その学園にご用心

マグロ

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第四章

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ピンポーン

誰だろ?この階に入れるのは限られている。

ガチャとドアを開けると龍君が立っていた。

ギュッ!チュッチュッ

と挨拶して来たので僕も返す。

「龍君どーしたの?」

「最近…全然…構って…くれ…ないから」

そう言ってさらにギューっと強く抱きしめて来た。

それが何だか可愛くて背中をトントンしながら撫でる。

「ごめんね。龍君。一先ず中に入ろっか。上がって」

龍君をいったん離し、腕をグイグイ引っ張った。

リビングに着いたら後ろから龍君がまた抱き着いて来た。

首元に顔を埋めて来るからくすぐったい。
そのままリビングのソファに座り、龍君がポツリポツリと話し出す。

「俺…桜李…好き…。だから…教室…いない…とか…他の奴と…触れ合ってるの…とか…見ると…寂しい…」

普段あまり喋らない龍君が一生懸命、自分の気持ちを打ち明けてくれた。

キューンと来てしまった。
可愛すぎて顔がニヤけてしまう。

そんなに思ってくれてる龍君が愛おしくなった。

恋愛感情があるかって聞かれたらまだ分からないけど僕も龍君が好き。

みんな大好き。

だからクルッと龍君を見てちゃんと目を合わせて伝えた。

「龍君ありがとう。僕も龍君が好きだよ。みんな大好き。だから龍君と最近、関われなかったのもすごく寂しかったよ。でも今、ギューってしてくれる龍君に寂しさ吹っ飛んだ!!龍君は?」

ニコリと笑って顔を覗き込む。

いつも無表情の龍君が初めて口角をあげた。

「もう1回…俺だけ…好きって…言って…」

「龍君好きだよ」

「今は…それ…で…いい…。俺も…寂しさ…少しだけ…吹っ飛んだ…」

「えぇー?少しだけ?」

と言って2人で笑った。

それから話をしたりテレビを見たりしているとまたインターホンが鳴った。

ちょっと出て来るね。と言ってドアを開けると4人が揃って立っていた。

「あれ!みんなどーしたの?」

と言ってもう恒例と化した挨拶をみんなとした。

「龍が来てるだろ?」

「龍だけずりーよ!」

「みんなの桜李なのに」

「龍が~、最近、桜李桜李うるさくてね~、絶対今日行くだろうなってみんなで話してたの~」

煌、大和、灯夜、だいちゃんの順で喋り出した。

「そうなんだ!中にいるよ。どうぞ入って」

みんなを中に入れると龍君が嫌そうな顔をした。

「ちょっと~、抜け駆け禁止だよ~」

「そうだぞ!只でさえ、明日は桜李の近くに入れないんだから今日はみんなで語ろうぜ」

煌がそう言って大和が持って来た大量のお菓子を広げて僕がお茶を用意してその日はみんなでワイワイと語った。

こうゆうのもいいなあ。と思いながらその日はみんなで雑魚寝した。
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