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46 兄

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 数日後、アカリエル公爵家の本邸に、兄のバリー伯爵がやってきた。私が手紙で招待したからである。手紙には、単純にアカリエル邸に招待することしか書いていないのだが、兄の顔を見ると、間違いなくお金を貸してもらえると思っているのだろう。兄は機嫌がよかった。きっと、お金を使って、どんなギャンブルをしよう、とそんなことを想像しているに違いない。

 応接室にて兄に応対するのは、今日は私だけでなく、忙しいのにルークも一緒にいてくれて、そして、この場にはライラもいた。

「今日は、お兄様に提案があります」
「提案?」
「ええ。ただ、その前に、まずはライラを紹介しますね。ライラは子爵家の四女で、アカリエル公爵家や政務館の文官として働く才女なのですよ」

 ライラが兄に微笑んだ。いつものライラであれば、薄化粧でドレスもシンプルで、仕事の出来る美人秘書のようだが、今日は私のドレスを着て、柔らかめに化粧をして、清楚な深窓の美人令嬢という雰囲気だった。

 ただ、兄は女好きの女狂いタイプではないからか、一応外面の良さの笑顔を貼り付け、ライラに会釈だけしている。

「お兄様は結婚をしていないでしょう。だから、お兄様にも素敵な奥様を紹介したいと思っていたところに、ライラと出会いました。ライラはとても優しくて、気が利きますし、すごく素敵な方なのです。だから、お兄様には、ライラと結婚していただけると嬉しいと思って、ライラにお兄様との結婚を勧めましたの」
「何を勝手に――」
「お兄様、バリー領の収益は、あまりよろしくないでしょう? でも、ライラにそのことを相談したら、領の発展にいろんなことができそうだと、ライラにはすでに案がたくさんあって感動しました。ライラに任せれば、バリー領が今以上に発展しましてよ」
「……」

 兄が頭の中で計算を始めた顔をしている。
 兄は働くのが嫌いである。領主はずでんと座ってるだけが仕事だと思っている甘ちゃんである。今でも領主の仕事は執事任せだろう。ただ、何もしなければ収益も少ないというのは分かっていて、ライラを使えば、自分の小遣いが増える、そう計算しているに違いない。

 さて、もっと好条件を乗せましょう。

「それにね、お兄様、ライラの実家の子爵家は、アカリエル公爵家の家門なの。バリー伯爵家は、わたくしが結婚したことでアカリエル公爵家の縁戚にはなりましたけれど、ライラとお兄様が結婚するなら、ただの縁戚ではなく、バリー伯爵家もアカリエル公爵家の家門にしてくださるとルークが。そしたら、ルークが家門になる記念に、少しまとまったお金をバリー領に貸して下さると約束してくださったの」

 私たちの後ろに控えていた執事イーライに視線を送ると、イーライが頷いて、兄の前に三十枚ほどの紙の束を置いた。

「それはお兄様とライラの結婚に関する契約書ですわ。上の方には結婚により借用できる金額も載っています」

 ばっと契約書を取った兄は、借用してもらえる金額を見て、目を大きく広げ、にやけだした。顔が緩み過ぎている。せっかくの顔だけイケメンなのに、良いところがなくなってしまう。

「もちろん、お兄様に強要するわけではありませんわ。ライラと少しお話してみて、契約書をよく読んで、考えてみて下さい。一時間ほど、わたくしはルークと席を外しますから」
「一時間? 一時間で考えろと?」
「お兄様、契約書をよく御覧になって。この契約が成立できるのは、今日のみなのですよ。だって、ライラは優秀ですし、とても綺麗でしょう。貴族の子息に引く手あまたですわ。なのに、わたくしがライラに無理を言って、先にお兄様と会ってもらうようにお願いしたのですから」
「……ちょっと待て、結婚式が今日となっているが!?」

 あらあら、契約書を読めたんですね、お兄様。

「それはアカリエル公爵家からの贈り物ですわ。バリー家は資金がないので、結婚式は難しそうでしょう? 今日と明日は、二人で好きに過ごしていただきたくて、離れにある別邸も用意していますわ。美味しい食事も期待してくださいね、お兄様」

