その学園にご用心

マグロ

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番外編

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生徒会室へ着き、1度ノックをして部屋に入った。
そこにはれい先輩と五十嵐先輩しかいなかった。

「おぉ、桜李。遅かった…え?そう?」

「玲兄ちゃん!」

れい先輩が書類を見ながら顔を上げ、そう君を発見した。
そう君は僕と手を繋ぎながらぴょんこぴょんこと跳ね、れい先輩に手を振っていた。

「そう。お前なんでここにいるんだ」

さっきの楓先輩と同じ事を言っていてやっぱり兄弟なんだな。と少し笑ってしまった。

僕がそう君と会った経緯や聞いた話をし、れい先輩は納得していた。

「そう。お前いつまで桜李と手を繋いでいるんだ」

「ん?ずっとだよ」

「そんなの許す訳ねーだろ。離れろ」

「嫌だねー!」

れい先輩に歳の離れた弟がいたのも意外だったけど兄弟の会話が新鮮すぎて笑ってしまった。

「桜李、こっち来い」

れい先輩に呼ばれ、そう君にちょっとごめんね。と言い手を離し、れい先輩の近くに行くとすぐに抱き込まれてしまった。

「ちょっ…れい先輩!」

「あー!!玲兄ちゃんずるい!おうりちゃんは僕のお嫁さんなんだよ!!」

「ちげーよ。俺の嫁だ」

「それも違うだろ。いい加減、離れろ。この場でそうゆう行為は禁止だ!」

と五十嵐先輩がベリッと離してくれた。

「チッ」

とれい先輩は舌打ちをし近くのソファーに腰掛けた。
それから楓先輩達も戻って来てみんなで話をした。

もうそろそろ外も暗くなり始め、そう君に帰るようれい先輩が言うがそう君は帰りたがなかった。

「やだ!まだおうりちゃんといる!!」

「ダメだ」

「やーだー!まだいるー!うわーん」

と泣き出してしまった。
僕はしゃがんでそう君に話し掛けた。

「そう君そう君。手を出して」

そう言うと素直に手を出して来たのでそう君の手にポンといちごミルク味のアメを握らせた。
そしてそう君にだけ聞こえるように内緒話をする。

「僕もね、いちごミルク味のアメ大好きなの。そう君と一緒だよ。いちごミルク味のアメが大好きなのは2人だけの秘密ね。2人だけの秘密があるって事はまた会えるって事だよ。またいちごミルク味のアメを2人で食べようよ」

そう言って離れるとそう君はニッコリ笑った。

「うん!!分かった!!おうりちゃんと2人だけの秘密!!また会いに来る!」

子供騙しみたいな事を言っているのは自覚があるが泣き止んでくれてよかった。

「うん!でも、次はちゃんとお兄ちゃん達に連絡してから来てね」

「はーい!」

そう言ってそう君は僕の首に腕を回し、チュッと口にキスをして離れた。
口を押さえてビックリした顔をしていると五十嵐先輩がそう君に叫んだ。

「なっななななんてハッハレンチな小学生だ!!兄も兄なら弟も弟だな!!即刻、去れ!!」

ピッと人差し指だけを立て、ドアを指差した。

れい先輩や楓先輩もそう君の頭を叩いていた。

「いい加減にしろ。お前」

「小学生の分際で何してんだよ」

それでもそう君は満面の笑みでおうりちゃん!またね!また会いに来るからね!!と手を振りながられい先輩と楓先輩に連れられ出て行った。

僕は光希先輩にウェットティッシュで口を拭かれ、聖夜先輩に今のは忘れた方がいいよ。と念押しされた。

でも、弟がいない僕はそう君からのキスが可愛くて嬉しくてしょうがなかった。

この時、そうは誓いのキスのつもりでしたのだが桜李は可愛い弟が出来たな。としか思っていなかった。

それを知ったそうは小学生という立場を利用し桜李に甘えまくりアピールをし、桜李の周りの者達をイラつかせるのだがまたそれは別のお話。
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