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ご都合部屋にしてはちょっと

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どうやらAさんとB君は先にいて
色々と探検した後だったらしい。
2人とも同じくらいのタイミングで
床に寝そべってたらしく、
体が痛いと話してる。
今はそんなことを言ってる場合では
ないと思うんだけど、
絶妙に慌ててる私を見たら
逆に落ち着いたのだろう。


話していると、2人とも私がAさんの身代わりになったことはどうやら覚えてないらしい。
覚えてないというより
そこらへんの記憶が、
なくなっているようだった。

あんなお涙頂戴が無かったことに
なってるなんて、、、。
無理矢理話そうかと思ったが
説明するのも面倒なので、
私もその話をするのはやめた。

チャラーン


この場にそぐわない安っぽい音。
少し昔の画質の悪いテレビから
聞こえてきた。

3人でテレビの前へ行く。
画面には

「   をしないと出られない部屋」



なんだこれ。
これこそひと昔前に流行った
ご都合なんたらの王道的展開じゃないか。

生前?三次元の関係が嫌で
腐女子の世界にも足をつっこんでいた。
ちなみに夢女子でもあった。

推しカプや推しと夢女子が
閉じ込められるのなら
いいんだけどなんで
このメンバーなんだろ。


しかも、肝心のやるべきことがない。
なんなんだいったい、何がしたいんだ。


「困りましたね。仕事が。今日Aさんも会議でしたよね。」

「そうだね。今日は僕がいないと困るやつ。困ったな。」


落ち着いている。
どうにもこうにも落ち着いてる。
こんな場所に閉じ込められて
こんなに落ち着いてるだなんて
この2人が首謀者なのでは、
そう思ってしまいそうである。

「あ、一華ちゃんこういう話好きだったよね?なんか心当たりある?」


どくん

久しぶりに名前でよばれた。
Aさんが私のことを名前で呼ぶのは
2人でいる時で、さらにもっと言えば
情事の時だけである。

"いちか"だなんて可愛すぎる名前が
私には不相応で、なんとなくこの名前に
恥じないように可愛くいないとって
思い続けていた。
気がついたら重圧になっていた。

苦手な名前だった。

※※※※

「一つの華って書いて
いちかって読むんだね。
凛としてて、きれいな名前だ。」


初めてAさんに会った時に
言われた言葉だった。
名前と見た目にコンプレックスを
持っていた私は嬉しくて、
思えばこの時から恋に落ち始めていたんだ。

※※※※※

「Aさんって先輩のこと名前で呼んでましったけ?」

忘れてたB君のこと。
私達の関係は知られたらお終い。
絶対に隠し通さないといけない。
だからこそAさんは、私のことを
名字で呼ぶし基本そっけない。

職場とプライベートの使い分けも
好きだった。

ってそんなことはどうでもいい。
とりあえず話を変えよう。

「今は仕事じゃないからね!
そんなことより、この○○しないと
出られない部屋っていうご都合部屋から脱出しよう!!」
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