 さすがに唖然としている兄に言うだけ言って、ライラを残してルークと二人で応接室を出た。

 さあ、兄はどう結論づけるだろうか。
 別室でルークと待っていると、ルークが口を開いた。

「アリス、俺たちも結婚式をしようか」
「え? 今更ですか?」
「女性はやはり、式をしたいものだろう?」
「……一般的にはそうかもしれませんが、わたくしはそこまで憧れはないといいますか」

 今更、面倒だ、ということもある。すでに結婚して時間が経っているし、以前着るドレスに制限をかけていた頃と違い、今は好きなドレスも着られている。それが十分嬉しいし、満足している。今更ウェディングドレスを着たい、という願望はない。

「……結婚に憧れがないと」
「そういう意味ではないですわ。すでにわたくしたちは結婚していますし、結婚式のために準備などで忙しくなるのでしたら、わたくしはルークとのんびり二人の時間を過ごせるほうが何倍も嬉しい、ということです」
「……アリス、好きだ。愛している」

 ルークからキスが降って来る。うちのルークは、犬系かもしれない。少し感激屋さんでもある。さすがに二人っきりの時のルークのじゃれ合いには慣れだした。じゃれ合って甘い時間を過ごしていると、あっという間に時間は過ぎる。

 イーライから一時間経ちました、と連絡が来た時には、まだ十分くらいしか経ってないのでは、と思ったくらい、あっという間だった。

 応接室にルークと共に戻ると、予想とは違った光景を見て、少し驚いた。
 ライラは一人で座っていたはずなのにソファーに座る兄の隣に座り、なぜか二人は手を繋いでいる。兄がライラを見つめ、心なしか、兄がライラに恋でもしていそうな。いや、まさかね?

 兄は顔がいいものだから、寄って来る女性は多いものの、お金をくれそうな女性にしかいい顔はしない。いくら相手が美人だろうが、兄の目には顔面が金貨にしか見えていないと思っていた。だから、もし兄がこの結婚を承諾するなら、間違いなく借金できる金額に対して同意する意味合いかと思っていたのに。

 たった一時間で、兄とライラに何があったのだろう。ただ、ライラから勝利の視線が飛んできた。よし、後日に何があったのか、教えてもらおう。

「お兄様、この結婚、どうなさいますか?」
「もちろん、結婚に同意する!」

 そうですか。結婚おめでとう、お兄様。そして、ありがとう、ライラ。

 契約書に兄はサインし、これで兄とライラは結婚となった。そして、アカリエル家本邸に併設されているホールにて、結婚式が行われた。結婚式を見守るのは、私とルーク、そして急遽、朝から来てくれた、ライラの父と母が参列している。

 式が終わると、兄とライラは離れの別邸で二人の時間を過ごす。

 この計画は、私がルークにアドバイスを貰いつつ、考えた。最初の計画は、今回とほぼ一緒だけれど、ライラは兄と結婚するわけではなく、バリー家の養女、つまり兄の妹として入ってもらうつもりだった。

 義妹になれば、ライラは昔からしたかった領地管理ができるし、いずれは兄に代わり、ライラに領主になってもらうつもりだった。契約時にバリー家に渡る借金は、バリー領を立て直す時に必要な資金。兄は自分のお小遣いのつもりでいるだろうが、そんなわけない。ライラが領地経営でうまく利益を出して、ライラが少しずつ借金を返済してくれることになっている。

 そして、兄がこれまでに借金をしてきた額は、当然兄に稼いでもらうつもりだ。タニア王国との国境には、西部騎士団が管理する塔がいくつかある。その塔うちの一つに、兄は騎士に入団して配属されることになっている。そこの塔は半年に一回、人員を交代するそうだが、兄は最低十年は配属されたまま。つまり、十年はそこから出ることができない。

 兄はきっと逃げ出そうとするだろうけれど、国境付近はとにかく物騒で、騎士といえど、一人では外出不可、最低三人で移動することが決められているくらい治安が悪い。今まで剣さえ扱ったことのない貧弱な兄は、絶対に一人で外には出られないだろう。

