16 / 29
学園生活開幕
10 ビルサイド
しおりを挟む
会長の手の甲を見て言葉を失った。
ローライズ様と同じ模様が刻まれていたから。
入学式で見たアベリー様も右手の甲に同じように模様が刻まれていた。
あれはきっと、ずっとローライズ様の近くにいる事を許された人しか付けられない印。
学園を卒業してもローライズ様がまた姿を現さなくなったとしてもこの王国を出たとしてもずっと一緒にいられる印。
あれは俺が欲しかったのに。
俺はS階級で同学年だからローライズ様とクラスは一緒のはず。
そこから俺を認めてもらってずっと一緒にいれるようにコトを運ぼうとしたのに。
悔しい。何で会長なんだ。
一目惚れだった。
ローライズ様がお姿を見せた瞬間から全てが動き出したんだ。
S階級と判断された時から両親の期待が凄かった。
両親は互いにA階級。王家のバトラー(最上級の使用人)として働いていた。
自分の息子がS階級だと分かった時からずっとS階級についての心得を聞かされた。
この世界では階級がもっとも重視される。
だからどこの国の王もS階級の中で選ばれる。
血筋とかは関係なく。
王家の血筋の中でS階級が生まれたとしても器がなければ認められず王にはなれないのだ。
両親も王家に仕える身だからこそ将来の王になれるように厳しく指導された。
だけどそこに俺の意思はない。
小さいながらに悟ったのだ。
もし俺がS階級じゃなければ両親はこんなにも厳しくしなかったのではないか。
むしろS階級じゃなければ自由に生きられたのではないか。
小さい頃から色々と制限され友達とも遊べず関わっていいと言われた人達はA階級以上でなければいけないと言われ続けて来た。
S階級という俺に取っては重荷でしかない力。
別に偉くなりたいわけじゃない。
普通に生きたいんだ。
誰にも縛られず自由に過ごしたかった。
もう諦めたけど。
何もかも俺の意思は無視され続け、親の敷いたレールを歩くだけにした。
感情なんてもうとっくの昔に捨てた。
そうすれば何も考えなくていいし楽だから。
それはSSS階級と診断されたローライズ様も一緒だと思った。
生まれてすぐに全世界の絶対的王者になると決まっていて王室からも隔離されていたから。
ローライズ様も厳しい教育を受けている。と両親から聞かされていたから。
だけど違った。
入学式で初めてお姿を見た時のローライズ様は表情こそ無かったものの全てを受け入れ堂々とされていた。
俺のように全てを諦め、言われるがまま歩んで来たのでなく自分の意思をしっかりと持ち威圧感のあるそのお姿があまりにも綺麗に見えた。
あぁ、俺はこの方を支えるべくして力を持って生まれたんだ。
本気でそう思った。
なのに…
ローライズ様はなぜ会長を選んだのか。
どうして会長と接触したのか。
悔しくて堪らなかった。
だが今回は諦めない。
ローライズ様に勇気をもらった。
自分の意思で行動しよう。
もう親の敷いたレールは歩かない。
俺はローライズ様のお側に…。
ローライズ様と同じ模様が刻まれていたから。
入学式で見たアベリー様も右手の甲に同じように模様が刻まれていた。
あれはきっと、ずっとローライズ様の近くにいる事を許された人しか付けられない印。
学園を卒業してもローライズ様がまた姿を現さなくなったとしてもこの王国を出たとしてもずっと一緒にいられる印。
あれは俺が欲しかったのに。
俺はS階級で同学年だからローライズ様とクラスは一緒のはず。
そこから俺を認めてもらってずっと一緒にいれるようにコトを運ぼうとしたのに。
悔しい。何で会長なんだ。
一目惚れだった。
ローライズ様がお姿を見せた瞬間から全てが動き出したんだ。
S階級と判断された時から両親の期待が凄かった。
両親は互いにA階級。王家のバトラー(最上級の使用人)として働いていた。
自分の息子がS階級だと分かった時からずっとS階級についての心得を聞かされた。
この世界では階級がもっとも重視される。
だからどこの国の王もS階級の中で選ばれる。
血筋とかは関係なく。
王家の血筋の中でS階級が生まれたとしても器がなければ認められず王にはなれないのだ。
両親も王家に仕える身だからこそ将来の王になれるように厳しく指導された。
だけどそこに俺の意思はない。
小さいながらに悟ったのだ。
もし俺がS階級じゃなければ両親はこんなにも厳しくしなかったのではないか。
むしろS階級じゃなければ自由に生きられたのではないか。
小さい頃から色々と制限され友達とも遊べず関わっていいと言われた人達はA階級以上でなければいけないと言われ続けて来た。
S階級という俺に取っては重荷でしかない力。
別に偉くなりたいわけじゃない。
普通に生きたいんだ。
誰にも縛られず自由に過ごしたかった。
もう諦めたけど。
何もかも俺の意思は無視され続け、親の敷いたレールを歩くだけにした。
感情なんてもうとっくの昔に捨てた。
そうすれば何も考えなくていいし楽だから。
それはSSS階級と診断されたローライズ様も一緒だと思った。
生まれてすぐに全世界の絶対的王者になると決まっていて王室からも隔離されていたから。
ローライズ様も厳しい教育を受けている。と両親から聞かされていたから。
だけど違った。
入学式で初めてお姿を見た時のローライズ様は表情こそ無かったものの全てを受け入れ堂々とされていた。
俺のように全てを諦め、言われるがまま歩んで来たのでなく自分の意思をしっかりと持ち威圧感のあるそのお姿があまりにも綺麗に見えた。
あぁ、俺はこの方を支えるべくして力を持って生まれたんだ。
本気でそう思った。
なのに…
ローライズ様はなぜ会長を選んだのか。
どうして会長と接触したのか。
悔しくて堪らなかった。
だが今回は諦めない。
ローライズ様に勇気をもらった。
自分の意思で行動しよう。
もう親の敷いたレールは歩かない。
俺はローライズ様のお側に…。
1
お気に入りに追加
115
あなたにおすすめの小説

