その学園にご用心

第一章

8 涼サイド

職員室で書類を書いていると机の上に置いてある電話に内線が入った。
電話を見ると理事長室からだ。
もしかして。と思って内線に出たらやはり今日、最後の入学生が来るから14時に理事長室来るようにとのことだった。

今日まで席が1つ空いていた場所。
オーストラリアからの入学。あの神笠グループの御曹司。とのことで周りの生徒達はどんな容姿なのか。どんな性格なのか。毎日毎日噂していた。

やっと来たのか。
こんなに遅れて来るくらいだからさぞ性格もワガママなんだろうな。だが、ここは家柄が重視の学校。それも許される立場にいるのだからたまったもんじゃない。

そう思いながら理事長室に向かう時間が来た。

さて行きますか。と気合いを入れて理事長室の扉をノックした。
中から返事があり話しながら入ると思わず息が止まってしまった。

今までに見て来た綺麗な人達が霞んで見えるくらい輝かしい美貌を持った生徒がこちらを見ていた。

理事長の言葉で我に返ったが目が離せない。
なんて綺麗な少年だ。
話をしてみると性格もいい。

数時間前に悪態をついていた自分を殴りたくなった。

一瞬で心を奪われてしまった自覚がある。
だが生徒に恋することはもちろん禁止だ。
でも気持ちくらいは持っていてもいいだろうか。

僕と一緒にいることで赤くなってくれる可愛い桜李君。
その1つ1つの会話、仕草さえ聞きもらさず、見逃したくなくて職員室に着くまで目が離せなかった。