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最終章前編 それぞれの反応
1 海斗サイド
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それは偶然だった。
いつもは誰もまだ登校しない時間帯に学園へ行っているはずだったが2年寮で問題を起こした奴らがいてそいつらの対応をしていた。
登校する時間帯も少し遅くなり、学園へ向かっている途中に人だかりが出来ていた。
勘弁してくれよ。
たった今、寮での問題を処理したばっかだってーのに次はなんだ?と思いながら人だかりを掻き分けて行った。
その中心へ出た時、一瞬心臓が大きく跳ねた。
そこにいたのは青い顔で頭から血を流しグッタリとした桜李を桜李の親衛隊らしい奴が桜李の頭を抱え真っ赤に染まったハンカチを額に押し当て必死に桜李を呼ぶ姿が目に入った。
涙ぐみ桜李様!桜李様!と叫ぶことしか出来ていない奴に腹が立ち、どけ!と押しやり桜李を抱える。
ここからだと2年寮の医務室が近い!
「今から2年寮の医務室に連れて行く!お前、泣いてねーで何で桜李がこうなったか説明しろ!それとそこのお前!桜李の担任を呼んでこい!!」
と怒声に近い口調で言い放ちすぐさま医務室に向かった。
向かっている途中に聞いたそいつの話はこうだ。
桜李を見かけた時、いつもより歩き方がフラフラしていた事。そして何かを考え込んでいる様子で前を見ていなかった事。すると桜李の足元に崩れた花壇のブロックが落ちておりそれにつまづいて思いっきり花壇のブロックに頭を打った事を告げられた。
そいつもかなり動揺していて駆け寄ったのはいいが、どうしていいか分からず桜李から流れ出る血を必死に止める事しか頭になかったようだ。
ごめんなさい。ごめんなさい。と泣きながら着いて来るそいつ。
そいつを横目で見ながら今出来る事を俺もするしかなかった。
俺も内心、動揺していて何も考えられる状況ではなかった。
2年寮の医務室に着き、すぐさま桜李の状況を保険医に説明しベッドへ寝かせる。
未だ、桜李の意識は戻らない。
保険医も慌てて桜李を見るがかなりの高熱に加え、打ち所が悪かったらしく、応急処置だけし、ここでは手に負えないから救急車を呼び病院に搬送させると説明された。
その時、桜李の担任が血相を変えて医務室に入って来た。
保険医の説明を聞き、担任が一緒に救急車へ乗り病院へ向かう事になった。
俺も一緒に行く事を伝えたが桜李の担任と保険医は首を横に振った。
「なんでだよ!!桜李がこんな状況なのに学園へ残ってられっか!!」
「神宮寺君、あなたの気持ちは分かります。だけどあなたはこの学園の風紀委員長だとしても一生徒です。あなたが同行する義務はありません」
「お前、誰にそんな事言ってるか分かってんのか?」
「あなたに言っています!今、権力だのなんだのと言っている場合ではないでしょう!!桜李君が目を覚ました時、あなたがそこにいれば心配かけた。迷惑かけた。と心を痛めるのはこの子なんですよ!この子の性格を知らない訳じゃないでしょう!!」
桜李の担任にそう一喝されて押し黙る。
救急車が到着しグッタリしている桜李と担任を見送る事しか出来なかった。
初めて桜李と出会った時の事を思い出す。
俺がサボり魔だと間違えて威嚇していたのにも関わらず言い返すどころか慌てて説明しようとしていた桜李。
俺が道案内を口実に手を握れば振り払わず緩く握り返してくれた小さな手。
桜李の笑った顔が次々と思い出された。
さっきまで桜李を抱えていた手が震えだす。
震える手をもう片方の手で押さえる。
大丈夫。桜李は大丈夫。
またあの笑顔を見せてくれる。
そう言い聞かせ、桜李の親衛隊にも教室に戻るよう指示をし自分も風紀委員室へ向かった。
いつもは誰もまだ登校しない時間帯に学園へ行っているはずだったが2年寮で問題を起こした奴らがいてそいつらの対応をしていた。
登校する時間帯も少し遅くなり、学園へ向かっている途中に人だかりが出来ていた。
勘弁してくれよ。
たった今、寮での問題を処理したばっかだってーのに次はなんだ?と思いながら人だかりを掻き分けて行った。
その中心へ出た時、一瞬心臓が大きく跳ねた。
そこにいたのは青い顔で頭から血を流しグッタリとした桜李を桜李の親衛隊らしい奴が桜李の頭を抱え真っ赤に染まったハンカチを額に押し当て必死に桜李を呼ぶ姿が目に入った。
涙ぐみ桜李様!桜李様!と叫ぶことしか出来ていない奴に腹が立ち、どけ!と押しやり桜李を抱える。
ここからだと2年寮の医務室が近い!
「今から2年寮の医務室に連れて行く!お前、泣いてねーで何で桜李がこうなったか説明しろ!それとそこのお前!桜李の担任を呼んでこい!!」
と怒声に近い口調で言い放ちすぐさま医務室に向かった。
向かっている途中に聞いたそいつの話はこうだ。
桜李を見かけた時、いつもより歩き方がフラフラしていた事。そして何かを考え込んでいる様子で前を見ていなかった事。すると桜李の足元に崩れた花壇のブロックが落ちておりそれにつまづいて思いっきり花壇のブロックに頭を打った事を告げられた。
そいつもかなり動揺していて駆け寄ったのはいいが、どうしていいか分からず桜李から流れ出る血を必死に止める事しか頭になかったようだ。
ごめんなさい。ごめんなさい。と泣きながら着いて来るそいつ。
そいつを横目で見ながら今出来る事を俺もするしかなかった。
俺も内心、動揺していて何も考えられる状況ではなかった。
2年寮の医務室に着き、すぐさま桜李の状況を保険医に説明しベッドへ寝かせる。
未だ、桜李の意識は戻らない。
保険医も慌てて桜李を見るがかなりの高熱に加え、打ち所が悪かったらしく、応急処置だけし、ここでは手に負えないから救急車を呼び病院に搬送させると説明された。
その時、桜李の担任が血相を変えて医務室に入って来た。
保険医の説明を聞き、担任が一緒に救急車へ乗り病院へ向かう事になった。
俺も一緒に行く事を伝えたが桜李の担任と保険医は首を横に振った。
「なんでだよ!!桜李がこんな状況なのに学園へ残ってられっか!!」
「神宮寺君、あなたの気持ちは分かります。だけどあなたはこの学園の風紀委員長だとしても一生徒です。あなたが同行する義務はありません」
「お前、誰にそんな事言ってるか分かってんのか?」
「あなたに言っています!今、権力だのなんだのと言っている場合ではないでしょう!!桜李君が目を覚ました時、あなたがそこにいれば心配かけた。迷惑かけた。と心を痛めるのはこの子なんですよ!この子の性格を知らない訳じゃないでしょう!!」
桜李の担任にそう一喝されて押し黙る。
救急車が到着しグッタリしている桜李と担任を見送る事しか出来なかった。
初めて桜李と出会った時の事を思い出す。
俺がサボり魔だと間違えて威嚇していたのにも関わらず言い返すどころか慌てて説明しようとしていた桜李。
俺が道案内を口実に手を握れば振り払わず緩く握り返してくれた小さな手。
桜李の笑った顔が次々と思い出された。
さっきまで桜李を抱えていた手が震えだす。
震える手をもう片方の手で押さえる。
大丈夫。桜李は大丈夫。
またあの笑顔を見せてくれる。
そう言い聞かせ、桜李の親衛隊にも教室に戻るよう指示をし自分も風紀委員室へ向かった。
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