その学園にご用心

マグロ

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最終章後編

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煌達が来る日は朝から軽い検査をしてのんびり過ごした。
昨日の灯夜達と同じくらいの時間帯に煌だけが入って来た。

「よ!桜李体調はどうだ?」

「煌!熱もだいぶ下がって元気になって来たよ!あれ?みんなは?」

「もう最初から1人ずつ入って話そうってなってジャンケンして俺が勝ったからまず俺から。2人は外で待ってる」

「そっか!ビックリさせちゃってごめんね」

「本当にビックリした。でも、桜李の元気そうな姿見れたからよしとする!」

「そっか。ありがとうね」

僕が笑って答えると逆に煌は眉をハの字にして少し困ったように笑った。

「煌?」

呼んでみれば煌は下を向いてポツリポツリと話し出した。

「俺さ、桜李が病院に運ばれた日、先に学校行っただろ?あの時、先生は俺に放課後に必要な資料があってそれをまとめるのを手伝ってほしいって言って来たんだ。だから朝か昼に来てくれればいいって言われたんだけどさっさと終わらせたくて朝に行きますって言っちゃったんだ。そしたら大和達も朝練でいなくて結果、桜李を1人にしてしまった。俺がいたらすぐに助けられたんじゃないかってずっとずっと後悔してた」

下を向いている煌の頭をポンポンと叩く。

「煌、何言ってるの?あれは全部僕の不注意だよ。何にも煌は悪くないし煌が後悔する必要ない」

「でも…」

「でもじゃないよ。それに僕も立派な男だよ!1人で登校くらい出来るよ!!まあ…こうなってから言っても説得にはならないんだけどさ…。だ!け!ど!これからもみんなの用事が重なってまた僕は1人で登校する事があるかもしれない。でも心配いらないよ!何回も言うけど僕だって立派な男だから!」

そう言って力こぶを作り、煌に見せた。

「ははっ。全然、筋肉ない」

「ムッ!失礼な!これでもたまに筋トレしてんのになー」

「たまにじゃ無理でしょ」

「ま、そっか」

煌が笑って、桜李がそう言ってくれて胸のつっかえが取れたー。と言ってくれた。
でも、桜李と一緒に登校したいからなるべく用事は昼に回す事にする!て意気込んでた。

それから少し話をして次は大和が入って来た。

「桜李!大丈夫か?」

「大丈夫だよ!お見舞いありがとうね」

「いいんだ。すぐにお見舞いに行けなくてごめんな」

「そんな事ないよ!来てくれただけで充分だよ」

そう言って座るように椅子を指した。

大和が湿気くさい話は苦手だ。と言って僕の体調だけ聞いて元気ならそれでいい。と普通の話をした。

大和はバスケ部をしていて小学生の頃からバスケ一筋らしい。
バスケが大好きで暇さえあればボールを持って練習に行くんだって。

僕はあんまりスポーツが得意じゃないからバスケが出来るって凄いよね!

「バスケかあ。僕、動くの苦手だしゴールに全然入らないからあまりやったことないな。でも、見るのは大好き!スパッてゴールに入るの見ると自分も気持ちよくなる」

「そうか!なら今度、学園の体育館で他校と練習試合があんだよ。桜李がよければ見に来れば?てか、桜李に応援に来てもらいてーな!」

「え!いいの?行く行く!絶対応援に行く!」

「よしっ!決まりな。まだちょっと先だからまた桜李が学園に来たら詳しく話すな」

「うんうん!楽しみにしてる!それまでに体調を万全にしとかなきゃ!」

「そうだぞ!桜李が応援に来てくれるなら俺もかっこ悪いとこ見せられねーしまた練習頑張らないとな」

そう言って2人でエイエイオーをして笑い合った。

それから大和とはまた学園でな。と出て行かれ次は龍君が入って来た。

「桜李…」

「龍君…心配かけてごめんね」

龍君はふるふると頭を振り、僕のベッドの端に座りギュッと抱きしめて来た。

「久々な感じ。こうやって龍君にギュッてしてもらうの」

「桜李…どっか…行っちゃ…ダメ」

「うん。ごめんね。もうどこにも行かないよ」

「うん…」

それからしばらくギュッとしながら沈黙が続いた。

「もう…そろそろ…」

「うん。また学園でね」

「元気に…なって…帰って…来て」

再度、強く抱きしめられて離れた。
名残惜しそうに龍君が出て行った。

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