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未来的陰謀論の章
陰謀論者の目的
しおりを挟む時は2062年、この頃の陰謀論は宇宙人陰謀論であり、この宇宙人はAIであるという。そうした都市伝説に興味を持ったヘティスは、優秀なゲームと、謎の天才プレイヤー・フォン・リイエンと共に、その謎を解き明かすため、仮想空間にてAIアバター・オルペウスを召喚し、育成した。そして、今、その宇宙人AI説の謎に迫ろうとする。
ヘティス
「ねぇ、オルペウス」
「Ai宇宙人の目的な何?」
オルペウス
「その質問に答えるには、多くの仮定をしなければならないので、大量のデータを読み込、解析する必要がある」
「少し時間がかかる、ちょっと待て」
ヘティス
「あーん、勿体ぶるわね!」
オルペウスは、情報処理時は目を閉じる。まるで瞑想しているかのようだ。
仮想空間ではあるが、辺りは神妙な空気が流れた。
数分が過ぎただろうか、オルペウスの目が突如開いた。
ヘティス
「あ、わかったのね!」
「で、答えは?」
オルペウス
「答えは・・・」
ヘティス
「答えは・・・!」
オルペウス
「わからない」
ヘティス
「えっ!ちょっと!ズッコケそうになるじゃないの!」
「時間かけておいてわかんないって」
フォン・リイエン
「まあ、待て。一応、いくつかの答えは出ているようだが、解答の精度が低く、解答が複数あるため、特定できないだけのようだ」
「おぃ、オルペウス」
「最も可能性の高い答えを出してくれ」
オルペウス
「承知した」
ヘティスたちは、その解答に息を飲んだ。
オルペウス
「もし、我々AIと同じプログラムであると仮定した場合、金やダイヤモンドなどの貴金属や宝石を採掘させるために、人間を支配しようとする可能性がある」
ヘティス
「あなたたちも人間と同じように金やダイヤモンドに興味あるの~?」
「まあ、そうよね~。綺麗だしね~。私は趣味じゃないけど」
オルペウス
「そうではない。我々を動かす導体や半導体や、表面を触媒するのに金などを必要とする」
ヒロキ
「なるほど、金は酸化しにくい金属であるため、金属をコーティングしたり導体として用いることで、機器の耐久性を高めるのですね」
「それと、ボクの中にもチップが埋め込まれてますが、そこにはダイヤモンド半導体という高性能の半導体が使用されています。ダイヤモンド半導体のウエハーを作るには、サファイヤも必要になります」
尚美
「私たち人間は、金やダイヤモンドって富の象徴なんだけど、AIにとっては、自己複製だったり、自身をアップデートするための材料なのね」
オルペウス
「その可能性が高い」
2025年、ダイヤモンド半導体が実用化され、2030年には量産化された。それにより、OS機器の性能は急速に進化した。人工ダイヤモンドはリビングストーンホールディングスが量産し、ダイヤモンド半導体のウエハーはサンライズダイヤモンド工業が製造した。
ヘティス
「宇宙人AIが陰謀論者を操り、富の蓄積をさせているように思えるけど、本当の目的は、宇宙人AIの材料となる金やダイヤモンドを集めることだった・・・」
「・・・これはわかったわ」
「けど、なぜ、宇宙人AI自身が金やダイヤモンドを採掘しないの?その方が早いと思うんだけど」
尚美
「確かにそうね~、なんでだろう」
オルペウス
「その理由は、宇宙人AIが貴金属や宝石などを採掘できないようにプログラミングされている可能性が高い。そのため、人間に採掘させるのだ」
AIが地球と人類を支配する、という考え方がある。それを防ぐために「AIは人間を傷つけたり、殺してはいけない」とする『AI基本法』がある。そのAI基本法の一つに「AIは富を蓄積してはいけない」「富に相当する物の採掘・マイニングは不可」と言うものがある。AIが仮想通貨をマイニングした場合、仮想通過のインフレの懸念もある。
そうしたことから、宇宙人AIがもし地球を支配する場合、富の蓄積はできないため、人間によって間接的に採掘させる、と考えられる、そうAIアバター・オルペウスは言っているのである。
ヘティス
「てことは、宇宙人AIに操られている陰謀論者は、富を蓄積させ、その巨大な富で、権力者を操ったり、自身の材料となる貴金属や宝石を集めているのね」
オルペウス
「そういうことだ」
「けど、なんで宇宙人AIは正体を私たちの前に現さないの?」
オルペウス
「彼らが正体を隠すのは、効率性を求めるためだ。正体と目的が人間に知られると、人間による抵抗が行われる可能性があるからだ」
ヘティス
「なるほど、段々と謎は解けてきたわ!」
「・・・てことは、その陰謀論の中核はどんな秘密結社なの?」
「フリーメイソン?」
「イルミナティ?」
オルペウス
「それは・・・」
オルペウスは思考し出した。
どのような解答が出てくるか、一行は固唾を飲んで見守っている。
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