僕は伝説の神獣らしい

マグロ

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第一章

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「着ました」

そう声を掛けるとやっと腕を降ろした。

「さっきは本当にすまなかった。俺は王都第一騎士団団長をしているカイン・ライザーと言う。あなたは…」

「全然気にしてないので大丈夫です。僕は神獣のルルと言います」

「ルル…」

それだけ言って黙りこくってしまった。
何か僕は変な事を言ってしまったのだろうか。

「あの…」

声を掛けようとした時、先にカインさんが口を開いた。

「ルルに聞きたい事がいくつかある。答えたくなければ答えなくていい。ルルの耳やしっぽ、その大きくて綺麗な羽を見るとペガサスのように見える。ルルは…まさかペガサスなのか?」

聞いてはいるものの確信めいた口調で問われる。
別に僕自身は隠しているつもりはないしこの人には正直に答えても大丈夫な気がするという僕の本能がそう告げているので素直に答えた。

他の神獣達は僕がペガサスだって誰にも言わない事と人間には絶対に会うなって言われていたけど会っちゃったものはしょうがないよね。


「はい。僕は神獣ペガサスです」

「他にペガサスはいるのか?」

「いえ、この森には僕しかいません」

「人型になれる神獣は?」

「それも僕しかいません」

「そうか…。答えてくれてありがとう。この事は決して誰にも話さないと誓う。だからまたここに来てもいいだろうか?」

「はい!ぜひまた遊びに来て下さい。次に来た時はカインさんのような人間さんのお話も聞かせて下さい」

「あぁ…もちろんだ」

そう言ってカインさんは初めてふわりと優しく笑いかけてくれた。
だから、僕もにっこり笑い返した。

そろそろ戻らないといけない時間だ。と言ってカインさんは帰って行った。

その日、僕は神獣達に軽く怒られたけど神獣達や人間さんの間でカインさんはとても有名らしい。

超絶美形なカインさんは女からも男からも物凄くモテる事と人望がとても厚くそしてかなり強い剣の使い手みたいで、現在25歳らしいが最年少の20歳で騎士団団長にのし上がった事で知らない人はいないくらいらしい。



けれど王都騎士団の団員はほとんどの人がさまざまな神獣と契約しているにも関わらずカインさんはまだ神獣と契約していないみたい。

騎士団は王族の護衛や魔物退治などをする為、神獣と契約をし神獣の力を借りて討伐するのが普通なんだそうだ。

だが、カインさんは周りからも契約するように言われているにも関わらず頑なに神獣と契約をしようとはしないんだって。

神獣達の間でカインさんとなら契約してもいいって言う神獣もいるくらいらしいのに。

ここまで詳しく知れたのは騎士団と契約している何頭かの神獣が教えてくれた。

契約している神獣でも呼ばれない限りは自由に行動が出来るらしいからよくこの森にいたりする。

よし、もう少しカインさんと仲良くなれたらそれとなく何で契約しないのか聞いてみよう。

   
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