その学園にご用心

マグロ

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番外編

桜李、れい先輩の弟と出会う1

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その日、桜李は1人で生徒会室に向かっていた。
今日はいい天気だなー。と思いながら外を見ているとどこからか泣き声が聞こえて来た。

え?と思って耳を澄ませると外から聞こえているみたいだ。
泣き声を無視出来るわけもなくその声を頼りに外に足を向けた。

その泣き声は裏庭の端に立っている大きな木の向こう側からだった。

その木に近付き、向こう側を覗くと小さな男の子が大きな声で泣いていた。
男の子の周りには誰もいないみたいだった。

「僕どうしたの?」

そう声をかけるとビクッと肩を揺らし振り向いた。
その男の子は将来有望と言えるくらい整った顔をしていた。

「おにっ…おにーちゃん…ひっく…会いに来たけど…場所…分かんない…ひっく」

目を擦りながら言うからソッと手を握り擦るのを止めさせ腹の指でその子の涙を拭いた。

「そっかぁ。お兄ちゃんに会いに来たんだね。お兄ちゃんはどこにいるか分かるかな?分かるなら連れて行くよ」

「それも分かんない…わーん」

そう言ってまた泣き出してしまった。
桜李はポケットに入っていたいちごミルク味のアメを男の子に渡した。

「はい。いちごミルク好き?これ食べたら元気になるよ。お1つどうぞ」

男の子の手の上に乗せるとキラキラした目で見て来た。

「大好き!お兄ちゃんありがとう」

「いーえ。どういたしまして」

可愛いなぁ。と思いながら頭を撫でてあげた。

「じゃあ、お兄ちゃんのお名前分かる?」

「うん…と、玲兄ちゃんと楓-ふう-兄ちゃん!」

「2人いるのか。うーん。何か部活とかはしてる?」

「分かんない」

「そっかぁ。じゃあ、いったん生徒会室に行こうか。そこに行けば優秀なお兄ちゃん達がいっぱいいるから探しているお兄ちゃん見つかると思うよ」

「うん!」

笑顔の戻った男の子と手を繋ぎ、歩きだした。

「そう言えば僕のお名前は何て言うの?僕の名前は桜李だよ」

「僕!爽寿-そうじゅ-!」

「爽寿君ね。そう君て呼んでもいい?」

「いいよ!おうりちゃん!」

「フフッ。おうりちゃんて呼んでくれるの?」

「うん!おうりちゃん綺麗で可愛いくて優しいから好き」

「わぁ!ありがとう」

と言いながら色々そう君から話しを聞いた。

そう君は今、小学1年生でここの学園系列の初等部に通っているらしい。
初等部は高等部の反対側。
つまり中等部を挟んだ向かい側にあるみたい。
歳の離れたお兄ちゃん達は現在、全寮制で家に帰って来るのは夏休みくらいしかなくどうしても会いたくなってそう君専属の車でここまで来たらしい。
来たのはいいがどこに行けばいいか分からなくてウロチョロしていたら迷って怖くなって泣いていたそうだ。

頑張ったね。と頭を撫でてあげた。

2人でキャッキャッしながら廊下を歩いていたら前から3人組のカッコいい人達(ネクタイの色からして2年生)が何か話をしながら歩いて来た。

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