その学園にご用心

マグロ

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第四章

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「それでは次が最後の学科紹介です。美容科の方お願いします」

司会の人がそう言った途端、会場内が真っ暗になる。
そこに武士らしいカッコいい曲が流れ始めた。

「じゃあ、行って来るね」

と2人の先輩が壇上裏から出て行った。

すると流石、有名な先輩達だけあってキャーキャーと騒がれ始めた。
こっち向いて下さーい!て声が聞こえる。

結構な距離があるからまだ少し僕の出番まで時間がある。
その間に深呼吸をした。

「桜李君。今日まで本当にありがとう。僕のワガママで引き受けてくれてすごくすごく感謝してるよ。緊張するかもしれないけどこのファッションショーを楽しんで欲しい」

深栗先輩がそう言って両手を握って来た。

「はい!僕も一生に一度の体験をさせてくれた深栗先輩には感謝してるんです。ファッションショーを作り上げてくれた先輩達の為にも楽しんで頑張って来ますね」

そう言った所で僕の出番が来た。

カッコいい曲からおしとやかな曲に変わる。
それに合わせて付けてある鈴を鳴らしながら壇上裏から出て行った。

さっきまでキャーキャー言っていた周りが途端にシーンと静かになった。

曲と桜李に付けてある鈴だけが響く。

花魁の歩きをしながら待機している2人の先輩の手を取り一緒に歩く。

中等部の1番前にいた紫音君と海里君と目が合った。

ニコッと笑い前を向く。
ゆっくりゆっくり歩く。

高等部を通った時はやはり生徒会が前らしくれい先輩と五十嵐先輩と創先輩と目が合った。
五十嵐先輩は顔を真っ赤にしてメガネを押し上げながら凄い勢いで下を向いた。

それが面白くて笑ってしまいフフッと声が出てしまったかもしれない。

それから振り返って女性らしい流し目ポーズ。
先輩達は僕を守るかのように立ってポーズ。

少しの間、そこに止まって壇上にまたゆっくりゆっくり向かう。

壇上に着き、また振り返って少し体を斜めにし肩を見せるかのように膝を折り着物の袖をヒル返しながら会場内を見回した。

そして壇上裏へ引っ込んだ。

曲も終わり深栗先輩が出て行く。

すると、今まで静かだった会場内が割れんばかりの歓声に包まれた。

ビックリしたけど成功したみたいだ。
先輩達のそれぞれの右手と左手を取り手を繋いで喜んだ。

「成功したみたいですね!!よかったあー!」

「桜李君、君凄いよ!!今からでも芸能科に来た方がいい!」

「桜李!俺、あそこまでパートナーとしてしっくり来たの初めてだ!」

3人で凄い凄いと言い合った。
先輩達も褒めてくれて安心した。

それから説明を終えた深栗先輩が抱き着いて来てめちゃくちゃお礼を言われた。

この後は立食パーティーだから急いで着替えた。
お化粧を取るのに少し手間取ったけど何とか取れて立食パーティーのある会場へファッションショーのみんなで向かった。
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