その学園にご用心

マグロ

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第五章

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あれから車に乗り込み約30分。
れい先輩は1言も発さず不機嫌なまま外を眺めている。

非常に気まずい。
何がそんなにれい先輩を不機嫌にさせたのか全然分からない。

「あの…れい先輩…」

と話し掛けた時れい先輩から話し掛けられた。

「なあ。桜李」

「はい」

「お前は…好きな奴はいるか?」

「はい?」

突然れい先輩が変な事を言い出した。
れい先輩を見ると真剣な顔でこっちを見ていた。

「いるのか。それとも出来たのか」

「えっ…?いやいや。れい先輩それは恋愛話ですか?」

「それ以外に何がある?早く答えろ」

「あ…え…?今はまだいません…」

「そうか…。俺はお前が好きだ」

「……………えっ!?」

れい先輩のいきなりの告白で開いた口が塞がらない。
目を見開き、れい先輩を見ると目を逸らすことなくこっちを見ていた。

「もうちょっとゆっくりお前をおとして行こうと思ったが止めた。お前から少しでも目を離すとどっか行っちまうし色んな奴を引っ掛けて来やがる。鈍感なお前にはストレートで行くことにする。好きだ」

「ちょいちょい僕に対して気になる言葉があるんですが…」

「そんな事は今はどうでもいい。桜李、俺はお前が好きだ」

ワイルド美形なれい先輩がこうも僕を好きだ好きだと連呼して来るから顔が熱くなる。

「れい先輩ちょっと待って下さい!」

「待てない。もうお前に対して気持ちを抑えることはない」

そう言ってれい先輩が顔を近付けて来た。
そしてチュッと触れるだけのキスをされた。

「え!?」

「口へのキスは慣れてないんだな」

ニヤリとれい先輩が笑った。
不機嫌はどこへやら。

プシューッと顔から湯気が出るんじゃないかと思うくらい真っ赤になってると思う。

「今はまだ自分の気持ちが分からなくていい。でも、その赤くなった顔は俺を意識してくれてると思っていいんだよな?」

「れい先輩!」

いっぱいいっぱいになった僕は赤くなった顔で睨んだ。

「ハハッ。桜李、改めて言う。俺はお前が好きだ。それだけは冗談なんかじゃない」

また真剣な顔になって言って来るれい先輩に対して顔を隠しながら頷く事しか出来なかった。

それからニヤニヤと僕を見て来るれい先輩に対し少し距離を取りながら警戒しつつ意識せずにはいられない僕だった。

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