傷だらけの僕は空をみる
猫谷 一禾
BL
傷を負った少年は日々をただ淡々と暮らしていく。
生を終えるまで、時を過ぎるのを暗い瞳で過ごす。
諦めた雰囲気の少年に声をかける男は軽い雰囲気の騎士団副団長。
身体と心に傷を負った少年が愛を知り、愛に満たされた幸せを掴むまでの物語。
ハッピーエンドです。
若干の胸くそが出てきます。
ちょっと痛い表現出てくるかもです。



真面目系委員長の同室は王道転校生⁉~王道受けの横で適度に巻き込まれて行きます~
シキ
BL
全寮制学園モノBL。
倉科誠は真面目で平凡な目立たない学級委員長だった。そう、だった。季節外れの王道転入生が来るまでは……。
倉科の通う私立藤咲学園は山奥に位置する全寮制男子高校だ。外界と隔絶されたそこでは美形生徒が信奉され、親衛隊が作られ、生徒会には俺様会長やクール系副会長が在籍する王道学園と呼ぶに相応しいであろう場所。そんな学園に一人の転入生がやってくる。破天荒な美少年の彼を中心に巻き起こる騒動に同室・同クラスな委員長も巻き込まれていき……?
真面目で平凡()な学級委員長が王道転入生くんに巻き込まれ何だかんだ総受けする青春系ラブストーリー。
一部固定CP(副会長×王道転入生)もいつつ、基本は主人公総受けです。
こちらは個人サイトで数年前に連載していて、途中だったお話です。
今度こそ完走させてあげたいと思いたってこちらで加筆修正して再連載させていただいています。
当時の企画で書いた番外編なども掲載させていただきますが、生暖かく見守ってください。

楓の散る前に。
星未めう
BL
病弱な僕と働き者の弟。でも、血は繋がってない。
甘やかしたい、甘やかされてはいけない。
1人にしたくない、1人にならなくちゃいけない。
愛したい、愛されてはいけない。
はじめまして、星見めうと申します。普段は二次創作で活動しておりますが、このたび一次創作を始めるにあたってこちらのサイトを使用させていただくことになりました。話の中に体調不良表現が多く含まれます。嘔吐等も出てくると思うので苦手な方はプラウザバックよろしくお願いします。
ゆっくりゆるゆる更新になるかと思われます。ちょくちょくネタ等呟くかもしれないTwitterを貼っておきます。
星見めう https://twitter.com/hoshimimeu_00
普段は二次垢におりますのでもしご興味がありましたらその垢にリンクあります。
お気に入り、しおり、感想等ありがとうございます!ゆっくり更新ですが、これからもよろしくお願いします(*´˘`*)♡

あざといが過ぎる!
おこげ茶
BL
自分のかわいさを理解して上手いこと利用しているつもりの主人公、美緒のあざとさは本人が思ってもいない方向に作用していた!?
「や、僕女の子が好きなんだけど!?」
※基本的に月曜日の19時更新にする予定です。
※誤字脱字あれば、ぜひふわふわ言葉で教えてください。爆速で直します。
※Rは今のとこ予定ないです。(もしかしたらあとから入るかも。その時はごめんなさい)

例え何度戻ろうとも僕は悪役だ…
東間
BL
ゲームの世界に転生した留木原 夜は悪役の役目を全うした…愛した者の手によって殺害される事で……
だが、次目が覚めて鏡を見るとそこには悪役の幼い姿が…?!
ゲームの世界で再び悪役を演じる夜は最後に何を手に?
攻略者したいNO1の悪魔系王子と無自覚天使系悪役公爵のすれ違い小説!

乙女ゲームのサポートメガネキャラに転生しました
西楓
BL
乙女ゲームのサポートキャラとして転生した俺は、ヒロインと攻略対象を無事くっつけることが出来るだろうか。どうやらヒロインの様子が違うような。距離の近いヒロインに徐々に不信感を抱く攻略対象。何故か攻略対象が接近してきて…
ほのほのです。
※有難いことに別サイトでその後の話をご希望されました(嬉しい😆)ので追加いたしました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる