3 / 51
未来的日常の章
3.未来人の会話
しおりを挟む【オープニングソング】
https://youtu.be/Cunwy40gxSs
『あなたは変われる☆ミラクルHT』で検索!
時は2062年、人類は月や火星をテラフォーミングし移住していた。そして、もう一つの移住空間が仮想空間(ヴァーチャルリアリティ)の世界である。この仮想空間上にアバターを持ち、そこに脳の情報を飛ばすアストラルプロジェクションが行われていた。その仮想空間のアバターは体性感覚野ともリンクしているため、仮想空間の体験は、リアル体験と全く同じものである。つまり、リアルとは、脳で感じたものがリアルなのである。このVR空間があるため、人類が宇宙の彼方に移住しても、距離は関係なくなる。
ヘティス
「ふう、何とか間に合ったわ」
尚美
「あ、ヘティスちゃん!10分遅刻よー!」
今日はヘティスがプレイしているオンラインカードゲーム『エレメンタルサーガ』のミーティングである。
尚美はヘティスのオンラインゲーム上の友人でもあり、リア友でもある。その他のチームメイトは地球の陸都市や地下都市、ムーンポリス(月面都市)、マーズポリス(火星都市)に散らばっている。そのため、ミーティングはバーチャル空間で行われる。
チームは男女混合だが、アバターなのでネカマ・ネナベの可能性もある。とりあえず、彼女らのチーム名は、
「チーム☆HT」
である。
「HT」とは「ハイパー・トランスフォーメーション」の略であり、「超変容」と言う意味らしい。
尚美
「みんな待っているわ、きっと」
ヘティス
「それじゃ、アストラルプロジェクション、いくわよー!」
リクライニングシートに座り、頭部全体を覆うヘッドギアをつけ、スイッチを押す。
全身に光が当たり、ボディスキャニングが行われ、身体と同じアバターをVR空間で作り出す。そして、頭部に無害な電磁波が流れる。脳の角回という部位を賦活化させると体外離脱することが知られているが、バーチャル空間へのアストラル投射は、この仕組みを利用して行う。
宇宙空間を隔てた通信は既に2030年代の6Gで行われていた。そして、2040年になると、このアストラル投射通信の7Gが開発される。このVR空間内での大容量通信によってVR空間上での完全リアル体験が可能となるのが2050年の8Gである。そして2060年代に入ると9Gが登場し、VR空間内での情報の作成とリアル空間のロボットへの通信が可能となる。つまり、VR空間のアバターがリアル空間のロボットとリンクするのである。スマートロボットの誕生である。
例えば、アバターでVR空間内で仮想の畑を耕し、仮想の野菜を作るとする。そのアバターとリアル空間のロボットがリンクしているため、リアル空間の野菜の様子が仮想空間に反映され、仮想空間の野菜もリンクする。つまり、仮想空間で野菜を作れば、リアル空間でも野菜が作れるのである。これがスマートロボットである。
ヘティス
「さて、今日のミーティング場所はフェアリーランドよ!」
尚美
「きゃー、綺麗!」
目の前にピンクの花のテーブルがあり、葉っぱの椅子が用意してある。
上は木々に覆われているが、空からは七色の光が差し込み、オーブと蝶が舞っている。
もちろん、全て仮想のものである。
マモル
「おーい、遅いぞ~!もうミーティングはじめてるぞ~!」
ヘティス
「ごめん、ごめん。てか、マモルくん、何その格好?」
尚美
「マモルくん、今日は下半身がお馬さんだけど、どうしちゃったの?」
マモル
「ああ、これね。ケンタウロスだよ!今日の仮想空間は妖精の国っていうコンセプトだから、オレもちょっと幻想世界の何かになろうかなって思ってさ」
ヘティス
「ミクちゃんは虫の羽が生えてるw」
ミク
「虫じゃないもん、フェアリーだもん」
ヘティス
「ああ、フェアリーランドだから、そういう格好なのね」
尚美
「あれ?今日はヒロキはお休み?」
ヒロキ
「ここにいますよ」
ヘティス
「あ、ヒロキくん、お花のテーブルの上にいるけど、すっごく小さい!」
ヒロキ
「はい、今日は小人にさせていただきました」
尚美
「今日は遅刻しちゃったから、急いでてアバター設定ができなかったけど、私たちもバーチャルコスプレすればよかったね、ヘティスちゃん」
ヘティス
「まあ、私たちはしなくても十分キュートだから大丈夫でしょw」
ミク
「それでは、揃ったところで、まずはお茶を用意するよ」
近くに置いてある鈴蘭のベルを鳴らすと、妖精たちがやってくる。この妖精も仮想のものである。
妖精
「いらっしゃいませ。今日のオススメは『月の滴の紅茶』と『蓮の花粉のパンケーキ』です」
尚美
「えー、ヘティスちゃん、見て!妖精、カワイイ!」
ヘティス
「私、ずっと前に妖精みたことあるよ」
尚美
「へー、ヘティスちゃん、そっち系?」
ヘティス
「そっち系ってどっち系?」
「てゆーかね、こんなにカワイイ感じじゃなくって、私が見たのは頭に蓮が乗ってて、お腹がポッコリしてて、ポコーってしゃべる変な妖精よ」
尚美
「それって本当に妖精なの?」
ヘティス
「わかんない。けど、本人は妖精だって言い張るの」
ヘティスが見たと言う妖精のお話は、また別のところですることにしよう。
とりあえず、注文が終わり、お茶とケーキが出てくる。
尚美
「あ~、このお茶、いい香り~」
ヘティス
「このパンケーキ、甘さ控えめでパッフパフの食感!」
ミク
「ほんとだ、こんなパンケーキ、はじめて食べた。美味しいし、不思議な感じ」
