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44 夫の兄
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政務館の最上階のルークの執務室へは、ロニーが場所を知っていたので、ロニーに案内してもらった。侍女のリアは、現在別室で待機中だったので、こちらに来るよう、使用人に伝言を頼んだ。
ルークは馬車ではなく馬で戻ると言っていたから、そろそろ騎士団の城には到着しただろうか。馬車ではないので、馬なら飛ばせば、早めに着くだろう。
ルークの執務室からは煙の方向が見えなくて、そわそわと窓辺をウロウロとする。窓から見える目の前に、同じ執務館の建物に付いている塔がある。ここからは十メートルほどしか離れていない。あちらに行けば、もしかしたら国境の様子が見えるかも、と塔へ行こうかと迷っている時だった。
執務室の扉が開き、人が五名入ってきた。
「これはこれは、愚弟の夫人ではないか」
「……イェロン伯爵?」
なぜここにイェロン伯爵が入ってくるのか。ロニーが私の傍で警戒している。
「ここは、ルークの執務室です。ルークは今不在ですけれど、ルークに何か御用でしょうか?」
「夫人に用があってね。あれが病弱な妻を娶ったと聞いたときは、放っておいてもどうせ後継などできぬと思っていたが、元気になられてはな。こちらにも都合というものがある」
「……どういう意味でしょう」
「まさか、もう身ごもってはいまいな? それなら、夫人の腹も割く必要が出てくる」
「身ごもっていません!」
傷つけられるかも、という恐怖と、まだルークと初夜も迎えていないからということで、真実を叫ぶ。ルークがいる時は、後継がどうの、と心配を装おう言葉を言っていたのに、本当は後継などいたら困ると思っていたのか。
「……なるほど、それだけあの愚弟が大事にしているということか? ならば、ぜひ愚弟を招待するためにも、夫人には私と来てもらわなければならないな」
「遠慮しますわ!」
「夫人の意見は聞いていない。どうせ、これから無理にでも連れて行くのだから。愚弟が国境に手間取られているうちにな」
まさか、あの煙はこのイェロン伯爵が起こしたことなのだろうか。嫌な汗が背中を流れる。
「まさか、わたくしを人質とするために、あの煙を?」
「……ふん、愚弟の夫人にしてはバカではないようだな。あの煙一つ出すのに、どれだけ手間がかかっていると思っている? 夫人は必ず連れて行く」
「い、嫌です」
「夫人にいいことを教えてあげよう。このまま愚弟と婚姻生活を続けても、いつかは離縁することになるだろう」
「……どういうことですか?」
イェロン伯爵は顔を歪めた。
「愚弟が公爵となれた理由を知っているか? 天恵を持っているからだ。あいつが天恵を持って生まれてこれた理由は、あいつの母親が天恵を持っていたからだ」
「……」
「父と母が天恵を持っていれば、天恵持ちの子供が生まれやすい。あいつが天恵を持てたのは、母親のお陰だ。夫人はどうだ? 天恵は持っていないだろう」
「……」
「いずれ子が産まれたとしても、天恵を持っていなければ、後継者には遠いぞ。愚弟は普通の子しか産めない夫人を捨てるだろう」
そんなことはない。きっとルークは、天恵を持たない子でも可愛がってくれる。きっと私も捨てないでいてくれる。優しい人だから、きっと。
そう思うけれど、天恵を持つ子がいないと、いつかルークが回りから冷たい目で見られるのでは、と思うと、それは辛いかもしれない。いつかルークが、回りに私と別れろと言われて苦悩するなら、いまのうちにルークから離れてあげるべきなのでは。
あまり嬉しくない想像をしてしまい、気落ちする私を見てイェロン伯爵は笑みを浮かべた。
「まだ愚弟の大事な妻であるうちに、私がうまく使ってやる」
イェロン伯爵が合図をすると、イェロン伯爵の傍にいた四名の男たちが私に近づいてきた。すぐにロニーが対応する。ロニーが子供だと侮っていたのか、一人はあっという間にロニーに頭を床に沈められてしまった。
怪力という天恵持ちのロニーが本気で対応すると、人間の頭って床にめり込むのだな、と青くなる。たぶん、あのめり込んだ人は、ぴくぴくしているので、死んではいない。
さすがにロニーを警戒したようで、残りの三人は慎重にロニーと対峙している。あの三人も、荒事に慣れていそうで、ロニーは冷静に対処しているものの、苦戦しそうだ。
それを見て舌打ちをしたイェロン伯爵は、家具を回って私に近寄ってきた。
「近寄らないで!」
私は近くの花瓶を持った。それを見て、イェロン伯爵はニヤっと笑う。
「おお、怖い怖い。そんなもので私を倒せるとでも?」