 ちなみに、兄の騎士としての給料は、今までの借金を毎度天引きするので、兄の手元には入らない。まあ、あの一帯はお金を使う店もないけれど。あそこの塔は僻地でもあることから、四ヶ月に一度ほど家族が面会できる日が用意されてはいるらしいが、面会のために物騒な地に行く家族は少ない。面会制度を使う家族はほとんどいないのだとか。私も行くつもりはない。私が行けば、兄のことだ、私を頼ろうとするだろうから。

 ところが、この計画をライラに提案すると、義妹ではなく、妻でなら、と返事をくれた。あんな兄が夫など嫌だろうに、そんな自ら辛い選択をせずとも、と言ったのだが、ライラはあっけらかんとこう言った。

「せっかく領地経営できて、いずれは領主になれるかも、なんて言っても、いずれ夫を迎えた時に、やってきた夫がオキシパル伯爵のような夫だったら、絶望です。それなら、だいぶ残念な夫でも、そちらのほうがマシです。オキシパル伯爵のような話も聞かない男性だと難しかったですけれど、私は本来会話を有利に誘導したりするの、得意なんです。奥様から聞いた性格のお兄様であれば、うまく扱ってみせます」
「た、頼もしいわ!」
「任せてください。奥様にはよい蹴りで助けていただきましたし、領地経営もさせていただけますし、その恩返しと思ってくだされば。それに、夫は不要だとは思っていますが、子供は欲しいんです。立派な跡継ぎに育ててみせます」

 ライラは逞しい。本当にあの兄にはもったいない。

 兄とライラが一日半、二人の時間を過ごした、その次の日。

 兄とライラが別邸から出てきた。なんだか兄からライラに熱い視線が飛んでいるけれど、本当にどうなっているのだろう。兄は愛に生きるタイプではないのに。

 後日、ライラに何をしたのか聞いたところ、先日の執務館のパーティーに参加していたライラは、貴婦人方に、夫をデレデレにさせる方法を聞いて回ったのだとか。今度、その技、私も教えてもらおう。

 そして、私は本邸の前にルークと一緒にやってきた。馬車が二台用意されている。一台はバリー家へ向かうアカリエル家の馬車。もう一台は騎士団の城へ向かう馬車。

「ではライラ、バリー家を宜しくお願いしますね」
「お任せください、奥様」

 ライラが乗り込もうとする馬車に、兄もついて行こうとしたので、兄を止めた。

「お兄様は、そちらの馬車ではありませんよ」
「……?」
「お兄様には、騎士として、立派に働いてもらいませんと」
「……何?」
「結婚時の契約書、読みましたでしょう? お兄様は騎士として働いて、ライラとバリー領のために、頑張ってくださいね」
「は?」

 契約書はきちんと最後まで読みましょうね、お兄様。

 兄は、引きずられるように、騎士たちに連れられ、騎士団行きの馬車に乗せられた。「ライラ! 助けてくれ!」と悲劇のヒロインのごとく叫んでいるけれど、ライラは笑みを浮かべ、兄に手を振っている。動き出した騎士団行きの馬車の窓には、兄がへばり付いてライラを呼んでいるけれど、見苦しいので止めなさい。ライラに嫌われたら、どうする。

「ふふふ、可愛いですね」
「……? 今、幻聴が」
「奥様のお兄様は、なかなかちょろくて可愛いですよ。男性は扱いやすさが一番です。私は気に入りました」
「……そう? そんなことを言ってくれるのはライラだけね。あんな兄ですけれど、宜しくお願いします」
「はい」

 この後、兄は計画通り、塔で騎士として働いている。そして、働くムチとは別に、アメ代わりにライラは四ヶ月に一度の家族の面会日に、足を運んでくれている。本当にライラは兄にもったいない出来た妻だと思う。最初の面会で、ライラのお腹に子供がいると知った兄は、まだ残っていた怠け心を消して、妻と子供のために頑張って働くとライラに言ったのだとか。

 お兄様に少しは成長が見えて、妹としては嬉しい限りです。

 兄に一発くらい蹴りを入れたい気持ちは今でもあるけれど、ライラへの感謝と、これからの兄に期待して、妹としてその気持ちは押さえておく。でも、これからも兄には目を光らせておくつもりだ。兄がまたやらかしたら、今度こそ蹴りで仕置きするから、ぜひとも兄には、これからは真っ当に生きて欲しいものだ。
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