俺の前に出るな

学園生活開幕

17

「ローライズさまぁ、僕のクラスに気に入らない奴がいてぇ、僕が話し掛けても無視する奴がいるんですぅ。Ａ階級の奴でぇ、僕より力があるから調子乗ってるんですよぉ。だからぁ、そいつを痛めつけて僕をローライズさまと同じアルカナ組に入れて下さい。そうすれば僕もずっとローライズさまの近くに入れるしぃ。あ、寮もローライズさまの寮に移りたいですぅ」

自分の要求をズケズケと言うティアに周りは図々しいと嫌悪の目で見て行く。
それに気付きもしないティアはある意味、強者だ。

何も言わないローライズにまた何か言おうと口を開いた時だった。

ローライズの左手がティアのコメカミに食い込んだ。
ティアはあまりの痛さに絶叫し両手でローライズの手を外そうと必死だ。

「お前は教育がなっていないようだ」

静かにローライズが言った。

まだバタバタと暴れているティアを投げつけるように振り払い、倒れたティアに近付いた。

しゃがみ込みティアの前髪を掴み上げ顔を上げさせる。

「その喋り方も鬱陶しい。２度と俺の目の前に現れるな」

そう言って前髪を離し立ち上がり、デコピンをするみたいに指をピンッとティアに弾いた。

ティアの体は物凄い速さで飛んで行き、食堂から投げ出され床に叩きつけられた。

廊下に倒れたティアは恐怖と怒りが入り混じり震えていた。

(見てろよ。ローライズ。全ての権力を使い果たしてでも必ず後悔させて、僕が必要だと言わせてやる)

そう思いながらヨロヨロと立ち上がり食堂を後にした。

ティアは理解していなかった。

ローライズが言う２度と俺の目の前に現れるなという意味を。