仮想空間で食べたものは、脳の体性感覚野や味覚野、嗅覚野などを刺激し、ドーパミンやセロトニンなどの神経伝達物質も分泌される。脳から見ると、実際に食べているのと全くかわならい。一つ違うのは、仮想空間では、どれだけ食べても栄養摂取とはならない。つまり、カロリーとならないため、太ったりしないのである。しかし、神経伝達物質は出るため、脳的には、それなりの満足感がある。だから、メタボ改善のプログラムなどにも利用されることがある。
マモル
「オレ、今日、マモルウロスだから椅子に座れないな!そして、馬の足の使い方にまだ運動野が追いついてないから、足を折り曲げることができねーぞ。誰か、オレのお茶をとってくれ」
尚美
「はい、マモルくん。こぼさないでね」
このように、人間以外のアバターを使用する場合は、運動野や体性感覚野とのリンクに時間がかかる。人間の場合、立位をとるのに乳児運動発達を必要とするが、そのプログラミングを応用しているが、それでも身体操作するためには多少の学習が必要となる。
ヘティス
「で、今日はどんなことを話し合うんだっけ?」
ヒロキ
「今日は次回のエレメンタルサーガの大会の団体戦での順番決め、及び作戦についてですね」
ヘティス
「わかったわ!今日もチームHTでいくわよ~!」
というような感じで仮想空間でのミーティングが1時間程行われた。
そして、ミーティングが終了し、全員ログアウトした後も、ヘティスと尚美はリアルカフェでお茶を楽しむことにした。
そして、話題は恋話になっていった。
次回はヘティスの恋話についてなのだが、いつになったら本編が始まるのかはわからない。この物語は気ままに、気まぐれに進んでいくのであった。
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説


どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
スキルが【アイテムボックス】だけってどうなのよ?
山ノ内虎之助
ファンタジー
高校生宮原幸也は転生者である。
2度目の人生を目立たぬよう生きてきた幸也だが、ある日クラスメイト15人と一緒に異世界に転移されてしまう。
異世界で与えられたスキルは【アイテムボックス】のみ。
唯一のスキルを創意工夫しながら異世界を生き抜いていく。
忘却の艦隊
KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。
大型輸送艦は工作艦を兼ねた。
総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。
残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。
輸送任務の最先任士官は大佐。
新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。
本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。
他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。
公安に近い監査だった。
しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。
そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。
機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。
完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。
意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。
恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。
なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。
しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。
艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。
そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。
果たして彼らは帰還できるのか?
帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?
第一機動部隊
桑名 裕輝
歴史・時代
突如アメリカ軍陸上攻撃機によって帝都が壊滅的損害を受けた後に宣戦布告を受けた大日本帝国。
祖国のため、そして愛する者のため大日本帝国の精鋭である第一機動部隊が米国太平洋艦隊重要拠点グアムを叩く。

【VRMMO】イースターエッグ・オンライン【RPG】
一樹
SF
ちょっと色々あって、オンラインゲームを始めることとなった主人公。
しかし、オンラインゲームのことなんてほとんど知らない主人公は、スレ立てをしてオススメのオンラインゲームを、スレ民に聞くのだった。
ゲーム初心者の活字中毒高校生が、オンラインゲームをする話です。
以前投稿した短編
【緩募】ゲーム初心者にもオススメのオンラインゲーム教えて
の連載版です。
連載するにあたり、短編は削除しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる