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メタバースの章

ゲームというビジネス

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2020年、不治の病に侵された少女・結海(ゆうみ)はヨットで世界一周をすると決めて航海に出たが、UFOのようなものに遭遇し、なぜか2062年の未来へとタイムスリップすることとなってしまった。そこで、ヘティスと結海は出会った。そして、結海はヘティスの家で同居することとなった。そして結海は、ヘティスの仕事を手伝い、未来の仕事を体験していくのであった。

ヘティス
「うみみんのみつけたメタバースNFTゲーム“幻想神統記ロータジア”なんだけど、ちょうど明日、オープンβが開始されるみたいね!」
結海
「おーぷんべーた?」
ヘティス
「正式サービスの前のテスト版ってことよw」
「けど、データは正式サービスに引き継がれるみたいねw」
結海
「ふーん」
ヘティス
「まあ、大体の内容は読んで頭に入れたわw」
結海
「私も読んだけど、意味がぜんぜんわかんないw」
ヘティス
「まかせなさい!私はこう見えてゲーマーなのよ!」
結海
「へぇ~」

仮想空間の仮想スクリーンには『幻想神統記ロータジア』のページが映し出される。そこにある「事前登録」のボタンに、ヘティスはポインターを合わせた。



ヘティス
「よーし、まずは事前登録よ!」
「うみみんもポインターを合わせてみて!」
結海
「うん、わかったわ!」

二人がポインターを合わせると、別空間へとワープした。

結海
「・・・ここは?」
ヘティス
「ここが“幻想神道記ロータジア”のゲーム内みたいね」
結海
「えーと、仮想空間の中から、更にゲーム内の仮想空間にワープしたの?」
ヘティス
「そうよw」
「うみみんも大分わかってきたみたいねw」

その時、突然、二人の前へキャラクターが現れた。

キャラクター
「にゃんにゃんにゃんにゃん、ねこにゃんにゃん!」
結海
「あなたはだれ?」
オオタネコ
「オオタネコにゃ!」
結海
「あなたもこのゲームをプレイしにきたの?w」
ヘティス
「そのキャラクターはプレイヤーではなくNPCよ」
結海
「えぬぴーしー?」
ヘティス
「このサービスのコンピュータが操作するAIアバターよ。頭の上にNって出てるでしょ?」
「このNがあるキャラはNPCなの」

ゲームの世界ではプレイヤーはPC(プレイヤーキャラクター)と言う。その対義語がNPCであり、このサービスのコンピュータAIが操作するキャラクターである。

結海
「へえー、このコ、AIなのね。よくできてるわね~」
オオタネコ
「子供じゃにゃいにゃ!」
「こう見えても1万歳の大人にゃ!」
結海
「え、そんな設定なんだ・・・。じゃ、おばあちゃんなのね・・・」
オオタネコ
「けど、お肌はツヤツヤにゃw」
結海
「で、何か私たちに用なの?」
オオタネコ
「おっと、忘れてたにゃ!ねこは、このゲームのガイドにゃ。やり方を説明するにゃ」
結海
「まず、何をすればいいの?」
オオタネコ
「よくぞ聞いてくれたにゃ!」
「まず、キャラクターづくりにゃ!」

オオタネコがそう言って持っていた杖を振りかざすと、杖からは輝く無数の光が広がり、仮想空間にはたくさんのキャラクターが現れた。

オオタネコ
「これらのキャラには名前とベルーフがついているにゃ」
結海
「べるーふ?」
オオタネコ
「ベルーフとは天職のことにゃ」
ヘティス
「戦士とか魔法使いとかって言う、いわゆるジョブ(職業)のことねw」
オオタネコ
「キャラ名やベルーフは後からでも変更も可能にゃ。だから、まずはとりあえず決めるにゃ」
結海
「ふーん、どれにしようかな」
ヘティス
「たくさんあるから迷うわねw」

キャラをポイントすると、キャラ名と職業やエピソードが出てくる。二人はしばらくキャラをいくつか見る事にした。

結海
「決めたわ!これにする!」

結海は「アグネーテ」というキャラ名の魔法使いを選んだ。

結海
「このキャラ、基本的に魔法使いらしいけど、人魚にも変身できるんだってさw私、海が好きだから、これにしよっとw」
ヘティス
「うん、うみみんらしいと思うw」

ヘティスは「テティス」というキャラ名のヒーラーを選んだ。
テティスは、孤児院の院長を務め、そこからヒーラーになる、というエピソードを有するキャラクターである。

ヘティス
「私はこのキャラがカワイイから、これにしよっとw」
「名前も私に似てるしw」
オオタネコ
「これでまずは登録完了にゃ」
「一人につき登録料5万円だから、二人で10万円いただくにゃ」
「HTコインでも支払い可能にゃ」
結海
「え?ゲームのキャラつくっただけで10万もかかるの!?」
ヘティス
「わかったわ、今HTコインは上昇トレンドだから使いたくないから、デジタル円で支払いするわw」
結海
「え?払うの???」
「10万よ!10万!」
ヘティス
「今、登録すると1万ロータスっていうゲーム内通貨と、神聖のカンザシがプレゼントされるから、二人で10万なら安いわw」
結海
「や、やすいのぉ?」
ヘティス
「あと、神聖の指輪は、事前登録すると抽選でもらえるみたいw」
結海
「そんなのもらってどうすんの?」
ヘティス
「このゲーム内通貨やNFTアイテムは保管しておくの。もし、このゲームが有名になって、企業がたくさん宣伝や販売で参入してきた場合、この通過やアイテムは何倍や何十倍にもなるのよ!」
結海
「こんなものが・・・。しんじらんないわ・・・w」
ヘティス
「うみみんの時代のNFTアイテムは、当時数万だったけど、今は一部のコレクターしか持っていないから、多分、数億になってるわよw」
結海
「え!そうなの!」
「1万円が1億円・・・」
「だとすると、元の時代に戻ったらバイトしてお金ためて、そのアイテムを買おうかしら・・・」
ヘティス
「まあ、価値のあるもの・ないものに分かれるから、何が価値が出るかをここで学んでいくといいわw」
結海
「う、うん・・・wそうするわ・・・w」
オオタネコ
「次はNFT土地、NFTエリアの購入にゃ。エリアには、家を立てたり、作物を植えたり、武器や防具を製造したり、色々なことができるにゃ!」
「土地は申し込みが多すぎるから、これも今は抽選になるにゃ!」
「一人3マスまで注文可能にゃ!」
「抽選で決まったら支払いでOKにゃ!」
ヘティス
「わかったわ!」
「で、いくらなの?」
オオタネコ
「1マスあたり最低100万にゃ!」
「中央にいくほど高くなるにゃ!」
結海
「ひゃ、ひゃくまん!」
「ゲームの土地にひゃくまんなのぉ!?」
「チョー・マジマンジー、なんだけどぉ?」
ヘティス
「そうね、そのエリアを使ってビジネスをした場合、どれだけの収益を得られるかによるわね」
結海
「けど、はっきりとはわかんないんでしょ?」
ヘティス
「まあね。けど、そこは経験と勘よ。うみみんの選んでくれたこのゲームだけど、グラもいいし、内容も説明書読んだけど、なかなかいいわ。だから、このNFTメタバースゲームは、今後発展すると思うの」
結海
「そうなんだ・・・」
ヘティス
「とりあえず、私とうみみんの分を買っておくわ!」
「私が3マス、うみみんが3マスだから、合計6マスを注文するわ!」
オオタネコ
「まいどにゃ!」
結海
「え?全部買うの???もし全部、抽選で当たったら600万よ???」
ヘティス
「これは投資よ!」
「エリアからの毎月の収益、ここがポイントね。もちろん、ゲーム内通過だけど」
結海
「ゲーム内のお金が入ってきて意味があるの?」
ヘティス
「このゲームが有名になったら、たくさんの企業が参加しだすわ。その時に、このエリアやゲーム内通過は、すっごい値上がりするの!この通貨がないと行動できないことも出てくるだろうし。その時に少し利確するわ!」
結海
「そんなの、しんじらんなーいw」

ゲーム内のエリアは4エリア集めると中型施設、9エリア集めると大型施設が作成可能となる。施設の大きさによって販売数を増やしたり、広告数を増やすことができる。
例えば、1マスでは広告は出せないが、4マスになると広告を1つ出せるようになる。そして、9マスになると3つまで広告を出せるようになるのである。

ヘティス
「企業は、このマップ内でどこかの9マスを買ってくると思うの。だから、先回りして、企業が買いそうなところを選ぶのよ。もしくは、その周辺でもいいわ」
結海
「どんなところを企業は狙ってくるのかしら?」
ヘティス
「障害物が少なくて、マップの中央ね!」
「けど、マップの中央は高いのが当たり前だし、手持ちの資金にも限りがあるから、狙い目は周辺の安いエリアで、将来値上がりするエリアね!」
結海
「なるほど!」
ヘティス
「で、私が目につけたのはココよ!」

ヘティスは周辺エリアの障害物が少ない地域を選んだ。

ヘティス
「そして、そこから中央を結んだ線上もいいわ!」
結海
「なんで?」
ヘティス
「多分、そこに道路ができると思うの。そうすると、人が行き交うから、その場合、地価は上昇しやすくなるの」
結海
「へぇ~」

ヘティスは一通り、エリアの購入を済ませた。

ヘティス
「武器や防具はデフォルトであるみたいだから、大丈夫ね!」
「明日のオープンβ開始から、すぐに狩りができるみたいよ!」
結海
「狩り?」
ヘティス
「狩りは、MOBつまり、モンスターをやっつけて、そのモンスターからゲーム内通過やアイテムをドロップさせることよ!それをゲーム内で他のプレイヤーにデジタル通過で販売する、これが利益になるのよ!」
結海
「そ、そんなことするんだ・・・w」
ヘティス
「これが未来の世界のお仕事よ!」
結海
「チョー・マジ・マンジー!」

という流れで、ヘティスと結海は、メタバースの世界で「狩り」と言う仕事を行うのであった。

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