誰も倒せるとは言っていない。
私は花瓶を思いっきり窓に投げた。バリンと大きい音を立てて窓が割れ、外のバルコニーにガラスが散った。
「なっ!?」
大きい音を立てて、ここに人を呼ぶのが目的だ。
開いた窓から外に逃げる手もあるけれど、さすが執務館の最上階からだと飛び降りは怖い。たぶん死ぬ。隣の塔に綱渡りできそうな技でも習っておくんだった、と後悔する。
怒りに顔を歪め、足早に近寄るイェロン伯爵に、逃げながら近くの物を投げつける。手当たり次第掴めるものを投げつけるけれど、イェロン伯爵は止まる気配がない。もう投げるものがなくなってきた。
仕方がない。今なら不意を付けるかもしれない。
近寄って来るイェロン伯爵に、逆に少し近づくと、一瞬驚いているイェロン伯爵の足のスネに思いっきり蹴りを入れた。
「いっ――!?」
痛みに顔を歪めるイェロン伯爵に、今度は顔面に蹴りを三回連続で入れた。そして蹴りの反動で戻って来るイェロン伯爵の顔に、トドメとばかりに後ろ回し蹴りをお見舞いする。
バタンと床に倒れるイェロン伯爵がまだ起き上がるかも、と蹴りやすいスネをもう一度蹴ったけれど、イェロン伯爵の反応がない。
「……あら? まさか伸びちゃった?」
騎士でも運動が得意ではないというオキシパル伯爵は別として、イェロン伯爵は図体も大きいし、私も渾身の力で蹴ったものの、効かないかもしれないと自信はなかったのだが。
その時、大きい音がしたと思うと、ロニーが最後の一人を床に沈めていた。そして、ロニーは慌ててこちらに近寄って来る。
「奥様! お怪我は!?」
「大丈夫――」
その時、大きい音を立てて執務室の扉が開いた。そこからたくさんの騎士とルークが現れた。
「アリス!」
「ルーク!」
走ってきたルークは、私を強く抱きしめる。そして体を離した。
「アリス、無事か!? 怪我はないか!?」
「元気です。……でも、ごめんなさい」
「……どうした?」
「イェロン伯爵がしばらく起きないかもしれないわ」
「は?」
ルークはやっと、私の傍で伸びているのがイェロン伯爵だと気づいたらしい。
「六回くらい、蹴っちゃいました。今日のわたくしのブーツは特性なので、少し痛かったかもしれません」
「……」
「青タンくらいですめばいいのですが……。あ、花瓶と窓が割れているのは、イェロン伯爵に賠償請求してくださいね」
ぶはっとルークは笑い出し、私を抱え上げた。
「ははは! 俺のアリスは最高だな!」
楽しげに笑うルークの横で、イェロン伯爵を含む五人は、気絶したまま全員騎士たちに連れられて行った。
ルークは馬車ではなく馬で戻ると言っていたから、そろそろ騎士団の城には到着しただろうか。馬車ではないので、馬なら飛ばせば、早めに着くだろう。
ルークの執務室からは煙の方向が見えなくて、そわそわと窓辺をウロウロとする。窓から見える目の前に、同じ執務館の建物に付いている塔がある。ここからは十メートルほどしか離れていない。あちらに行けば、もしかしたら国境の様子が見えるかも、と塔へ行こうかと迷っている時だった。
執務室の扉が開き、人が五名入ってきた。
「これはこれは、愚弟の夫人ではないか」
「……イェロン伯爵?」
なぜここにイェロン伯爵が入ってくるのか。ロニーが私の傍で警戒している。
「ここは、ルークの執務室です。ルークは今不在ですけれど、ルークに何か御用でしょうか?」
「夫人に用があってね。あれが病弱な妻を娶ったと聞いたときは、放っておいてもどうせ後継などできぬと思っていたが、元気になられてはな。こちらにも都合というものがある」
「……どういう意味でしょう」
「まさか、もう身ごもってはいまいな? それなら、夫人の腹も割く必要が出てくる」
「身ごもっていません!」
傷つけられるかも、という恐怖と、まだルークと初夜も迎えていないからということで、真実を叫ぶ。ルークがいる時は、後継がどうの、と心配を装おう言葉を言っていたのに、本当は後継などいたら困ると思っていたのか。
「……なるほど、それだけあの愚弟が大事にしているということか? ならば、ぜひ愚弟を招待するためにも、夫人には私と来てもらわなければならないな」
「遠慮しますわ!」
「夫人の意見は聞いていない。どうせ、これから無理にでも連れて行くのだから。愚弟が国境に手間取られているうちにな」
まさか、あの煙はこのイェロン伯爵が起こしたことなのだろうか。嫌な汗が背中を流れる。
「まさか、わたくしを人質とするために、あの煙を?」
「……ふん、愚弟の夫人にしてはバカではないようだな。あの煙一つ出すのに、どれだけ手間がかかっていると思っている? 夫人は必ず連れて行く」
「い、嫌です」
「夫人にいいことを教えてあげよう。このまま愚弟と婚姻生活を続けても、いつかは離縁することになるだろう」
