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第一章
32 ジークサイド
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正直、俺は驚いた。
ルルは綺麗な容姿と綺麗な真っ白な耳としっぽであのペガサスなのではないかと思ってはいたが実際に見た事がなかったし伝説上の話だった為、どこかまだ浮ついた所があったのかもしれない。
実際、その力を見て不覚にも足がすくんだ。
カインが倒れた時に空から太陽の光をまとった美しい羽の生えた真っ白な馬が降りて来た。
呆気に取られ魔物を切るのさえ忘れ魅入ってしまった。
何て神々しいんだ。
そう思わずにはいられなかった。
そしてルルの圧倒的な力。
完全なる伝説の王者。
ルルさえいればこの世界は良くも悪くもなり得るだろう存在。
これから隣国にも知れ渡るだろうし、隣国だけじゃなく他の国にも話が行くかもしれない。
先の事が見えるかのような騒動に頭が痛くなった。
だからと言ってルルの契約者カインはうちにいる。
そうやすやすと他所にルルが行くことはないだろう。
それ以前に俺がそうはさせない。
指示をすべく第二騎士団が待機しているテントへ向かう。
思った通り、やはりルルの話で持ち切りだった。
「団長!第一団長の契約獣は…」
俺を見るなり話しかけて来たのは第二騎士団副団長のライト・ローゼス。
その甘いマスクで女を取っ替え引っ替えしている。
いつもニコニコしているそいつが珍しくしかめっ面をしていた。
伝説の神獣様の事を聞きたいのか神獣様の体調を聞きたいのかその後に続く言葉がなかった。
ライトが話しかけて来た事により場が静まり返り全員が俺に視線を寄越した。
ハァ。と小さく息を吐いてから全員に聞こえるように声を出した。
「全員、己の目で確認したと思うが第一団長が契約したと噂されていた神獣はペガサス。伝説の神獣様が第一団長を認め契約獣となった。あの圧倒的な力により我々の命が救われた。感謝の気持ちを忘れるな!だが今、ペガサス様は羽の傷により熱を出し第一騎士団のテントで休んでおられる。くれぐれも近付こう等と思うな。そんな輩がいた際には第一団長ならびにこの俺が直接手をくだしてやる」
鋭い目で周りを見渡せば団員達は冷や汗を流しながら左胸に手を置き、「ハッ!」と頭を下げた。
「明後日の朝、王都へ帰還する予定だ。今日は各自ゆっくりしてくれて構わない。明日は隣国側の騎士団と話をする為、お前達は待機だ。ご苦労だった」
それだけを言い、ルルの様子を見に行こうと種を返せばライトがまた話しかけて来た。
「やはりペガサス様だったんだね。団長。俺も一緒に行かせて欲しい」
「ダメだ。近づくなと言ったはずだ」
「だけど俺も重症を負っていた身。助けて貰った命だ。ペガサス様の力になりたい」
「今、お前が力になれることはない。重症者だった奴がその理由で1人でも会わせれば次から次に名乗りをあげるだろう。ペガサス様は簡単に会っていいお方じゃない。ましてや第一団長が契約者だ。俺がどうこう判断出来る立場じゃない」
「なら第一団長に会わせてよ」
「お前…」
今までずっとニコニコと笑顔を絶やさず女もコロコロ変わり適当に生きていたような奴が真剣な顔をしてこちらを見ていた。
初めて見るその表情に、あぁ…こいつもルルに魅了されたんだな。とすぐに思った。
ルルは俺達にとって麻薬みたいな存在だ。
1度出会ってしまえば、頭から離れなくなりすぐに会いたくなる。
やはりカインが契約者だと思うと悔しい。
「また王都に帰ってから話せ。今は諦めろ」
冷たくそう言うとライトはこれ以上、何かを言って来ることはなかった。
ルルは綺麗な容姿と綺麗な真っ白な耳としっぽであのペガサスなのではないかと思ってはいたが実際に見た事がなかったし伝説上の話だった為、どこかまだ浮ついた所があったのかもしれない。
実際、その力を見て不覚にも足がすくんだ。
カインが倒れた時に空から太陽の光をまとった美しい羽の生えた真っ白な馬が降りて来た。
呆気に取られ魔物を切るのさえ忘れ魅入ってしまった。
何て神々しいんだ。
そう思わずにはいられなかった。
そしてルルの圧倒的な力。
完全なる伝説の王者。
ルルさえいればこの世界は良くも悪くもなり得るだろう存在。
これから隣国にも知れ渡るだろうし、隣国だけじゃなく他の国にも話が行くかもしれない。
先の事が見えるかのような騒動に頭が痛くなった。
だからと言ってルルの契約者カインはうちにいる。
そうやすやすと他所にルルが行くことはないだろう。
それ以前に俺がそうはさせない。
指示をすべく第二騎士団が待機しているテントへ向かう。
思った通り、やはりルルの話で持ち切りだった。
「団長!第一団長の契約獣は…」
俺を見るなり話しかけて来たのは第二騎士団副団長のライト・ローゼス。
その甘いマスクで女を取っ替え引っ替えしている。
いつもニコニコしているそいつが珍しくしかめっ面をしていた。
伝説の神獣様の事を聞きたいのか神獣様の体調を聞きたいのかその後に続く言葉がなかった。
ライトが話しかけて来た事により場が静まり返り全員が俺に視線を寄越した。
ハァ。と小さく息を吐いてから全員に聞こえるように声を出した。
「全員、己の目で確認したと思うが第一団長が契約したと噂されていた神獣はペガサス。伝説の神獣様が第一団長を認め契約獣となった。あの圧倒的な力により我々の命が救われた。感謝の気持ちを忘れるな!だが今、ペガサス様は羽の傷により熱を出し第一騎士団のテントで休んでおられる。くれぐれも近付こう等と思うな。そんな輩がいた際には第一団長ならびにこの俺が直接手をくだしてやる」
鋭い目で周りを見渡せば団員達は冷や汗を流しながら左胸に手を置き、「ハッ!」と頭を下げた。
「明後日の朝、王都へ帰還する予定だ。今日は各自ゆっくりしてくれて構わない。明日は隣国側の騎士団と話をする為、お前達は待機だ。ご苦労だった」
それだけを言い、ルルの様子を見に行こうと種を返せばライトがまた話しかけて来た。
「やはりペガサス様だったんだね。団長。俺も一緒に行かせて欲しい」
「ダメだ。近づくなと言ったはずだ」
「だけど俺も重症を負っていた身。助けて貰った命だ。ペガサス様の力になりたい」
「今、お前が力になれることはない。重症者だった奴がその理由で1人でも会わせれば次から次に名乗りをあげるだろう。ペガサス様は簡単に会っていいお方じゃない。ましてや第一団長が契約者だ。俺がどうこう判断出来る立場じゃない」
「なら第一団長に会わせてよ」
「お前…」
今までずっとニコニコと笑顔を絶やさず女もコロコロ変わり適当に生きていたような奴が真剣な顔をしてこちらを見ていた。
初めて見るその表情に、あぁ…こいつもルルに魅了されたんだな。とすぐに思った。
ルルは俺達にとって麻薬みたいな存在だ。
1度出会ってしまえば、頭から離れなくなりすぐに会いたくなる。
やはりカインが契約者だと思うと悔しい。
「また王都に帰ってから話せ。今は諦めろ」
冷たくそう言うとライトはこれ以上、何かを言って来ることはなかった。
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