる。髪の毛は、小悪魔の角のようなものを頭の左右に髪の毛で作った。
衣装も着替えており、麻彩は鏡の前でくるくると回って確認している。そして麻彩は満面の笑みになる。
「うん! イメージ通り! さーちゃん、ありがとう!」
「ふふ、よかった」
それから、私と麻彩は撮影部屋に移動した。撮影部屋とは、麻彩の趣味部屋で、あまり広くはないが『歌ってみた』を撮影する用に作っている防音仕様のスタジオのようなものだ。すでに撮影用の機器は準備済みである。
私は準備されているカメラの前に立ち、麻彩が今回歌う予定の曲を何度か練習しつつ、仮で録画撮影する。その間、可愛い麻彩をスマホのカメラで撮影するのも忘れない。
そして、『歌ってみた』本番の撮影もする。麻彩は本当に歌うのが上手だ。私も自慢である。何度聞いてもほれぼれする歌声で、スマホでも動画を撮っているので、帝国にいるユリウスにも見せてあげたい。
そして撮影も終わり、あとは動画の編集をするだけだ。編集はいつもどおり私の会社のシステム担当の松山に麻彩が依頼するだろう。
日曜日も夕方になり、麻彩と別れ、私は帝都に戻るのだった。
そして帝国へ帰り、帰宅した部屋である倉庫で台車を停止させていると、使用人のライナが部屋に入ってきた。
「おかえりなさいませ」
「ただいま」
「帰宅早々お嬢様には申し訳ありませんが、実はあの方がカレー店にいらっしゃっています」
「……ええ? じゃあ、今ユリウスが相手しているの?」
「はい」
「もう……今日はゆっくりしようと思ってたのになぁ」
カレー店とは、我がウィザー家の副業の一つ、飲食店のことである。カレーというものは帝国にはなく、もちろん東京からカレーは持ってきている。東京から持ってきているのはカレー粉だけで、カレーに入れる肉や野菜なんかは帝国産のものを使っているが。
「仕方ないわ。準備をしましょう。マリアを呼んでくれる?」
「かしこまりました」
自室に移動し、マリアに準備を手伝ってもらう。準備とは、いわゆるモップ令嬢の恰好である。
「あー、お腹空いた。本格的には向こうで食べるけれど、ちょっと何かお腹に入れたい」
「すぐにライナが用意致します」
マリアの言う通り、ライナがパンと切った果物を持ってきてくれる。恰好の準備をしてもらいながらそれを食べ、同時にライナに今回東京から持ち帰ったもののリストを見ながら指示をする。
「これとこれ、あとこれも持っていくから、準備をお願いね」
「かしこまりました」
私の準備ができたので、ライナと共にカレー店に歩いて向かう。
我がウィザー家の飲食店は、上流階級向け高級カレー店、中流階級向けカレー店の二店舗である。カレー店を始めた当初は、カレーを食べたことのない帝国人に敬遠されていた。なんだ、この茶色い物体は、と見目から遠慮されていたが、じわりじわりとファンが増え、現在のカレー店は大繁盛である。みんな大好きカレー。あんな美味しいもの、人気が出ないはずないのである。
ただ、帝国人は辛い物を食べる文化がないため、辛さは控えめである。
上流階級向け高級カレー店は、ご飯にかけるタイプのカレーではなく、カレーをスープのように上品に食べる店にしている。主食もご飯ではなくパンだ。カレー以外にもコースで食べられる肉や魚も料理として出している。カレーの種類は複数用意していて、好きなものを選ぶことができる。
中流階級向けのカレー店は、ご飯にかけるタイプのカレーを出している。カレーの種類は多くはないが、トッピングを複数用意していて、中流家庭に人気の店である。
私が向かっているのは高級カレー店の方であった。高級カレー店は、ウィザー家のアパルトマンから近い上流階級が利用する店が並ぶ道路に面しているのだ。そこには個室もいくつか用意しており、密談もできる。だから個室指定で利用する客も多い。
カレー店に入ると、私は三階の個室に向かった。三階は特に利用できる客を限定しているのだ。
部屋の前に立つと、ライナが部屋をノックした。
「お嬢さまがお越しになりました」
部屋の中から「入れ」と返事があり、私は中に入る。中にはユリウスともう一人、青年が椅子に座っていた。私は青年に向かってカーテシーで挨拶をした。
「ヴェルナー殿下、ようこそおいでくださいました」
「サーヤ嬢、堅苦しい挨拶はいいよ」
「あ、そうですか? では遠慮なく、座らせてもらいますね」
「……君、変わり身早すぎない?」
「いつものことでしょう」
カレー店に客としてやってきたのは、帝国の第三皇子ヴェルナー・ウォン・リフヴェルゲンだったのである。
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