「……どういうことですか?」
イェロン伯爵は顔を歪めた。
「愚弟が公爵となれた理由を知っているか? 天恵を持っているからだ。あいつが天恵を持って生まれてこれた理由は、あいつの母親が天恵を持っていたからだ」
「……」
「父と母が天恵を持っていれば、天恵持ちの子供が生まれやすい。あいつが天恵を持てたのは、母親のお陰だ。夫人はどうだ? 天恵は持っていないだろう」
「……」
「いずれ子が産まれたとしても、天恵を持っていなければ、後継者には遠いぞ。愚弟は普通の子しか産めない夫人を捨てるだろう」
そんなことはない。きっとルークは、天恵を持たない子でも可愛がってくれる。きっと私も捨てないでいてくれる。優しい人だから、きっと。
そう思うけれど、天恵を持つ子がいないと、いつかルークが回りから冷たい目で見られるのでは、と思うと、それは辛いかもしれない。いつかルークが、回りに私と別れろと言われて苦悩するなら、いまのうちにルークから離れてあげるべきなのでは。
あまり嬉しくない想像をしてしまい、気落ちする私を見てイェロン伯爵は笑みを浮かべた。
「まだ愚弟の大事な妻であるうちに、私がうまく使ってやる」
イェロン伯爵が合図をすると、イェロン伯爵の傍にいた四名の男たちが私に近づいてきた。すぐにロニーが対応する。ロニーが子供だと侮っていたのか、一人はあっという間にロニーに頭を床に沈められてしまった。
怪力という天恵持ちのロニーが本気で対応すると、人間の頭って床にめり込むのだな、と青くなる。たぶん、あのめり込んだ人は、ぴくぴくしているので、死んではいない。
さすがにロニーを警戒したようで、残りの三人は慎重にロニーと対峙している。あの三人も、荒事に慣れていそうで、ロニーは冷静に対処しているものの、苦戦しそうだ。
それを見て舌打ちをしたイェロン伯爵は、家具を回って私に近寄ってきた。
「近寄らないで!」
私は近くの花瓶を持った。それを見て、イェロン伯爵はニヤっと笑う。
「おお、怖い怖い。そんなもので私を倒せるとでも?」
誰も倒せるとは言っていない。
私は花瓶を思いっきり窓に投げた。バリンと大きい音を立てて窓が割れ、外のバルコニーにガラスが散った。
「なっ!?」
大きい音を立てて、ここに人を呼ぶのが目的だ。
開いた窓から外に逃げる手もあるけれど、さすが執務館の最上階からだと飛び降りは怖い。たぶん死ぬ。隣の塔に綱渡りできそうな技でも習っておくんだった、と後悔する。
怒りに顔を歪め、足早に近寄るイェロン伯爵に、逃げながら近くの物を投げつける。手当たり次第掴めるものを投げつけるけれど、イェロン伯爵は止まる気配がない。もう投げるものがなくなってきた。
仕方がない。今なら不意を付けるかもしれない。
近寄って来るイェロン伯爵に、逆に少し近づくと、一瞬驚いているイェロン伯爵の足のスネに思いっきり蹴りを入れた。
「いっ――!?」
痛みに顔を歪めるイェロン伯爵に、今度は顔面に蹴りを三回連続で入れた。そして蹴りの反動で戻って来るイェロン伯爵の顔に、トドメとばかりに後ろ回し蹴りをお見舞いする。
バタンと床に倒れるイェロン伯爵がまだ起き上がるかも、と蹴りやすいスネをもう一度蹴ったけれど、イェロン伯爵の反応がない。
「……あら? まさか伸びちゃった?」
騎士でも運動が得意ではないというオキシパル伯爵は別として、イェロン伯爵は図体も大きいし、私も渾身の力で蹴ったものの、効かないかもしれないと自信はなかったのだが。
その時、大きい音がしたと思うと、ロニーが最後の一人を床に沈めていた。そして、ロニーは慌ててこちらに近寄って来る。
「奥様! お怪我は!?」
「大丈夫――」
その時、大きい音を立てて執務室の扉が開いた。そこからたくさんの騎士とルークが現れた。
「アリス!」
「ルーク!」
走ってきたルークは、私を強く抱きしめる。そして体を離した。
「アリス、無事か!? 怪我はないか!?」
「元気です。……でも、ごめんなさい」
「……どうした?」
「イェロン伯爵がしばらく起きないかもしれないわ」
「は?」
ルークはやっと、私の傍で伸びているのがイェロン伯爵だと気づいたらしい。
「六回くらい、蹴っちゃいました。今日のわたくしのブーツは特性なので、少し痛かったかもしれません」
「……」
「青タンくらいですめばいいのですが……。あ、花瓶と窓が割れているのは、イェロン伯爵に賠償請求してくださいね」
ぶはっとルークは笑い出し、私を抱え上げた。
「ははは! 俺のアリスは最高だな!」
楽しげに笑うルークの横で、イェロン伯爵を含む五人は、気絶したまま全員騎士たちに連れられて行った。
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