上 下
5 / 51
未来的日常の章

5.入学式

しおりを挟む

少し話は遡り、2061年、ヘティスは中学を卒業し、名門校であるHT学園に入学した。
成長期を過ぎるとスマートチップの入れ替えか、スマートアイテムの変更が国によって義務付けられていた。

ヘティス:
「何このダサい制服!いつの時代の制服なの???」
「パパ~、こんなダサいの私着ないよ?」
「もうね、私も立派なレディなんだから!」

トールビョン(ヘティス父):
「ヘティス~、超プリティ~だよ~!」
「キミは世界一キュートだよ~!」
「キミが着れば、どんな制服もカワイく見えてしまうのさ~!」

ヘティス:
「ぇ、そう?」
「やっぱ?」
「そりゃ、私が着れば何でもカワイく見えちゃうわよね♡」

トールビョン
「そ~だよ~、ヘティス~、ママに似て、キミは超ハイパー美人だよ~」

ヘティス
「ママ・・・」

ヘティスの母親は、海外で女優・モデルをしている時代もあり、とても美しかった。その22歳の時の美しさが写真家に撮られたことをきっかけに、モデルとしてアメリカでデビューすることとなった。

母親はヘティスを生んですぐに亡くなった。だから、ヘティスは母親の温もりを知らずに育ってきた。
残されたこの写真の美しい母の姿は、ヘティスの心の中に常にあった。そのため、その母親の美しく長い黒髪の影響もあり、ヘティスも、この時まで髪を長くしていた。

ヘティス:
「ところでパパ」
「ママは何しに海外に行ったの?」

トールビョン:
「ん~、それは~、いわゆる、一つの~」
「ライフイノベーション!」
「だね~!」

ヘティス:
「ライフイノベーション?」
「何それ?」
「食べ物?ではなさそうね・・・」

トールビョン
「ライフイノベーションは~」
「何て説明したらいいかな~」
「つまり~、ライフを~、イノベーションするのだよ~」

ヘティス
「何ソレ、わかんない」

トールビョン
「つまり、自分を変える、ってことだね~」

ヘティス:
「へ~、そうなんだ!自分を変えるためにお母さんは海を渡ったのね!」
「私もライフイノベーションする!!」
「てことで、まず、このカラコンとるね!もう着けないんだから!ありのままの私でいく!」
「髪を黒くするのもやめるわ!」

と言いながら、ヘティスはカラーコンタクトを外した。茶色だった目は、美しいグリーンの瞳に変化した。
緑色の目の人間は、稀に北欧人や、日本だと東北にいるとされる。そのハーフであるヘティスの目は美しい緑の瞳だった。この茶色のカラーコンタクトは、父親が差別を受けないようにヘティスに子供の頃からしていたものだった。

ヘティス:
「この制服もやっぱ好みじゃない。3Dプリンターで変更してくる~」

ということで、ヘティスの制服の色は瞳の色に合わせて緑になった。

「緑が好き♡やっぱ服は緑よね~♡」

ここで、ヘティスのスマートアイテムも紹介しておこう。
ヘティスの首にはスマートチョーカーがある。スマートチョーカーには様々な機能があるが、主な機能は声の変換である。ヘティスは猫と犬を飼っているが、彼らに話しかける時に、この自動音声変換機能を使い会話をする。
また、頭部につけているのがスマートカチューシャ である。これは動物の声を人間の言語に変換し、聴覚野に直接、情報伝達させるという機能がある。
こうしたスマートアイテムの機能については、また今後、解説していこう。

ヘティス:
「私、髪の毛切る」
「だって、私はママじゃないもの。私は私。私の人生を生きることにするわ。」

ということで、今のヘティスになったのである。



ヘティスの心の中には「ライフイノベーション」という言葉が残った。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

未来への転送

廣瀬純一
SF
未来に転送された男女の体が入れ替わる話

交換日記

奈落
SF
「交換日記」 手渡した時点で僕は「君」になり、君は「僕」になる…

高校生とUFO

廣瀬純一
SF
UFOと遭遇した高校生の男女の体が入れ替わる話

絶対に間違えないから

mahiro
恋愛
あれは事故だった。 けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。 だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。 何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。 どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。 私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。

3024年宇宙のスズキ

神谷モロ
SF
 俺の名はイチロー・スズキ。  もちろんベースボールとは無関係な一般人だ。  21世紀に生きていた普通の日本人。  ひょんな事故から冷凍睡眠されていたが1000年後の未来に蘇った現代の浦島太郎である。  今は福祉事業団体フリーボートの社員で、福祉船アマテラスの船長だ。 ※この作品はカクヨムでも掲載しています。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

処理中です...