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未来的日常の章
7.アトランティス大陸の発見
しおりを挟む時は2062年、地球は温暖化しており、世界の陸地の多くが海となった。それに対し、人類は海上都市を建設し、ある人々は海上都市で生活した。南極では氷が多く溶け、南極大陸の大地が見え始めたのが2040年頃である。そして、驚くべきことに、南極大陸の氷の下からはいくつかの遺跡が発掘されたのである。その遺跡の発掘は各国が協力し、人類の共通の遺産にするため、徐々に発掘が行われた。最初の頃は、発掘の様子が放送され、遺跡へのツアーなども行われていたが、ある時から一般人の進入禁止区域となった。
遺跡からの発掘されたものに、文字で書かれた発掘品がいくつかあった。その翻訳は、最初のうちは人間がやっていたが、ある程度AIがディープラーニングしたところで、翻訳はAIがするようになった。
「ピリ・レイスの地図」というものがある。この地図は1513年に描かれたにも関わらず、そこには氷で閉ざされているはずの南極大陸が描かれている。人類が南極大陸を発見したのが1820年であるから、この地図に描かれているものは何かの妄想である、というのが多くの研究者の見解であった。しかし、南極大陸で遺跡が見つかった2040年頃、偶然は偶然を呼ぶ。このピリ・レイスの地図は、紀元前4世紀につくられた地図を元に作られたとされているが、そのオリジナルの地図がエジプトのアレキサンドリア図書館の地下室から見つかったのである。その原本地図には
「何億年もの太古の昔から伝承された地図」
と記載されていた。本当かどうかはわからないが、確かに南極大陸には温暖な地域の植物の化石が発見されているので、氷に閉ざされていない時代があったのだろうが、その時代に人が居たとは到底思えない。
そして、その南極大陸には名前が記載されていた。
「アトランティス」
と。アトランティス大陸とはギリシャの哲学者・プラトンが著書『ティマイオス』『クリティアス』などで記しているため、実在すると考える人たちもいた。
プラトンの曽祖父であるクリティアスの祖父は政治家のソロンからアトランティスの話を聞き、ソロンはエジプトのネイト神に使える神官から聞いたとされている。ここで、ピリ・レイスの地図の原本がエジプトのアレキサンドリア図書館にあることとつながったのである。
確かに、ギリシャ神話に登場するトロイア遺跡を発見したシュリーマンの例があるように、アトランティスが存在してもおかしくはない。しかし、アトランティス大陸は大西洋の真ん中にあるとされていたため、地質調査などで否定されていた。また、アトランティスは堕落した生活によって荒廃し、海中に沈み滅亡したとされるが、これはプラトンが人々に対する戒めとして作った物語である、というのが多くの研究者の見解である。
しかし、南極大陸の遺跡が見つかる度に、そのアトランティスの地図に描かれている遺跡の場所とほぼ同じであったことから、この地図はプラトンが語っていたアトランティス大陸である、という見方が強くなり、いつしか南極はアトランティスと呼ばれるようになった。
しかし、ここで発掘される動物は奇妙であった。まるで瞬間冷凍されたかのように、まるで生きているかのような状態で発見されるものがあった。また、その動物を解剖すると、まだ未消化な植物があった。この瞬間冷凍された動物は、19世紀からシベリアなどでも確認されてきた。このことについては、氷河の裂け目に落ちたからという説が上がったが、この植物は温暖な地域にしか存在しないものが殆どであったため、謎のまま放置されていた。
地図の裏には、更に奇妙なことが書かれていた。
「世界の柱が倒れ、それをアトラスが支えることとなった」
これはポールシフトという、地軸の大転換によって引き起こされ、ということを意味している。
世界には、こうした天地がひっくり返るという神話がいくつか存在する。そして、様々な地質学をAIにデータ解析させた在野のある研究者の答えがポールシフトであった。しかし、その研究者は、それからすぐに亡くなり、それを知ることが出来たのは、限られた極少数の関係者のみであった。
ちなみに、ポールシフト以前は地軸はエジプト、サハラ砂漠に存在していた、と推測されていた。サハラ砂漠は氷河に閉ざされていたが、それがポールシフトで一気に溶けて、大洪水となった、その伝承が世界に散らばる洪水神話と考えられた。
アトランティス地図の裏書きには、
「偉大な哲学者であり王でもあるRenyaは国を守るため、外敵と戦うが、敵に破れ、国は滅びた」
古代アトランティスには「レンヤ」という謎の統治者がおり、哲学者でもあったということは、プラトンの理想とした哲人政治を、太古に施行していたこととなる。
尚美
「ヘティスちゃん、私たち、そろそろ進路を決めないといけないよね」
「ヘティスちゃんはどうする?」
ヘティス
「プロゲーマーになるのもいいかな~。eスポーツの専門学校からいくつか推薦来てるしね!けど、まだ、自分のやりたいことなんかわかんない。ゲームは好きだけどね!」
尚美
「ヘティスちゃんはゲームの才能あるからいいよね~。私もヘティスちゃんからゲームのことを教えてもらっているから、そこそこはできるけど、プロゲーマーのレベルまではどうかなぁ・・・」
「奈美先生が、来週はライフイノベーションについて授業するって言っていたわ。それを聴いてから、また考えることにしようかな。」
ヘティス
「らいふいのべーしょん・・・んー、私もなんか気になる!ちゃんと予習しなくっちゃね!」
尚美
「え、ヘティスちゃん、予習するのはじめてじゃない?いつも予習・復習しないし、宿題は私のを写しているし、どうしちゃったの・・・?」
ヘティス
「ん~、なんでかな~、なんとなくなんだけどね・・・私は気まぐれなの!」
尚美
「そっか~」
と「気まぐれ」というヘティスの答えで尚美は納得した。
ヘティスはこれまで、学校の勉強を家でしたことが殆どなかった。母親がいない、父親は本人の自律性に任せ、自由にヘティスを育てていた、という教育方針でもあった。
ヘティス
「卒業旅行は一緒にどっか行こうね!」
尚美
「そうね!楽しみ!ヘティスちゃんはどこいきたいの?」
ヘティス
「んー、アトランティス!」
尚美
「ヘティスちゃん、そこは私たち一般人は立ち入り禁止区域なのよ~」
ヘティス
「そっか~、知ってる!けど、行きたいな~!」
好奇心旺盛な性格のヘティスは、禁止されると気になって仕方がない性格であった。この神秘の大陸・アトランティスとヘティスとの関係はどうなるのか、それはまた、後のお話。
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